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青年期 131

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…翌日。


「おっと…どうやら敵が攻撃を開始したようだね」


俺ら傭兵団が城壁の上で敵の動きを見ていると、大体10時ぐらいに命令が下ったのか敵兵達が一斉に動いて展開してくる。


「んじゃ、みんな頑張って」

「ああ。任せろ」

「もし城門が破られたら頼んだぞ」


傭兵団のトップで司令官の俺が最前線にいても今は特にやる事もないので、万が一の時のための最終兵器として宿屋に戻る事に。


「…さーてっと…」


俺は宿屋に戻った後に変化魔法を使って分身し、黒いローブと仮面で軽く変装させて鉄パイプのような金属の棒を渡す。


「んじゃ、行って来るわ」

「おう」


敵の目を集めるのと撹乱して敵の攻めを遅らせるために分身の俺は指の骨を鳴らしながら部屋から出て行く。


「…敵が中に入って来ないとやる事無いし…何をするか…」


お姉さんも医療部隊の所に居るので俺は一人暇しながら呟いた。


「…寝るか」


たまには休養するのもいいかな…と、ボソッと独り言を呟いた後にベッドに寝っ転がってそのまま眠りにつく。






ーーーーー





「…ん?」


…ドアをノックする音で起こされ、目を覚ますと部屋の中が薄暗くなっている。


「はいはい」

「よっ。上手くいってるみたいだな」


俺が返事しながらドアを開けると刺客だった男が立ってして挨拶して吉報のような事を言う。


「まだ居たんだ…てっきりもう脱出したものかと思ってたのに」

「明日の日が昇る前に町を出る。一応伝えとこうと思ってな」

「ま、頑張って」

「ああ、ありがとよ。おかげで楽に脱けられそうだ…じゃあな」


男の用件に俺が適当に返すと男はお礼を行って手を上げ、去って行く。


「…うーん…半端な時間に起きてしまった…」


俺は時計を見ながら呟き、簡単に夕飯を食べて団員達の様子を見に行く事にした。


「お疲れー、どう?」

「敵の攻めはそれほどだな」

「あんまり慣れてないのか動きがたまにおかしい時もあったりする」

「よく分からない状況で後退したと思えばまた攻めてくるし…かと思えばまた後退したりする」


俺が城壁の上に登って労いの言葉をかけて確認すると団員達は全く疲れてないかのように報告してくる。


「へー」

「統率が取れてないのか指揮が下手なのか、これなら楽勝だな」

「もしかしたら後ろの方で内輪揉めみたいなのがあったんじゃないか?」

「とりあえずこのままの状況が続くようなら町に攻め込まれる事にはならないだろう」


分身の俺が後方の撹乱頑張ってんなぁ…と思いながら呟くと団員達は笑いながら話し合う。


「まあでも敵が夜に攻めて来ないとも限らないから警戒や見張りはしっかりね」

「ああ」

「分かってる」

「任せろって」


俺の釘を刺しながらの注意に団員達は笑いながら頷いた。


「…じゃ、お願い」

「おう」


俺は城壁の守備は問題無いと判断して負傷者の確認をするためにお姉さんの所へと向かう。


「…あれ?どうしたんですか?なにかありました?」

「いや、暇だから現場の状況を確認するために見て回ってる」


医療部隊が設営した救護テントの中に入るとお姉さん達は軽く夕飯を食べていて…


俺を見るとお姉さんが不思議そうに尋るので俺はココに来た理由を話す。


「負傷者はどんな感じ?」

「今日はまだ居ませんね。軽い矢傷ぐらいなら自分で治せるでしょうし、あまり敵の攻撃が激しくないのでは?」


俺の問いにお姉さんは数を報告した後に負傷者がまだ出てない理由を予想する。


「一応敵の後ろ撹乱してる奴がいるから」

「ああー…なるほど」


俺が分身の存在を匂わせると他の団員が居る手前、お姉さんも周りの目を気にしてか配慮するように触れずに納得して返す。


「と言っても、もしかしたら敵もまだ本気じゃないかもね」

「…どういう事です?」

「まだ領主と交渉中かもしれない…って事。いくらなんでも俺らが弓で武装してるからといって魔法を使って来ないのはおかしいし」

「…なるほど…」

「まあ、壁を登ろうとしてる味方を巻き込まないように撃てないのかもしれないけど…それなら最初に撃つハズでしょ?」

「確かに」


俺の予想にお姉さんは不思議そうに返し、軽く説明するように話すと考えるように呟くので…


俺は相手の攻め方が下手な場合のパターンと別の狙いがあるかもしれないパターンを想定して話した。 


「…いや、でもあれか…とりあえず初日は様子見で俺らの力量を測ってる可能性もあるのか…」

「実力者だと最初から全力や本気は出しませんもんね」

「だとすると3日目か4日目ぐらいから本格的に攻め出すかも…」

「じゃあ明日までは様子見ですか?」


俺がふと思いついた考えを呟くとお姉さんも賛同し、戦いが激しくなる時期を予想するとお姉さんが確認する。


「…どうかな?そもそも誰が軍を率いてるか分からないし、名前が分かったところで俺らには誰か分からないから…結局対応が後手後手に回るしかないんじゃない?」

「つまり結局はいつも通り、と」

「そういう事だね」

「対応力が鍛えられますね」


俺は腕を組んで考えながら返すとお姉さんが話を纏め、俺が肯定したら笑いながら皮肉のような事を言われた。
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