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青年期 130
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…その後。
領主に仕事の話を聞きに行くと『ぜひ頼む!』とお願いされ…
傭兵団として仕事を貰ったので団員達に話を通して防衛戦の準備をさせる。
「…そう言えば包囲された状態からの防衛戦は初めてだな」
「そうだな」
「…確かに」
隊長達が集まって軍議のように作戦会議をしてる最中に隊長の一人がふと思いついた事を話すと他の隊長達が同意した。
「無理はしないようにね」
「援軍はいつ来る事になっているんだ?」
「さあ?そもそも来るかな?」
「いや、来るでしょう。流石に見捨てるような真似はしないと思いますが…」
俺の釘を刺すような発言に隊長の一人が疑問を尋ね、俺は何も聞いてない事を告げながら意地悪するように笑ったらお姉さんが呆れたようにツッコミを入れて不安そうに呟く。
「まあ増援が来ても来なくても俺達のやる事は変わらないし」
「そうですが…」
「…ある程度守ったところでこちらから打って出れば敵は退くかもしれんな」
「その場合は敵の背後を突くように左右両側から迂回させるように出撃させた方がいいか…」
俺が軽いノリで言うとお姉さんは微妙そうに呟き、隊長達は地図を見ながら駒を動かして色々と想定するように話し合う。
ーーーーー
「…この場合は…」
「…そうなると…」
「…だったら…」
「…おっとそろそろ飯の時間だ」
…隊長達の話し合いを見守っているといつの間にか夕飯の時間になっていた。
「みんな忙しそうだし…俺が飯作ってくるからそのまま続けといて」
「本当か!」
「助かる」
「やった!」
「久しぶりにご馳走だ!」
俺が椅子から立ち上がってそう告げると隊長達が嬉しそうな顔で喜び出す。
…大人数の食事を用意する事になるので宿屋の厨房を借りよう…と、その場を離れると何故かお姉さんもついて来る。
「…あれ?残らなくていいの?」
「はい。どうせ医療部隊は負傷者の治療をするだけなので」
「…それもそうか」
「みなさん坊ちゃんが居ない想定で話してますけど…医療部隊が動く場合はほぼ他の部隊との連携の上で、ですし…あの場に私が居ても居なくても変わらないと思います」
俺の問いにお姉さんは肯定して理由を話し、俺が納得して返すとまるで言い訳でもするように説明し始めた。
「医療部隊は他の部隊と違ってマジで俺が居ても居なくてもやる事は変わらないからな…突撃について来るとしても真ん中か後ろ方での支援がメインだし」
「坊ちゃんが居れば敵との一騎打ちか、突撃で敵の目を引きつけての背後強襲とか挟み撃ちとか包囲で直ぐに終わりますから、作戦も何も…特に難しい事を考えずに力押しで済みますし」
俺がお姉さんの考えに同意するように返すと何故かお姉さんは隊長達が俺抜きの想定で防衛戦を話し合ってる理由を話す。
「ああ、うん。言わなくても分かるよ?別に隊長達にハブられてるとかイジメられてるとか思ってないからね?」
「流石坊ちゃん。察して気づいてましたか」
「…なんか馬鹿にされてる気がする…まあいいや」
俺の微妙な顔での確認にお姉さんは弄るように意地悪そうな笑顔で褒め、俺はまたしても微妙な顔で呟き…
相手の冗談にマジになって怒るのも空気の読めない人や雰囲気を壊す事になりかねないので適当に流した。
「夕飯は何を作るんですか?」
「サッと食べられるハンバーガーやハッシュド…ハッシュポテトとかかな。いや、ハンバーガーならフライドポテトの方がいいか…」
「あ、それなら何か手伝います?」
「お。じゃあパンに挟んで紙に包んで貰える?」
「分かりました」
お姉さんの確認に俺がファストフードを思い浮かべながら呟くと、お姉さんがありがたい申し出をするので俺はそれを受けて指示を出す事に。
ーーー
「夕飯持って来たよ」
「どうぞ」
俺がギルドに戻ってテーブルの上にハンバーガーの乗ったトレイを置くとお姉さんはフライドポテトの入った小鉢のような容器を配って行く。
「おお!これは…!」
「…『ハンバーガー』とかいうやつか」
「…コレは?」
「ポテトの揚げ物。ケチャップはお好みで」
隊長達が嬉しそうにハンバーガーを取って行くと隊長の一人がフライドポテトを見て不思議そうに尋ね、俺は答えながら調味料の入った小さい容器をいくつかテーブルの上に置いた。
「ほう…ポテトの揚げ物か…うむ、美味い」
「…!サクっとしてるのにホクホクしてて柔らかい!」
「マスタードもあるよ」
先にフライドポテトを食べて感想を言う隊長達に俺はもう一つの調味料の入った小さい容器もいくつかテーブルの上に置きながら告げる。
「…!なるほど、この調味料を付けるとまた味が変わる…!」
「…あ!この調味料ちょっと辛いけど美味しい!」
「あー…僕はこの辛さちょっと苦手かも…でも赤いのをつけたのと二本同時に食べると辛さが緩和されていい感じかも…」
「…なるほど。四種類の味を楽しめるわけか…シンプルな見た目ながらなんとも面白い料理だ」
…隊長達が味の感想を言いながら食べ進めていき、おかわり用に置いた山盛りのフライドポテトがドンドン減っていく。
「…わお」
「あんなにいっぱいあったのに…」
…軽く15人前は入っていたであろうボウルがものの5分で空になるので俺が驚きながら呟くとお姉さんも驚きながら呟いた。
「ジャガイモを3キロ分ぐらいは使ったハズなんだけど…マジか」
「半分ぐらいは残るかなー…と思ってましたけど…まさか直ぐに完食とは…」
予想外の結果に驚きながらも料理を作る側からすると全く残さず完食してくれるのは嬉しい事なので、俺がニヤケながら言うとお姉さんは逆に残り物が食べられなかったからか残念そうに呟く。
領主に仕事の話を聞きに行くと『ぜひ頼む!』とお願いされ…
傭兵団として仕事を貰ったので団員達に話を通して防衛戦の準備をさせる。
「…そう言えば包囲された状態からの防衛戦は初めてだな」
「そうだな」
「…確かに」
隊長達が集まって軍議のように作戦会議をしてる最中に隊長の一人がふと思いついた事を話すと他の隊長達が同意した。
「無理はしないようにね」
「援軍はいつ来る事になっているんだ?」
「さあ?そもそも来るかな?」
「いや、来るでしょう。流石に見捨てるような真似はしないと思いますが…」
俺の釘を刺すような発言に隊長の一人が疑問を尋ね、俺は何も聞いてない事を告げながら意地悪するように笑ったらお姉さんが呆れたようにツッコミを入れて不安そうに呟く。
「まあ増援が来ても来なくても俺達のやる事は変わらないし」
「そうですが…」
「…ある程度守ったところでこちらから打って出れば敵は退くかもしれんな」
「その場合は敵の背後を突くように左右両側から迂回させるように出撃させた方がいいか…」
俺が軽いノリで言うとお姉さんは微妙そうに呟き、隊長達は地図を見ながら駒を動かして色々と想定するように話し合う。
ーーーーー
「…この場合は…」
「…そうなると…」
「…だったら…」
「…おっとそろそろ飯の時間だ」
…隊長達の話し合いを見守っているといつの間にか夕飯の時間になっていた。
「みんな忙しそうだし…俺が飯作ってくるからそのまま続けといて」
「本当か!」
「助かる」
「やった!」
「久しぶりにご馳走だ!」
俺が椅子から立ち上がってそう告げると隊長達が嬉しそうな顔で喜び出す。
…大人数の食事を用意する事になるので宿屋の厨房を借りよう…と、その場を離れると何故かお姉さんもついて来る。
「…あれ?残らなくていいの?」
「はい。どうせ医療部隊は負傷者の治療をするだけなので」
「…それもそうか」
「みなさん坊ちゃんが居ない想定で話してますけど…医療部隊が動く場合はほぼ他の部隊との連携の上で、ですし…あの場に私が居ても居なくても変わらないと思います」
俺の問いにお姉さんは肯定して理由を話し、俺が納得して返すとまるで言い訳でもするように説明し始めた。
「医療部隊は他の部隊と違ってマジで俺が居ても居なくてもやる事は変わらないからな…突撃について来るとしても真ん中か後ろ方での支援がメインだし」
「坊ちゃんが居れば敵との一騎打ちか、突撃で敵の目を引きつけての背後強襲とか挟み撃ちとか包囲で直ぐに終わりますから、作戦も何も…特に難しい事を考えずに力押しで済みますし」
俺がお姉さんの考えに同意するように返すと何故かお姉さんは隊長達が俺抜きの想定で防衛戦を話し合ってる理由を話す。
「ああ、うん。言わなくても分かるよ?別に隊長達にハブられてるとかイジメられてるとか思ってないからね?」
「流石坊ちゃん。察して気づいてましたか」
「…なんか馬鹿にされてる気がする…まあいいや」
俺の微妙な顔での確認にお姉さんは弄るように意地悪そうな笑顔で褒め、俺はまたしても微妙な顔で呟き…
相手の冗談にマジになって怒るのも空気の読めない人や雰囲気を壊す事になりかねないので適当に流した。
「夕飯は何を作るんですか?」
「サッと食べられるハンバーガーやハッシュド…ハッシュポテトとかかな。いや、ハンバーガーならフライドポテトの方がいいか…」
「あ、それなら何か手伝います?」
「お。じゃあパンに挟んで紙に包んで貰える?」
「分かりました」
お姉さんの確認に俺がファストフードを思い浮かべながら呟くと、お姉さんがありがたい申し出をするので俺はそれを受けて指示を出す事に。
ーーー
「夕飯持って来たよ」
「どうぞ」
俺がギルドに戻ってテーブルの上にハンバーガーの乗ったトレイを置くとお姉さんはフライドポテトの入った小鉢のような容器を配って行く。
「おお!これは…!」
「…『ハンバーガー』とかいうやつか」
「…コレは?」
「ポテトの揚げ物。ケチャップはお好みで」
隊長達が嬉しそうにハンバーガーを取って行くと隊長の一人がフライドポテトを見て不思議そうに尋ね、俺は答えながら調味料の入った小さい容器をいくつかテーブルの上に置いた。
「ほう…ポテトの揚げ物か…うむ、美味い」
「…!サクっとしてるのにホクホクしてて柔らかい!」
「マスタードもあるよ」
先にフライドポテトを食べて感想を言う隊長達に俺はもう一つの調味料の入った小さい容器もいくつかテーブルの上に置きながら告げる。
「…!なるほど、この調味料を付けるとまた味が変わる…!」
「…あ!この調味料ちょっと辛いけど美味しい!」
「あー…僕はこの辛さちょっと苦手かも…でも赤いのをつけたのと二本同時に食べると辛さが緩和されていい感じかも…」
「…なるほど。四種類の味を楽しめるわけか…シンプルな見た目ながらなんとも面白い料理だ」
…隊長達が味の感想を言いながら食べ進めていき、おかわり用に置いた山盛りのフライドポテトがドンドン減っていく。
「…わお」
「あんなにいっぱいあったのに…」
…軽く15人前は入っていたであろうボウルがものの5分で空になるので俺が驚きながら呟くとお姉さんも驚きながら呟いた。
「ジャガイモを3キロ分ぐらいは使ったハズなんだけど…マジか」
「半分ぐらいは残るかなー…と思ってましたけど…まさか直ぐに完食とは…」
予想外の結果に驚きながらも料理を作る側からすると全く残さず完食してくれるのは嬉しい事なので、俺がニヤケながら言うとお姉さんは逆に残り物が食べられなかったからか残念そうに呟く。
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