青春日記~禁断の恋だとしても、忘れられない日常を綴ります~

いちごみるく

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「隠してたこと……?」

「うん。隼くんの予想通り、義兄とのことよ。」


菜摘さんは過去の自分や目の前の僕に向き合う決心と気まずさをまるで指先で表すかのように、何度も指を組み替えていた。


その美しい所作やなめらかな白い肌は、これから僕にどんな事実を告げるのだろうか。

脳内を掠めた場違いな感想は、菜摘さんの声で一気に現実へと引き戻されることになった。


「私と義兄は……少し前まで、ほぼ恋仲だったの…。」


耳に届いた菜摘さんの言葉が、頭の中で何度もこだました。

だけど不思議なことに、それを聞いた僕の胸は、どこか予想していたかのような冷静さを保ったままだった。

むしろ、この事実を菜摘さんの口から認めさせた後のこと、これからのことを咄嗟に考える必要があるかのように思われた。


「そうなんだ……少し前ってどのくらい前?」

「……今年の冬までよ。」

「じゃあ1月とか2月あたり?」

「2月までよ。」

「そんな…」


約二ヶ月前まで、菜摘さんと義兄と恋人関係のようになっていた……。

今年の2月と言えば、菜摘さんの家で一緒にバレンタインチョコを食べた想い出がある。

僕が学校の女子からチョコを貰ったことで、菜摘さんが少しヤキモチを焼いてくれたのも2月だった。

まだまだ鮮明に思い出される記憶が残っている時期まで……本当に菜摘さんの言葉通り、"少し前"まで、彼女には他の男性がいたのだ……。


「ごめんなさい隼くん。私は隼くんを裏切ってたことになるわね。」

「……どうして…」

「ごめんなさい。許してくれなくてもいい。嫌いになったならこっぴどく振ってくれてもいい。本当にごめんなさい…。」

「嫌いになれたら…こっぴどく振れたらどんなに楽か……。菜摘さん…僕は、この話を聞いても菜摘さんのことを嫌いになんてなれないよ…。」

「隼くん…」

「だけど、どうして…?理由が知りたいよ…。子供な僕だけじゃ、やっぱりダメだった?」

「違うわ!違うの。隼くんだけじゃダメなんてそんなことじゃないの。むしろ、逆よ……」

「逆…?」

「そう。…私は、いつか隼くんに捨てられると思うから……だからお義兄さんと……」



泣きながら説明する菜摘さんの言葉に、僕は頭が真っ白になるくらいショックを受けた。

正直、菜摘さんが義兄と関係を持っていたことを聞いたときよりもずっと大きいショックだ。

菜摘さんの中で、僕はいつか菜摘さんを捨てることになってるんだ。

菜摘さんの中で、僕と菜摘さんのこの関係は永遠じゃないんだ。

菜摘さんからしたら、僕は一時的な恋人なんだ。

何度も僕の気持ちを伝えたのに。

何時になっても、何年後になっても、僕は菜摘さんのことだけを想い続けるって、そう言ったのに……



「……なんにも届いてなかったんだ……」


思わず涙が溢れてきた。

震える声でそう言うのがやっとだった。

僕の気持ちは、一切菜摘さんには届いていなかったんだ……
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