141 / 217
17頁
10
しおりを挟む
昭恵さんと教室で話したとき、僕は「仮に自分が菜摘さんの一番になれなくても、自分の気持ちが菜摘さんにちゃんと届いて、それが彼女の自信や糧になればいい」って、そう言った。
そしてその気持ちは、僕が片想いをしていた頃からずっと抱いてきた気持ちだった。
それなのに……
僕の気持ちが届かないばかりに、菜摘さんは自信を失い半ば自暴自棄になっていたなんて……。
そしてその自暴自棄が、僕以外の男性に抱かれるという行為に繋がるなんて……。
自分がこれまでしてきたことが一体何だったのか、最早分からなくなってきた。
「…菜摘さんは…僕が菜摘さんを捨てないっていう確信を持てるまでは…ずっとそうやって生きていくの…?」
半分放心状態の僕の前で泣きじゃくる菜摘さんに問いかけると、彼女は顔を上げ、涙でいっぱいの目を僕に向けた。
「どうしたら菜摘さんを捨てないって…一生思い続けるって信じてくれるの?それさえ信じてくれれば、もう他の人と深い関係になったりしないんだよね?」
闇。
それはもう、真っ暗でとても深くて、抜け出す術も助け出す術も簡単には見つからない漆黒の闇だ。
僕は菜摘さんの中に、そんな闇を見た。
きっと彼女の心は、僕の知らない過去の中で何度も傷つき抉られヒビ割れてるんだ。
だけど僕は今の彼女しか見てこなかったから、それに気がつけなかったんだ…。
だから、彼女が抱える不安や闇を、こんなに近くにいながらも見つけられなかったんだ…。
考えれば考えるほど、自分を責める気持ちになる。
菜摘さんはさっきの僕の問いかけに、ゆっくりと頷いた。
「ねえ菜摘さん……。僕は、これからも菜摘さんと付き合っていきたい。ずっと大好きだし捨てようなんて思わないしむしろ何があっても離れたくないよ。だけど、今まで菜摘さんが不安に思ってたことを何も気付なかったんだよね…?知らない間に不安にさせてたんだよね?それなら…これからはそんなことがないように、菜摘さんを心から安心させるようにしていきたい。僕が本気で菜摘さんだけを好きなんだってことを、ちゃんとわかってもらいたい。だから……今菜摘さんが感じてる不安や不満を、全部僕にぶつけてよ。ちゃんと全部聞くから…。」
僕はこれまでの自分への戒めの意味も込めて、菜摘さんの心の闇を全て聞こうと思った。
だけど菜摘さんはなかなか決心できずにいるのか、しばらく黙ったまま涙を流し、鼻をすするばかりだ。
僕はまだ菜摘さんの"本当の隠し事"に気づけていないのだろうかと不安になってきた。
そしてその気持ちは、僕が片想いをしていた頃からずっと抱いてきた気持ちだった。
それなのに……
僕の気持ちが届かないばかりに、菜摘さんは自信を失い半ば自暴自棄になっていたなんて……。
そしてその自暴自棄が、僕以外の男性に抱かれるという行為に繋がるなんて……。
自分がこれまでしてきたことが一体何だったのか、最早分からなくなってきた。
「…菜摘さんは…僕が菜摘さんを捨てないっていう確信を持てるまでは…ずっとそうやって生きていくの…?」
半分放心状態の僕の前で泣きじゃくる菜摘さんに問いかけると、彼女は顔を上げ、涙でいっぱいの目を僕に向けた。
「どうしたら菜摘さんを捨てないって…一生思い続けるって信じてくれるの?それさえ信じてくれれば、もう他の人と深い関係になったりしないんだよね?」
闇。
それはもう、真っ暗でとても深くて、抜け出す術も助け出す術も簡単には見つからない漆黒の闇だ。
僕は菜摘さんの中に、そんな闇を見た。
きっと彼女の心は、僕の知らない過去の中で何度も傷つき抉られヒビ割れてるんだ。
だけど僕は今の彼女しか見てこなかったから、それに気がつけなかったんだ…。
だから、彼女が抱える不安や闇を、こんなに近くにいながらも見つけられなかったんだ…。
考えれば考えるほど、自分を責める気持ちになる。
菜摘さんはさっきの僕の問いかけに、ゆっくりと頷いた。
「ねえ菜摘さん……。僕は、これからも菜摘さんと付き合っていきたい。ずっと大好きだし捨てようなんて思わないしむしろ何があっても離れたくないよ。だけど、今まで菜摘さんが不安に思ってたことを何も気付なかったんだよね…?知らない間に不安にさせてたんだよね?それなら…これからはそんなことがないように、菜摘さんを心から安心させるようにしていきたい。僕が本気で菜摘さんだけを好きなんだってことを、ちゃんとわかってもらいたい。だから……今菜摘さんが感じてる不安や不満を、全部僕にぶつけてよ。ちゃんと全部聞くから…。」
僕はこれまでの自分への戒めの意味も込めて、菜摘さんの心の闇を全て聞こうと思った。
だけど菜摘さんはなかなか決心できずにいるのか、しばらく黙ったまま涙を流し、鼻をすするばかりだ。
僕はまだ菜摘さんの"本当の隠し事"に気づけていないのだろうかと不安になってきた。
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

その男、人の人生を狂わせるので注意が必要
いちごみるく
現代文学
「あいつに関わると、人生が狂わされる」
「密室で二人きりになるのが禁止になった」
「関わった人みんな好きになる…」
こんな伝説を残した男が、ある中学にいた。
見知らぬ小グレ集団、警察官、幼馴染の年上、担任教師、部活の後輩に顧問まで……
関わる人すべてを夢中にさせ、頭の中を自分のことで支配させてしまう。
無意識に人を惹き込むその少年を、人は魔性の男と呼ぶ。
そんな彼に関わった人たちがどのように人生を壊していくのか……
地位や年齢、性別は関係ない。
抱える悩みや劣等感を少し刺激されるだけで、人の人生は呆気なく崩れていく。
色んな人物が、ある一人の男によって人生をジワジワと壊していく様子をリアルに描いた物語。
嫉妬、自己顕示欲、愛情不足、孤立、虚言……
現代に溢れる人間の醜い部分を自覚する者と自覚せずに目を背ける者…。
彼らの運命は、主人公・醍醐隼に翻弄される中で確実に分かれていく。
※なお、筆者の拙作『あんなに堅物だった俺を、解してくれたお前の腕が』に出てくる人物たちがこの作品でもメインになります。ご興味があれば、そちらも是非!
※長い作品ですが、1話が300〜1500字程度です。少しずつ読んで頂くことも可能です!
俺は彼女に養われたい
のあはむら
恋愛
働かずに楽して生きる――それが主人公・桐崎霧の昔からの夢。幼い頃から貧しい家庭で育った霧は、「将来はお金持ちの女性と結婚してヒモになる」という不純極まりない目標を胸に抱いていた。だが、その夢を実現するためには、まず金持ちの女性と出会わなければならない。
そこで霧が目をつけたのは、大金持ちしか通えない超名門校「桜華院学園」。家庭の経済状況では到底通えないはずだったが、死に物狂いで勉強を重ね、特待生として入学を勝ち取った。
ところが、いざ入学してみるとそこはセレブだらけの異世界。性格のクセが強く一筋縄ではいかない相手ばかりだ。おまけに霧を敵視する女子も出現し、霧の前途は波乱だらけ!
「ヒモになるのも楽じゃない……!」
果たして桐崎はお金持ち女子と付き合い、夢のヒモライフを手に入れられるのか?
※他のサイトでも掲載しています。
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。

百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

隣人の女性がDVされてたから助けてみたら、なぜかその人(年下の女子大生)と同棲することになった(なんで?)
チドリ正明@不労所得発売中!!
青春
マンションの隣の部屋から女性の悲鳴と男性の怒鳴り声が聞こえた。
主人公 時田宗利(ときたむねとし)の判断は早かった。迷わず訪問し時間を稼ぎ、確証が取れた段階で警察に通報。DV男を現行犯でとっちめることに成功した。
ちっぽけな勇気と小心者が持つ単なる親切心でやった宗利は日常に戻る。
しかし、しばらくして宗時は見覚えのある女性が部屋の前にしゃがみ込んでいる姿を発見した。
その女性はDVを受けていたあの時の隣人だった。
「頼れる人がいないんです……私と一緒に暮らしてくれませんか?」
これはDVから女性を守ったことで始まる新たな恋物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる