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5章 高等部~そして卒業まで

5-22 あとの憂いも無いように

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 面倒事というのは、放置しておけばそれだけ熟成され、より大きな面倒ごとになり得る。

 例えば、一つの組織を潰したとしても残党が残っていて、それを放置しておくと新しいタイプの組織を作ってきたりして、どんどん増えていく可能性があるだろう。

 雑草であれば根っこごと抜かねば復活し、某猫ロボの増える液体も放置すればどんどん倍加‥‥‥いや、これはまた違うかな?


 とにもかくにも、やるのであれば根絶を目指し、二度とないようにしなければならない。

 何か怪しい研究などをしている可能性も非常に大きいのであれば、残すことなくすべてを消し飛ばさなければいけないだろう。



 放置しておいて、滅びた国の例もいくつか存在しているそうで、帝国では教訓として学んでおり、だからこそ逃す気はない。


「そして今回の報告で、大量に兵士を投入決定か‥‥‥まぁ、ついでに僕らも発見者兼重要戦力として駆り出されるのは予想できていたとはいえ、本気ぶりがすごいよね」
「キュルル、全員、後に残したくないのかも。今の平和な生活、皆乱されたくない」


 兵士たちだけでなく、僕らも向かうことになる、怪しい施設。

 先日の大量の化け物たちの発生源という疑いもありつつ、邪神から見ても狂気じみていてどうにかしてほしいと言われるような相手だからこそ、最大限惜しむことなく徹底的に潰す気満々なのがうかがえる。

 一応、犠牲なんかも出ないように回復薬も大量に生成しているし、万が一の際には切り札もあるらしいからね。

「というか、その切り札って何?ハクロが用意したんだよね?」
「ふふふ、大丈夫大丈夫。フックにも頼んで、用意してもらっているけれども、使わなくて済むと思うの。もしも何もなければ、結婚式で改めて見せる機会があるから、楽しみにしてね♪」
「どういうものなのか、気になるんだけど」

 ここでの切り札にしておいて、出番がなければ挙式時の楽しみとは何なのか。

 色々と疑問に思うけれども、まぁ彼女が用意したモノでハズレはたぶんないだろうし、平和な時につかえるのであればそっちの方がいいのかもしれない。

 とにもかくにも、目指すは怪しい施設の壊滅と、邪神も恐れる狂気の集団討伐。

 今後の憂いにもしないように、徹底的にやることを決めるのであった‥‥‥‥









‥‥‥そして兵士たちとアルスたちが一緒に向かっていた丁度その頃。

 その施設内の奥深くでは、もう間もなく時が満ちようとしていた。

【…‥‥とは言え、これではまだまだ足りぬ。もっと用意したいところだが、量産は間に合うか?】
「やりたいところですが、効率が低下しております。やはり鮮度も魔力もだいぶ減っており、新しい素体を用意したほうが良さそうです」
「それに、万が一に備えてのものも用意している分、そちらに回しているのもありまして…‥‥やるのであれば、それをこっち側にしたほうがより早くなりそうです」
【駄目だ。こちらはこちらで、別の方で回収作業も…‥‥と、どうやらその時が来たようだな】

 教祖がそうつぶやき、首をかしげる信者たち。

 今用意しているものが完成したのかと思いかけたが、その様子はない。

 となると、その言葉の意味としては…‥‥

「まさかですが、ここがバレたと…?」
【そのようだ‥‥‥‥ちょうど都合がいい。利用できる者たちがわざわざわやってきたからな】

 信者の言葉に対して、教祖はニヤリと口角を上げてそう口にする。

 相手が潰しに来ているのかもしれないが、それはどうだっていい。今できる事を、より多く可能にできるいい機会だと思えるのだから。

 多少の犠牲は出るかもしれないが、それでも教祖にとってはそれもどうでもいい。自身にとって、神に対してできることのみしにしか興味がないのだから。


‥‥‥様々な思惑や策がめぐらされる中、大きな争いが起きるだろう。

 それに最終的に勝てるのは、いや、そもそも勝利や敗北というものが、この争いにあるのだろうか。

 その疑問に対しての答えは、神のみぞ知るのであった‥‥‥‥

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