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第三章 毒であり薬

131 ガラス細工

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 男の人の身体なのに艶かしい色気を醸しだしていて目が釘付けになってしまった。

 夜着を取り去るその手は私がガラス細工になってしまったみたいにそっと丁寧に扱ってきて、なんかくすぐったくて。

 エディが普段私にする適当な扱いが嘘のようで、別人かと疑いたくなる。

 一度はすべてを見られてしまったはずなのに、それでも恥ずかしくて。

 隠そうとしたらエディに両手の自由を奪われた。

 何も隠すものが無くなった私の裸体を隅々まで余すことなく熱を孕んだようなエメラルドグリーンの瞳にじっくりと眺められて、羞恥で身体が火照る。

「カレン綺麗だ、愛してる大事にするから」

 そんな言葉を平然と吐いて、楽しそうに私の身体に触れはじめた。

 触れる手はとても優しくて私がこの人にとって、とても大切なものだと錯覚してしまいそうになる。

 頭のてっぺんから、つまさきまで口づけを落とされて全身が性感帯になったようにびくびくと身体が跳ねる。

 恥ずかしくて声なんて出したくないのに。

「っあ、ふ……ゃん……」
 
 私の意思なんて関係なく淫らな声が出てしまって恥ずかしいのに。

「声我慢しなくていいから、ほらもっと聞かせて」

 そんな事を柔らかく微笑みながら余裕なんてないとか言っていた癖に、余裕そうに言うから腹が立つし。

 いまだに子ども扱いされてる気がするし。

 全身に口づけして満足したのか、また人の上に覆い被さるように乗ってきて唇を重ねてくる。

 ……なんでだろう? 

 前は直ぐに胸とか色々触ってきたのに今回はわざと避けているように触れてこない。

 そんな背中とか足とか擦ってないで、もっと触れて欲しいのに全然触ってくれなくてもどかしい。

 口づけも、さっきみたいに深くして欲しいのに。

 どうして触れてくれないのか、見つめていたら。

「……どうした、カレン? そんな物欲しそうな顔して、初めてなのに……いやらしいな?」

「っえ? ……あ、……わたし……?」

 突然そんな事を言われて。

 羞恥で涙がぽろぽろと勝手にこぼれ落ちて。

「え……? ごめ! 違っ」

 それに気付いてエディが慌てて謝ってくるけど、謝られたからって直ぐには涙は止まらなくて。

 泣くつもりなんて無いのに最近涙腺が弱くて困る。

「ごめん! ほんとごめん、ちょっと……調子に乗った、そんな風に本当は思ってないから! あー……、泣くなって、……ごめんな? どうしよ……」

 私を泣かしてしまってエディが焦って必死に落ち着かせようと、なだめたりすかしたりしてきて。

 エディの腕にきつく抱きしめられて、謝られて、あやされて涙がようやく止まったら。

「っごめん、もう今日は止めるか? ごめんな、……つい可愛くて、いじめたくなって、お前を傷つけるつもりはなかった、ほんとごめん」

「ん、大丈夫、ちょっとびっくりしちゃっただけだから、……エディ辛いでしょう? 続き……してもいいよ?」

「いや、そりゃ、まあ辛いけど。 でもいいのか?」

「……うん」

「ごめんな? 意地悪なんてもうしないから、優しくするから、ほんと可愛いから……」
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