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第三章 毒であり薬

101 我慢

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 ……なんなのだろうか、この子は。

 大人しくキスを受け入れる癖に。

 俺の事好きだって顔に書いて、護衛に戻ってからずっと嬉しそうに接して来る癖に。

 それにあの日も大して嫌がりもせず。
 大人しく途中までは受け入れてたのに、自分で助かりやがって……人の気持ち多少は配慮しろよ?

 カレンは嘘は吐かない。
 でも本当の事も決して言わない。

 文句は言うが、泣き言は言わないし。
 人を顎で使うが、人に頼ろうとしない。

 そして誰とでも仲良くするが、誰も信用も信頼もししていない。

 誰とでも貴賤に関係なく平等に接しているが、それはただの見せかけで。

 誰に対しても分け隔てなく見えない壁を作り、決してその壁を越えさせてはくれない。

 そんなカレンから離れて、やっとカレンという人間の本質がエディはわかり始めた。

 本音なんて絶対に言わないカレンの口を割らせるなんて、至難のわざで骨が折れる。

 それにイクスに帰るなんて、そんなこと許せるわけがないだろう? 

 もうお前を離さないと決めたのに。
 
「じゃあ……続き、しようか?」

「まじやめろ? 離せ馬鹿! 変態!」

 カレンの赤く色づく唇は、ずっとキスしていられるくらい柔らかく甘い。

 ジタバタと抵抗してくるカレンの服を脱がせようとすると、イヤイヤと無駄な抵抗をしてきて。

 エディはそれもまた堪らなく可愛くて。

 服を脱がせ下着を外すと。
 顔が真っ赤に染まり、目元が潤み。

 恥ずかしいのか必死に隠してくる所が、とても可愛らしくて。

 イヤイヤ言う癖にやろうと思えば身体強化でも攻撃魔法でも使って、押し退けられるはずなのに。

 目を潤ませて、やめてと可愛らしく抗議してくる姿が堪らなく欲を掻き立てた。

 なのに絶対になにも答えない頑ななカレンに、エディは苛立った。

 そんなに俺はお前に頼られないほどに弱く、頼りなく見えるのかと。

 そして愛してると言えば、その度にカレンは少し辛そうな表情になって。

 最初はこんな風に、ここまで触れたりするつもりなんてなかった。

 けど、全然カレンが折れてはくれなくて。

 これ自分の理性との戦いだなと。
 やってしまった、始めてしまった行為に少しだけエディは後悔した。

 流石に婚約すらしてない成人したてのカレンに最後までは出来ないし、嫌だと一応言ってくる女に無理やり突っ込むなんて無体な事出来ない。

 カレンの初めては大事に時間をかけて、お前は俺のものだとわからせてやりながら奪ってやりたい。

 ……なのに魅力的過ぎるんだ。

  組み敷いて、隠すものを全て奪った無防備な姿。

 その艶やかな肌を晒すカレンの身体が。

 色が変わる前のカレンは庇護欲を誘い触れるのには罪悪感を感じた。

 なのに今のカレンは、魅了されてしまったように欲が刺激されてしまって。
 
 カレンをぐちゃぐちゃに犯してしまいたくなる。

 そんな劣情を、衝動を。

 エディはギリギリの所で必死に抑え込んでいた。
 
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