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第ニ章 英雄の少女
75 躾
しおりを挟む手足を魔法により拘束され、カレンに教育と称して拷問を施されて、ぴくりとも動かなくなった騎士二人をそれは楽しそう観賞し、観察し、やっと解放する動作を行い、脈を取り、瞳孔を観察し
「よし! 死んだ!」
と、場違いなハイテンションでカレンは宣言する。
それを、教育という拷問を間近で見物していた騎士達は、騎士団団長達はその事態に。
「え? は? カレン様……? なにやって?」
「ん? あぁ一回さ殺しておこうかなって思って!」
「「「はい?」」」
「あはは! そんな顔しなくても大丈夫だよ? 今から蘇生してあげるからね? さてここに取り出しますは、カレンちゃん特性ポーションの激不味仕様でございます? これをね……ホムちゃん出ておいで?」
ぐちゅ……ぬちゅ……と背筋が凍るような不快な水音を伴ってカレンの影からぬるりと赤黒くおぞましい……生物は這い出てくる。
粘液がとろとろと、地面に染み込みあまり気分の良いものではないそれはピクピクと波打つ様に動く。
それに優しく己の手が汚れるなどお構いなしにその小さな手で撫で上げる。
そしてカレンは小瓶に入った黒い液体をそれに渡すとホムちゃんと呼ばれたそれは、ぬちょ……と不快な音を立てて触手のようなものでそれを受け取り、自身に取り込んだ。
触手は、ぬちょ……と音を立てて倒れる騎士二人の口元にそれを押し当てじゅぷっ……! と口腔内に侵入した。
「っひぃぃ……!!」
と、その光景を見ていた騎士の一人が恐怖に悲鳴をあげるが触手は止まらない。
ぬちゅ……ぬちゅ……と粘液を滴らせ騎士の口元を汚しながら侵入していく。
「よし、ポーションは入ったかな? よし、蘇生しちゃおうね?」
そう言いカレンは騎士の胸部を足で圧迫……何度も足で踏みつけると、ビクリと倒れた騎士達は反応しゆるゆると目を開けてしまう……。
「……ーー!!!!」
口腔内に触手が侵入していて喋れないのだろうがその様子から絶叫してることが見て取れた。
そのおぞましいカレンの蘇生方法にそこに居合わせた皆がゾワゾワと総毛立った。
この日カレンの躾を一部始終見ていた騎士達はカレンだけは絶対に敵に回してはいけないし、彼女にだけは蘇生を頼みたくないと思った。
そして錬金術師は怖いと認識した。
「うぇっ! ……げぇ……うあっ」
「あっぅぐ……っひぃ! ……うぇっ」
蘇生された二人は口の中の粘液と口の周りの粘液を必死に掻き出す。
騎士服は粘液と土が混じり泥々に汚れて汚ならしいし、口の中はポーションの酷い味と臭いで気持ち悪いし、カレンのペットのホムンクルスの粘液によって吐き気に襲われて最悪な気分だった。
「ねえねえ、どうだった? 楽しかった?! 一回さ死んだんだけど、どう? 臨死体験は! 躾はできたかな? あ、もう一回する?」
カレンのその言葉に先ほど行われていた死ぬほど苦しい……一度気軽に殺された、拷問がサッと思い出され、恐怖にうち震える。
「あ……か、カレン様……おゆぅ……お許しくださいぃ……!」
「っひ……! ご……ごめんなさいいいぃ……」
と、騎士二人は地面に額を押し当て平伏しカレンに誠心誠意の謝罪を繰り返した。
「仕方ないなあ? 今回はこれで許してあげようね? ……オスカー後片付けよろしく」
先ほどまでの楽しげな雰囲気がスッと消えてオスカーに指示を出すカレンの声は冷たい。
側でその様子を見て、聞いたエディは今までそんな態度のカレンなど、……一度も見たことがなく驚く。
「次、こんなことがあれば国際連合の執行官達が動くからしっかりと覚えておいてね」
「はい、誠に申し訳ありませんでした」
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