【完結 R18】ほかに相手がいるのに

～拓海～

未読

「さ～～ってと…　じゃ、拓海君、私そろそろ部屋に戻るね？」

「あ…うん、朝ごはん、ありがと…美味かった。」

「どう、いたしまして～～　そうそう、私さ、前から頼みたいこと、あったんだよね～」
瑠衣が、にんまりと笑う…何か、嫌な予感がする…。

「な…なんだよ、頼みって…」

「あのね、葉月ちゃんの…拓海君の彼女の写真見たいっていう…願い…話は沢山聞いたけど、見てみたいなって」

写真か…葉月の写真…別にいいけど…

俺はスマホを手にしてぎくりとする。

え…？　
いまだ…葉月に昨夜送った何通かのラインが未読のままだ…　

本当に、何かあったんだろうかと、少し不安になる…。

もしかして、仕事か飲み会か、すぐに俺に返信しにくい状況があったとしても…
読むだけくらいならできるだろうとも、思う…

さすがにもう昼近い…時間だ…
なんでだ…？
何があった…　もしかして、携帯の故障か…　？

もう一度通話履歴を見るが、やはり向こうからかかった様子もない…。　

「どうしたの？拓海君…　そんな、熱心に選ばなくて大丈夫だよ…？あるあるだよね～～彼氏彼女の写真見せてって言われて、一番映りいいやつ、探して見せちゃうっていう、あれでしょう…？ふふ…」

「や…そんな、わけじゃ…　ない…だけど…」

とりあえず、瑠衣が帰ってから…もう一度、こっちから連絡してみよう…

ああ…ざわざわする…　　どうしたんだ、葉月…

そんな内心とは裏腹に、俺は瑠衣に携帯を差し出した。

結構前のデートで…水族館でツーショットで映った写真だった。