【完結 R18】ほかに相手がいるのに

もえこ

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~拓海~

責任転嫁

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セフレ…

一瞬、思考がストップしかけるが、すぐに舞い戻る…

うん、

…そう、だな…

俺と瑠衣は、単なるセックスフレンド、なのだ…
フレンド…つまり友達なんだから、
葉月に対して、罪悪感なんて…感じる必要すらないのかもしれない。

この前散髪に行った時に、雑誌を読んでいて、驚いた…。

キスフレとか、ソフレ…、ハグフレとか…今は、色んな○○フレンドが都合よく、散りばめられている世の中らしい。

一部の男女がそんな都合の良い関係性を構築して…
肉体関係の一歩…いや、数歩手前で、お互いを慰め合っているらしい、世の中…。

一途に、ただ一人の相手だけを思って恋愛をする人間が…
そんな真面目な人間が、場合によっては損をしてしまう世の中なのかもしれない…
俺と葉月がまさに、そうだ… いや、そうだった… 
真面目と真面目がぶつかり合うような、恋愛… 
俺はこれまでずっと、疑問に思わなかった…

でも、俺は変わった… 
いや、わかった…悟ったのだ…。

そんな一途なもの…
一途な気持ちは…あまり意味がないこと…なのかもしれない…

その人だけではなく、他の人と少し付き合ってみること…
それも、場合によってはアリなのかもしれない…

仮に、一人しか知らずに…一人としか付き合わずに結婚した場合…
特に、その相手に不満を感じた場合に…
他の人とも一度くらいは付き合っていればよかったなどと、後悔することにはならないだろうか… 

なんて、そんな風に…自分のした行為を正当化しようとしても無駄だな…。

もちろん今の俺は最低だ… 
決まった相手…葉月がいるのに、他の女と身体を重ねている…それも何度もだ。
間違いなく…100パーセント、俺が悪い… 完全に二股、なのだから…
そういう自覚は確かに俺の中に、間違いなくあるのだが…

これからの長い人生を…
葉月一人だけだと決めてかかって、それを貫く…
それは本当に、正解なのだろうか…

「ん…?どしたん…拓海君、ぼうっとしちゃって…」

「ん… ああ… 」俺は、から返事をする…

瑠衣の発した「セフレ」という言葉に、ほんの少しだけ胸が痛んでいた…

セフレだろうがなんだろうが自分が抱いた女が、他の男のことを堂々と口にすること…
それだけで、なんとなく嫌な気分になった。 
あくまで、俺と瑠衣は割り切った関係…俺は、セフレの立場のくせに、だ…

セフレと言う関係性には…やはり、性格により、向き不向きがあるのかもしれない。

だが、駄目だな…何も言えない、というか、何も言わないのが正解だ…。

「そう、だな…セフレだもんな…俺達…」独り言のように呟く。
「そうそう、私たちはお互いに有罪だけど、ある意味で無罪なんだよ。相手にも悪いところ、あると思うし…」
「… … 相手… … ?」
「そう、葉月ちゃんにも…さ…私の本命クンにも…私たちを寂しくさせた…ほったらかしにした罪、みたいなの…少しはあると思わない…?」
「葉月… 葉月はさ… …」

悪くない… 葉月は悪くない… 瑠衣…それは絶対に違う… 
おまえが言うそれは…それは、完全に責任転嫁ってやつだろう… ?
俺たちがしたことは、俺たち自身の選択によるもので、100パーセント、悪いに決まっている…

でも、そう口に出して…瑠衣に言えなかったのはなぜだろう…  

俺の心の奥底に、葉月に対して、何かが、引っかかっていたからだ…  
何か違う… 何かが、俺を不安にさせる… 

葉月…やっぱりおまえは何か俺に、隠しているんじゃないか… ?

俺はざわざわした気持ちを抱えながら、食器を片付けに流しに向かった。




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