異世界に落っこちたら溺愛された

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本編

やってきた僕の友だち

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「そう言えば、アサヒが言っていた『離れていた間に出来た友達』は今もその空間で生活しているのか?」

「うーん…どうなんでしょう?詳しく聞かないで扉を潜って帰ってきたので…」


あれから前と変わらない日常に戻った僕たちは邸の中庭にある大きな木の下のベンチに座って寛いでいると、突然思い出したのようにレオンさんは言った。

読んでいた本に栞を挟みパタンと閉じて僕は考える。


あの時は帰る事にいっぱいいっぱいでフェル達から何か聞き逃したかも…いや、特に何も言われてないよなぁ…?


うーん…と悩んでいると僕たちが座っているベンチの目の前に何処からともなく小さなキラキラと輝く光が集まりだし形を作る。

なんとも既視感のある光景に口をぽかんと開けて呆然とする僕と慌てるレオンさん。


「な、なんだっ!?」

「も…もしかして…この扉っ…」


みるみるうちにキラキラと輝く光は扉の形に変形しゆっくりと開き僕を目掛けて何かが飛び出してきた。


「うわっ!!」

「アサヒ会いに来たぞ」


いきなりの出来事で反応が遅れた僕はその飛び出してきた何かにぶつかった。

白くてふわっとした感触を顔面に受け止めた僕と、その光景を見て固まるレオンさん。そして僕の顔面にぺたっとへばりつく毛玉。

しばらく理解が追いつかなくてフリーズしてしまったが息が苦しくなり白い毛玉を掴んでガバッと引き剥がして、その正体を見て僕はよりいっそう驚いた。


「フェル!?」


そう、扉から飛び出して僕の顔面にへばりついたのは子犬姿のフェルだった。

僕の知っているフェルはもっとずっと大きくて凛々しく神々しいフェンリルだったのに、今はころころして愛くるしい子犬そのものだ。


「どうしたのその姿!?」

「これか?少し力を使いすぎてしまってな。その反動で小さくなったのだ。なに、暫くして力が戻ったら元に戻る」

「そ、そうなんだ…よかった」


なんと僕の元へ扉を繋げる為に相当な力を使ったらしい。それもそのはず、時空がねじれて違う空間同士を繋ぐのだ。それ相応の力を必要とするみたい。しかも僕が帰る時と今を合わせて短期間の間に複数回も扉を使用したため、いくら神獣のフェルと言えど力は枯渇寸前まできてしまったらしい。

僕の顔面から剥がしたあとは力尽きたようにくたっとするフェルをみて、よしよしと膝の上に優しく置いてモフモフの毛皮を撫でる。

気持ちよさそうに目を細めてくつろぐフェル。元の姿の時は神々しくて頼りがいのある落ち着いた印象だったが、子犬姿の今は感情の赴くまましっぽを左右にフリフリ振っている。


かわいい…癒される…


数分後、ようやく落ち着きを取り戻し僕はレオンさんにフェルを紹介した。

フェルが神獣であること、名前をあげたこと、僕の守護獣になったこと…僕の話を聞いていたレオンさんは終始驚愕の表情だったが真剣に最後まで聞いてくれた。


「事情聴取であらかた知ったつもりでいたが…そうか、そんな事が起こっていたのか」


レオンさんはそう言うとベンチから立ち上がり僕の膝の上で丸まってくつろいでるフェルに視線を合わせる様に膝をつき頭を下げた。


それに気づいたフェルが顔を上げレオンさんを見つめる。


「フェル殿…アサヒを保護し護って下さりありがとうございます」

「気にするな…アサヒを助けたのも守護獣になった事も我が好きでしたことだ」


そう言いながらフェルは柔らかく微笑んでレオンさんを見つめる。

僕はその光景を見て胸がポカポカしてきて嬉しくなりフェルを抱えたままレオンさんに抱きついた。


「うぐっ…」


勢い余って抱きついたせいで僕とレオンさんに押しつぶされたフェルの変な声が聞こえた。慌てて離れたが、なんだか可笑しくなって3人で笑いあった。


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