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後日談:屋根裏部屋は異空間! おにぎりが結ぶ、俺を知らない父さんとの縁

ダンジョンの中のはずが、どこかの酒場っぽいところに来てしまった 自分でも何を 

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 真っ先に目に入ったのは、まるでどこかの酒場かと思えるほどの冒険者達の人だかり。
 さっきまでは絶望に近い環境だった。
 それがそんなアットホームな雰囲気が満ちている広い部屋。

「お? 初見さんか? こっちの兄ちゃんは随分ダメージ食らってるようだな。おーい、誰かアイテムか薬、ないかー?」
「え? え?」
「ここ……何なんだ?」

 四方が平らな石や岩で作られた小部屋から移動した先は、どこかの酒場かと思えるような木造の大部屋だった。
 そして大勢の冒険者達がそこにいた。
 けど、見慣れない種族や見慣れない装備をしてる人達もいた。

「ほら、そっちの嬢ちゃんも」
「え? え? わ、私?」

 フォールスが慌てふためいてる。
 俺の手当さえしてもらえればいいと思ってたんだろうな。
 見た目フォールスは無傷のままみたいだが。

「あ? あぁ、違う違う。ほら、握り飯だ。一日二回だけだがな。食えよ。元気になるぞ? そっちの坊やも」

 ……坊やって言われ方も久しぶりだな。
 フォールスも、何か顔を赤くしてる。
 嬢ちゃん、なんて呼ばれたせいかもな。

 でも、自分以外の人が作ったおにぎりを食べたのって、久しぶりな気がする。
 父さんが死んでからは……母さんが作ったのを一回だけ食べたっけ。
 あとは自分で作ったやつ。

 お昼ご飯の食事で食べた。
 だから、周りの大人達の話を聞いてから口にしてみたから、あの時とは何かがこう、違った。
 そうだ。何か薬を飲むって感じ。
 もちろんおにぎりの味なんだけど……。

 飲み込むごとに、痛みが薄れてく感じがする。
 いや、薄れるというか……痛みが痒みに変わっていく。

「何、これ……。何か……美味しくないんだけど……。あんたの作ったおにぎりの方がよほどマシね」

 フォールス……。
 ここ、クラスじゃないぞ?
 ダンジョンの中……だと思うんだけど、普通の冒険者達もいるんだから、言葉に気をつけろよ。

「いや、それ、言い過ぎだろ。こうして持ってきてもらってるんだし……」
「言い過ぎ? じゃあ訂正するわね。あんたのおにぎりと同じくらいのまずさね」

 言い過ぎってお前、俺のおにぎりの評価のことじゃねぇよ。

「はははは。お前達、余裕あるな。あ、喉につっかえるとまずいな。コウジー、握り飯作ってるとこ悪いが水くれ。二人分なー」
「コウジ今忙しいからー。私そっちに持ってくねー」
「おーぅ、すまんなー、シェイラー」

 え?
 コウジ?
 ……おにぎりを作ってる人の名前、コウジ?

「……どうしたの? エッジ。具合悪くなった?」
「あ……いや……。お、俺、お礼言ってくる」
「え……? エッジ、あんた急に立ち上がって大丈夫なの?」
「え?」

 そう言えば、体に痛み……痒みも消えた。

「あ……あぁ。傷口まで、消えてる……」

 フォールスの口は半開きだ。
 信じられないんだろうな。
 俺だって、さっきまではこいつの肩を借りないと歩けなかったんだから。
 このおにぎりのお陰……としか言いようがない。
 もしそうなら治癒力にも驚くが、それよりも……。

 そんなはずはない。
 父さんが死んでから五年くらい経ってる。
 生きてるはずがない。

 一体、このダンジョン……いや、この部屋は……何なんだ?
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