短い怖い話 （怖い話、ホラー、短編集）

タバコ

　歩きタバコをしていた。
　今日は休みで、ちょっとコンビニに行った帰りだった。


　歩きタバコなんていつもやっていた。
　なんの悪気もなかった。


　ちょうど、帰る時間だった様で、たくさんの小学生とすれ違う。


　スマホの通知が来たので、ズボンの後ろのポケットからスマホを取り出した。

　妻からのメッセージ。「今日の晩御飯は、あきらくんのリクエストでカレーです。」だって。

　メッセージに返信しながら、タバコを加えて吐き出した。
　
　スマホを再びポケットにしまおうとして、同時に右手の指に挟んだタバコを口から離し、腕をだらんと下におろした。
　
　すると、よそ見をしていた小学生と俺はぶつかってしまった。

　すぐに、ぶつかった相手が小学一年生の息子のあきらだってすぐにわかった。

　「あー、あきら、ごめんな」

　あきらの肩を掴んで、自分の体からあきらを離そうとした。
　手に持っていたタバコがないことに気がついた。


　手に持っていたタバコは、あきらの目に突き刺さっていた。