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第一章
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隣にある団長の部屋の前に立つ。
時刻は22時。アイリーン様に言われた時間だ。
この中に団長がいる。しかもなんかされて。
この扉を開けたら後戻り出来ない。緊張でバクバクと跳ねる心臓に少し気持ち悪くなりながらも、おれはドアノブに手を掛けた。
すーと開いた扉の向こうに見えた部屋は真っ暗でさらに緊張感がます。
「誰だ」
殺気を含んだ団長の声にビクッと身体が跳ねて思わず扉を閉めてしまう。部屋の中に入ったとたんうっすらと見えるくらいの光が広がった。どう言う仕組みだ。
「あ…あの、おれ…」
「その声は、マシロ殿?」
戸惑いを含みつつも柔らかくなった団長の声をたどると、そこには薄手のシャツと緩めなズボンを着たいつもの騎士姿とは違うラフな服装に、両手を後ろで縛られ黒い布で目隠しをされた状態でベッドに座っている団長がいた。
あまりの姿に血の気が引く。視覚を奪うってこう言う事か。手まで縛って、やり過ぎだバカ!
まるで拉致監禁された姿にあわあわしながら急いで団長に駆け寄る。
「大丈夫ですか!?」
「あぁ、まあ大丈夫では無いが心配しなくていい。縛られているが不思議と痛みや窮屈さは感じないんだ。いきなりアイリーン様の従者が来て驚いたが必要な事だと言われて、まさかマシロ殿が来るとは思わなかった」
すみません!本当にすみません!
「部屋に防音の結界まで掛けられているんだが、これから何が起こるのか知っているか?」
ギクっ!
「何が起こるって…」
ナニですーーっ!!(泣)
しかもするのおれですーーっ!!(泣)
健闘を祈る!☆
いい笑顔のアイリーン様が浮かぶ。頭が痛い…。
「ゔぅー、グランツ団長、実は…」
ハッとして言葉を切る。
おれ、やるって決めたんだった。
…ここで怖気付いて止めてしまっていいのか?
魔具の石はまだ3つ白い。発情するまで十分余裕がある。正気を保てる…。
ちらりと団長を見る。
鍛え上げられた身体に薄いシャツがパツパツしてて、とてもじゃないけどおれなんかがどうこうできる相手じゃない。まあだいたいの人に出来ないけど…。
それが今、目隠しと拘束で身動きが取れない、しかもおれの事を警戒してない、無防備な状態。
『腹を括りなさい』
ごくんと唾を飲み込んだ。
きっとおれにはここまでされた団長じゃないと襲うことなんて出来ないだろう。
だって普通に勝てない。
ゆっくりと団長の肩に触れる。
ビクッと跳ねた逞ましい身体。不安そうな声。
「マシロ殿どうし…」
「団長」
そのまま体重を掛けて押した、がびくともしない。さすがおれ如きの重さなんとも無いみたいだ。
密着してありありと伝わる鍛えられた筋肉。体格差だって凄い。まるで大人と子供だ。
この人を今から襲うんだ。
カール様やレイヴァン様にしてもらったようなことを、おれの中に、最後まで…。
お互いの息が掛かるほどの距離まで顔を寄せる。
「…ごめんなさい」
「マシロど…うぅ!?ふ…っ」
そのまま団長の唇に吸い付いた。少しカサついた薄い唇。驚いた焦った息が掛かる。おれを引き離そうと上体を後ろに倒した団長に着いていくようにおれも倒れる。
団長の上に完全に乗っかったまま意地でも離すまいと唇同士をくっつけた。
何度か離れてしまって、その度にちゅっちゅっと音がした。
その間も落ち着けと何度も声を掛けられるが無視する。
団長の両手が縛られててよかった。
唇をくっつける事に必死で団長の様子まで気が回らない。すると突然団長が獣のような低い唸り声を上げ、瞬間上体が起こされそのままひっくり返る。びっくりしている間に形勢は逆転、今度はおれがベッドに押し倒されて上から潰された。
押し付けられて大きな口で唇を何度もはまれ、息苦しさに口を開けるとぬるっとした肉厚な塊が口の中いっぱいに入ってきて更に苦しくなる。団長の舌だ。
「うぅ…っ!?むぅ…ふっ、くちゅ…あっふぅ…っ!?」
突然の立場逆転に慌てふためく。
引き剥がそうと胸を押すがびくともしない。強い!
縦横無尽に舐めまわされてパニックと息苦しさで涙が滲む。じゅぶじゅぶととてもキスで出るとは思えない水音が部屋中に響いた。
暫くされるがままだったが、流石に酸欠で頭がぼーっとしてきて無意識に団長の唇を噛んでしまった。
口の中にほんの少しだが血の味が広がる。
押し潰していた身体が離れていった。
はあはあと息を整える。顔中涙と唾液でべちゃべちゃだった。
もう一度顔を近づけられて、唇の端をペロリと舐められた。どうやら血が付いていたようだ。
「どう言う事か説明してもらえるか」
そう離れていない近さで凄まれる。
気遣いを感じる言い方ではあるんだけど、圧が凄い。怒ってる。
当たり前だ。冷静になって考えてみろ。
突然拘束されて、目隠しされて、放置されたところに誰か来たと思ったら知り合ったばかりの男に前触れなく押し倒されてキスされて…うわ、犯罪じゃん。
今更ながら事の重大さに冷や汗が止まらない。これはヤバい。
「マシロ殿?」
「ふえ…、ごめんなさいぃぃ…っ!!」
「え!?やはり舌を入れたのはまずかったか…っ、しかし仕掛けてきたのはマシロ殿…。いやしかし我慢がきかなかったのも事実…。な、泣かないでくれ、すまない…っ」
完全に起き上がった団長がオロオロとしている様子に更に泣けてくる。
何言ってるか頭に入ってこないけど、調子に乗ってたおれに謝ってるのは分かった。
こんないい人におれは何てことを…っ。
わんわん子供のように泣き喚くおれを団長は落ち着くまでひたすら慰めてくれた。
時刻は22時。アイリーン様に言われた時間だ。
この中に団長がいる。しかもなんかされて。
この扉を開けたら後戻り出来ない。緊張でバクバクと跳ねる心臓に少し気持ち悪くなりながらも、おれはドアノブに手を掛けた。
すーと開いた扉の向こうに見えた部屋は真っ暗でさらに緊張感がます。
「誰だ」
殺気を含んだ団長の声にビクッと身体が跳ねて思わず扉を閉めてしまう。部屋の中に入ったとたんうっすらと見えるくらいの光が広がった。どう言う仕組みだ。
「あ…あの、おれ…」
「その声は、マシロ殿?」
戸惑いを含みつつも柔らかくなった団長の声をたどると、そこには薄手のシャツと緩めなズボンを着たいつもの騎士姿とは違うラフな服装に、両手を後ろで縛られ黒い布で目隠しをされた状態でベッドに座っている団長がいた。
あまりの姿に血の気が引く。視覚を奪うってこう言う事か。手まで縛って、やり過ぎだバカ!
まるで拉致監禁された姿にあわあわしながら急いで団長に駆け寄る。
「大丈夫ですか!?」
「あぁ、まあ大丈夫では無いが心配しなくていい。縛られているが不思議と痛みや窮屈さは感じないんだ。いきなりアイリーン様の従者が来て驚いたが必要な事だと言われて、まさかマシロ殿が来るとは思わなかった」
すみません!本当にすみません!
「部屋に防音の結界まで掛けられているんだが、これから何が起こるのか知っているか?」
ギクっ!
「何が起こるって…」
ナニですーーっ!!(泣)
しかもするのおれですーーっ!!(泣)
健闘を祈る!☆
いい笑顔のアイリーン様が浮かぶ。頭が痛い…。
「ゔぅー、グランツ団長、実は…」
ハッとして言葉を切る。
おれ、やるって決めたんだった。
…ここで怖気付いて止めてしまっていいのか?
魔具の石はまだ3つ白い。発情するまで十分余裕がある。正気を保てる…。
ちらりと団長を見る。
鍛え上げられた身体に薄いシャツがパツパツしてて、とてもじゃないけどおれなんかがどうこうできる相手じゃない。まあだいたいの人に出来ないけど…。
それが今、目隠しと拘束で身動きが取れない、しかもおれの事を警戒してない、無防備な状態。
『腹を括りなさい』
ごくんと唾を飲み込んだ。
きっとおれにはここまでされた団長じゃないと襲うことなんて出来ないだろう。
だって普通に勝てない。
ゆっくりと団長の肩に触れる。
ビクッと跳ねた逞ましい身体。不安そうな声。
「マシロ殿どうし…」
「団長」
そのまま体重を掛けて押した、がびくともしない。さすがおれ如きの重さなんとも無いみたいだ。
密着してありありと伝わる鍛えられた筋肉。体格差だって凄い。まるで大人と子供だ。
この人を今から襲うんだ。
カール様やレイヴァン様にしてもらったようなことを、おれの中に、最後まで…。
お互いの息が掛かるほどの距離まで顔を寄せる。
「…ごめんなさい」
「マシロど…うぅ!?ふ…っ」
そのまま団長の唇に吸い付いた。少しカサついた薄い唇。驚いた焦った息が掛かる。おれを引き離そうと上体を後ろに倒した団長に着いていくようにおれも倒れる。
団長の上に完全に乗っかったまま意地でも離すまいと唇同士をくっつけた。
何度か離れてしまって、その度にちゅっちゅっと音がした。
その間も落ち着けと何度も声を掛けられるが無視する。
団長の両手が縛られててよかった。
唇をくっつける事に必死で団長の様子まで気が回らない。すると突然団長が獣のような低い唸り声を上げ、瞬間上体が起こされそのままひっくり返る。びっくりしている間に形勢は逆転、今度はおれがベッドに押し倒されて上から潰された。
押し付けられて大きな口で唇を何度もはまれ、息苦しさに口を開けるとぬるっとした肉厚な塊が口の中いっぱいに入ってきて更に苦しくなる。団長の舌だ。
「うぅ…っ!?むぅ…ふっ、くちゅ…あっふぅ…っ!?」
突然の立場逆転に慌てふためく。
引き剥がそうと胸を押すがびくともしない。強い!
縦横無尽に舐めまわされてパニックと息苦しさで涙が滲む。じゅぶじゅぶととてもキスで出るとは思えない水音が部屋中に響いた。
暫くされるがままだったが、流石に酸欠で頭がぼーっとしてきて無意識に団長の唇を噛んでしまった。
口の中にほんの少しだが血の味が広がる。
押し潰していた身体が離れていった。
はあはあと息を整える。顔中涙と唾液でべちゃべちゃだった。
もう一度顔を近づけられて、唇の端をペロリと舐められた。どうやら血が付いていたようだ。
「どう言う事か説明してもらえるか」
そう離れていない近さで凄まれる。
気遣いを感じる言い方ではあるんだけど、圧が凄い。怒ってる。
当たり前だ。冷静になって考えてみろ。
突然拘束されて、目隠しされて、放置されたところに誰か来たと思ったら知り合ったばかりの男に前触れなく押し倒されてキスされて…うわ、犯罪じゃん。
今更ながら事の重大さに冷や汗が止まらない。これはヤバい。
「マシロ殿?」
「ふえ…、ごめんなさいぃぃ…っ!!」
「え!?やはり舌を入れたのはまずかったか…っ、しかし仕掛けてきたのはマシロ殿…。いやしかし我慢がきかなかったのも事実…。な、泣かないでくれ、すまない…っ」
完全に起き上がった団長がオロオロとしている様子に更に泣けてくる。
何言ってるか頭に入ってこないけど、調子に乗ってたおれに謝ってるのは分かった。
こんないい人におれは何てことを…っ。
わんわん子供のように泣き喚くおれを団長は落ち着くまでひたすら慰めてくれた。
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