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第五十話 かつての共闘

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 私は剣を構えながら、ベーアの方を向いた。

 「久し振りだな、ベーア」

 ベーアは嬉しそうに鳴いた。

 魔物の皇帝はそんな私達を警戒していた。

 「ベーア、1つ聞きたい。この魔物の皇帝の倒したら、私との約束を果たせるのか?」

 ベーアは鳴いて答え、立ち上がった。

 高いな。

 私は175cmぐらいあるが、私の約8倍ぐらいある。

 まぁ、体長15mぐらいあればな。

 そんなことを思っていると、魔物の皇帝が私達に襲い掛かってきた。

 私には両手の爪をベーアには尻尾を突き刺してきた。

 私は剣で両手の爪から守り、ベーアは尻尾を両手で叩き落していた。

 私は反撃として剣で両手に切り傷をベーアは尻尾に両手の爪の引っ掻き傷を。

 魔物の皇帝は痛がりながら、後ろに下がった。

 「ファイヤーウェア」

 すると、火が剣に纏ったのだ。

 「ベーア。今度は私達が攻める番だ。かつてのように共闘して、魔物の皇帝を倒そう。熊の皇帝になった兄弟よ」

 ベーアは鳴いて答え、爪を伸ばした。

 私はベーアと一緒に魔物の皇帝に息を合せて攻撃を始めたのだ。

 流石、魔物の皇帝。

 私とベーアの息があった攻撃でも小さな傷を作るぐらいだった。

 大きな傷をつくることが出来なかったが、小さい傷が積み重ねれば溜まる。

 確実にダメージが。

 ダメージが溜まっていくと、ほんの一瞬だけ隙を作った。

 数え切れない程の戦闘を積み上げ無ければ、気付かない程の小さな隙だ。

 私とベーアは数え切れない程の戦闘を積み上げている。

 だからその小さな隙に気が付いた。
 
 私は火を纏った剣を左下から右上に斬り上げ、ベーアは両手の爪で上からクロスに振り下げた。

 魔物の皇帝の胴体に右上から左下にかけて焼けた切り傷とクロスの爪の切り傷が出来上がった。

 魔物の皇帝は痛がりながら、私達から距離を取った。

 よし、決定打を与えた。

 後は攻め続けるだけだ。

 そんなことを思っていると、魔物の皇帝は上を向いていた。

 魔物の皇帝は2本の角に何かを溜めていた。

 赤色何かを。

 光線か。

 私は剣を構えた。

 このまま決めてもいいが、ベーアの力を見てみたい。

 私はベーアに視線で止めをさしてくれと。

 ベーアは私の意図を察してくれて、鳴いて答えてくれた。

 意図を察してくれたようだ。

 では、露払いは私がしよう。

 私は息を整え、心を静寂に。

 極地の集中を。

 無意識の内に剣を振り、2本の角を斬り落とした。

 その時、この場には静寂が訪れていた。

 静寂を破ったのは斬り落とした2本の角が地面に落ちる音ではなく、ベーアが魔法を使った音だった。

 魔法を使ったベーアは15メートルを超える巨体に関わらず、早かった。

 音を置き去りにし、何処かに消えた。

 居たのは魔物の皇帝の上空だった。

 まるで神速だった。

 ベーアは体を丸め、重力に身を任せた。

 ベーアは魔物の皇帝に迫っているが、魔物の皇帝は気がついてない。

 まだ探している。

 重力に身を任せていたベーアは魔物の皇帝を踏み潰した。

 踏み潰された魔物の皇帝は内蔵を潰され、口から舌を出しながら死んだ。

 魔物の皇帝を踏み潰した影響で、地面が窪んでいた。

 もの凄い一撃だ。

 風神のように早く、もの凄い一撃。

 名前をつけるなら、風神の鉄槌。

 私の静に対して、ベーアは動か。

 魔物の皇帝を倒したベーアは立ち上がり、上を向いた。

 そしてベーアは咆哮を上げた。

 天に届く程の咆哮を。

 そう、勝鬨を上げたのだ。

 ベーアが勝鬨を上げると、周りの熊達が勝鬨を上げた。

 いや、北壁の上にいる者達も勝鬨を上げている。

 各々の武器を上に上げ、喜びを共有している。

 魔物の熊達と人間達が。

 それは私も含まれている。

 私も剣を上に上げ、ベーアと一緒に勝鬨を上げた。

 
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