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第十五話 男爵に

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 ドラゴンを倒してから1週間が経った。

 チュートリアルダンジョンの調査をするため、王立学園は休みになっている。

 そして私は元実家にいたときのように高い服に身を包み、多くの大人に囲まれている。

 私が今いる場所は謁見の間だ。

 私は引かれている絨毯の端まで歩き、そこで片膝をついた。

 そして頭を下げた。

 「表を上げろ」

 私は顔を上げた。

 私の上には王座に座った初老の男がいた。

 あれがこの国の国王。

 国王陛下の隣には別の初老の男が立っている。

 あれがこの国の宰相か。

 国王陛下と宰相を確認していると、宰相が前に出てきた。

 「平民レーク。そなたは厄災となりうる可能性があったドラゴンを討伐したことを称える。国からの褒美として、男爵の地位を与える」

 私は貴族に戻るのか。

 窮屈な生活はごめんだが、権力はいずれ必要になるだろう。

 だから私は貴族に戻る。

 私は頭を下げ、右手を左胸に置いた。

 「謹んでお受け致します」

 私が爵位を受け取ると、謁見の間は拍手に包まれた。

 宰相はそれを確認すると、後ろに下がった。

 国王が片手を上げると、拍手は止んだ。

 「うむ、良きに取り計られ」

 国王は私の方を向いた。

 「顔を上げろ」

 私は頭を上げた。

 「男爵。今ここで家紋と家名を決めてくれ」

 今ここでか。

 中々凄い事を言うな。

 事前に考えて置いて良かった。

 「分かりました。家名はベアーグでお願いします。そして、家紋には熊を入れたいと思います」

 国王陛下は興味深そうに自分の顎髭を触った。

 「家紋に熊、家名はベアーグ。どれも熊が関係している。ベアーグ男爵、興味本位で聞くが、何故熊をそこまで入れるのだ?」

 「それは熊のことを1番良く思っているからです」

 「ほぉ、そうなのか。ベアーグ男爵が良ければ理由を教えてくれ」

 「熊は雄大で森の王者だと思っているからです。私も熊ように雄大で有りたい」

 「面白いことを聞いた。ありがとう、ベアーグ男爵。この後、宰相から屋敷の鍵を渡すのと説明がある。だから、別室に向かってくれ。これで、謁見を終わりにする」

 国王と言葉と共に謁見は終わった。

 私は他の貴族に囲まれる前に別室に移動した。

 紅茶を飲みながら、待っていると、宰相がやってきた。

 宰相から屋敷の説明をしてもらった後に、鍵を貰った。

 王城を出て、直ぐに屋敷に向かった。

 屋敷はそれなりの広さだったが、少し埃が溜まっていた。

 ハァ、人を雇わないとな。

 執事やメイドなどの使用人を雇い、屋敷の管理を任せた。

 金とかの管理は私がしている。

 本来の貴族なら、領地が与えられるが、今の私は領地を持っていない。

 領地は私が成人してから、渡されるみたいだ。

 だから、今は領地経営などの勉学や他に集中出来る。

 知識を貯めて、領地経営しないとな。

 気分転換に冒険者ギルドに向かうと、何故か私はS級冒険者となっていた。

 ギルドマスターから事情を聞くと、ドラゴンを倒したからと答えてきた。

 確かにな。

 S級の魔物を倒した私がA級のままではおかしいからな。

 私はS級の冒険者カードを受け取り、屋敷に帰った。

 王立学園が始まる前までに、色々なことをしないといけないな。

 よくわからないが、何故か無性にメスリーに会いたいな。

 メスリーとまた会うために頑張るか。

 

 

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