社会人が異世界人を拾いました

かぷか

文字の大きさ
上 下
117 / 148
松編 ③

15 松 ④

しおりを挟む
 やった…

 あの場ではあれが正解だったと思う

 だとしてもだ、、、何やってんだ俺は

 帰ろうとした俺をあいつは許可無くベッドに連れていった。今にもどうにかなりそうな思い詰めた顔だった。

 正直いってアドベに犯されるかと思った時はめちゃくちゃ怖かった。ソルトの部屋に着いても恐怖は治まらなくてソルトがいてくれる事の安心感は半端なかった。素直に怖かったと言えない俺にソルトは正直に話せと見透かしたように言われ腹が立った。
あいつはあいつで何か思ってたみたいだけどそれより無理矢理ベッドに連れていったくせにあいつは急に抱くのを辞めようとした。それがさらに俺の癪に障りやめようとしたのにも関わらず思い切り煽って襲わせたのは俺だ。

今ままで口へのキスと男と寝る一線だけは越えないよう守ってきたがプライドと天秤にかけた時に俺はプライドを取りやってしまった。

 煽って俺の望み通りに手を出してきたソルトはいつもより男臭い顔をしていた。そもそも俺は男に触られる事も嫌なのに抱かれることに抵抗がないわけなかった。実際煽ったくせに途中で怖くなったのは事実だった。
 ソルトだから大丈夫だと思っていた。命令すれば触るのをやめていたから俺が絶対嫌だと言えば抑え込めると安心していた。それは煽っても最終的には絶対やめてくれるって思ってたから。だから同じだと思っていた。

 途中まであいつに勝ったと思っていたけど全然違った。俺の気持ちの方が弱かった。

 ソルトは俺に流されなかった。

 俺は…あの時キスをしようとした。
 
 だけどソルトは俺のキスを避けた。
 流されないソルトはその一線は破らなかった。

 ……………。

 あいつがしなかったのは俺が結婚しないと知ってるからで。だから、結婚になると思い気を遣って避けたんだと頭ではわかっていた。だけど心のどこかで最終的には俺が言えばキスができると思っていただけにその衝撃はでかかった。あいつなら誘惑に負けると思った。

 でも絶対的に守った。
 
 俺だってそんな事をしたら結婚とわかっていたのにキスを迫った。気分が盛り上がっていたんだろう。どうせするならキスもって言うのはあの場ではあり得る。あっちの世界なら普通にできるし。
  
 逆にソルトに避けてもらって良かったかもしれない。キスをしていたら結婚になっていた。

 良かったな、俺

 その一線は越えられないだろ
  
 人の事ばかり分析できるが実際自分はどうなんだろう……クラムさんのお見合いの時にあれやこれや偉そうに言う割に全然相手を想いやって無い。むしろ、クラムさんみたいにたんぱくになりたいと思ってソルトに結婚をしない宣言までして性処理みたいな事をずっとしていた。あいつの気持ちを利用してもっと自分勝手にできる都合のいい相手を探している気がした。

煽ってプライドを確保しようと抱かれた俺の代償は大きかった。前からソルトの気持ちはわかっていたが抱かれた事で俺はソルトの本気を知ってしまったしそれに俺は傷ついた。

 あの時俺は一人で自分勝手にしたいからほどほどでソルトとの仲に線を引かないとと焦っていた。ここらが潮時、昨日みたいに気まずくなりたくないし俺の心にこれ以上侵入して欲しくない。一度帰って頭を整理したい。そんなことをずっと考えながら河口君と過ごしていた。

 そして俺の行動範囲が制限された。

「申し訳ございませんが少し行動範囲を狭めさせて頂きます。あと、私と一緒の時以外の外出は今後は難しくなります。できる限りの配慮はいたしますので」

「ソルト必要ない」

「え?」

「暫くはこっちに来るつもりないから。あと、次からお前とはそういう事はしない」
 
「わかりました」

 突然の来ないのとしない宣言にソルトは驚いたが、とはいえ昨日松を強引に抱いてしまい信頼関係が無くなって当たり前だと思った。そんな顔を見てか松が付け足した。

「ソルト、お前のせいじゃない。俺の自分勝手だから。ごめん」

「はい、わかりました」

と笑顔で静かに答えた。

 そして松は自分の世界へと帰っていった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

カテーテルの使い方

真城詩
BL
短編読みきりです。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

完成した犬は新たな地獄が待つ飼育部屋へと連れ戻される

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

催眠アプリ(???)

あずき
BL
俺の性癖を詰め込んだバカみたいな小説です() 暖かい目で見てね☆(((殴殴殴

寮生活のイジメ【社会人版】

ポコたん
BL
田舎から出てきた真面目な社会人が先輩社員に性的イジメされそのあと仕返しをする創作BL小説 【この小説は性行為・同性愛・SM・イジメ的要素が含まれます。理解のある方のみこの先にお進みください。】 全四話 毎週日曜日の正午に一話ずつ公開

スライムパンツとスライムスーツで、イチャイチャしよう!

ミクリ21
BL
とある変態の話。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

処理中です...