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そして、異世界人になる
4 クラム解く
しおりを挟む快楽の国から来た男を惑わす異世界人やまと
二つ名は【最強の淫乱】
「どゆこと!?」
「すまん…俺にもさっぱりだ」
何やらナグマ国と言うのは名誉な人物に二つ名をつけるらしい……が
「ねぇ!俺、そんな呼び方されるの嫌なんだけど!いつ何の名誉でその名になったんだよ!」
「クラム」
いつの間にか城でそんな二つ名が噂され俺の耳にも入った。空耳かと思い疑ったがフィグの耳にも入っていたらしくクラムさんに話を聞くことにした。
「はい、存じ上げております」
「何でこうなった」
「王、良いですか。やまとさんは快楽の根元の国から来たんです」
まず、そこが違うからね!!
「そうだ」
「違うわ!」
「やまとさんは淫乱です!!男を惑わします!」
「いつ、惑わしたんですか!最強の淫乱ってなんですか!」
「そうだな」
おい、お前は味方じゃないのかフィグよ。
「知らなかったとは言え鍛えてもない新雪のような肌を護衛に晒し、夜着をさらし、色目を使い誘惑したんですよ!知らぬまに男を虜にしてます」
「うーん」
唸るなよ
「現に王も絆されています!私も危うくなりかけました」
「いつだ」
「俺、何もしてないから!」
「夜着から肌をちらつかせながら明かりを消してと頼まれました」
「そこだけ抜粋するな!俺、魔法みたいなの使えないだけだから!」
「うーん」
「なのでその二つ名がついてもおかしくないです。護衛達もやまとさんが通るとこころなしか落ち着きが無くなります」
「もう、どんなだよ…」
フィグは腕を組んで悩んでいる。何に?
三人で解決もしないことで悩んでいる。いや、クラムさんがその二つ名を訂正してくれれば済む話なのよ。そもそも、名誉て…名を付けるのに淫乱て……
「ところで、フィグの二つ名は何?」
「それは…」
「【最強のナグマ】です」
自然と目線が下にいく。
「……どこを見てる」
「……なんとなく」
「じゃあ、クラムさんは?」
「【最強の説明上手】です」
それって、フィグに対してだけじゃないのか?まぁ、嬉しそうだからいっか。
「誰が決めてるんですかそれ…」
「わからないがいつの間にか広がっている」
「えー」
結局、誰が付けたかわからないままクラムさんにできるだけ訂正をしてもらったのだが。
「来た…」
「来たぞ…王と【最強の喘ぎ】のやまと様だ」
「「………。」」
「クラムさん!!ぜっっぜん、変わって無い!!」
「ダメですか」
「ダメに決まってる!!」
「フィグも唸ってないで訂正しろ!」
「うーん」
結局どちらも呼ばれる事になり俺は三つ名になってしまった。
□□□〈クラム〉
何故そんな名がついたかと言うと…
近場の護衛に聞き込みをしたら護衛は護衛で噂を聞いたとか。元々やまとさんを一番初めに護衛していた人物が皆に説明をしたらしい。
やまとさんに誘惑され耐えるのが必死だったとか。わからないでもありません。確かに私も護衛の皆さんに話しました。やまとさんは異世界人で快楽の国から来ていて私達と常識や考え方が違うので身を引き締めるように。恩人であり妃となるお方、失礼のないようにと油断すると誘惑され快楽へと導かれますと話しました。
皆が顔を真っ青にしてしっかり返事をした。やまとさんが嫁いで10日辺りでしょうか、何人かの護衛がやまとさんの護衛を断る様になりました。
やまとさんに何かあったのかと聞くと皆が真っ赤な顔になり目を背け理由を話さない。
「何故理由を言えないのですか」
「そ、それは…あの…申し訳ございません!」
うーん、中等護衛ではらちがあかない。最高位護衛をつけてみた。これならしっかりと仕事もするし報告も隠さずできるはずです。王の妃に危険があってはならない!
「で、何があった」
「はっ!それが…王が夜な夜な、いえ昼間もやまと様の部屋に訪れまして…その声が…」
「ハッキリ報告しなさい」
最高位護衛すら口ごもらせるとは、しかも王が関係しているならなおのこと報告は聞きたい。
「はっ!行為の声がうっすら聞こえまして…恐らく未婚者は悶々としてしまったのが原因かと」
「……。」
「そんなはずは……」
しまった!!
そうか、やまとさんの世界ではアイコンタクトがない。つまり声に全部出してしまうのか!!
ぐはっ!!
「大丈夫ですか!クラム様!」
膝から崩れ落ちたクラムは鼻血を出した。
ナグマ国の人々は行為中の会話は全てアイコンタクトで行われていて喘ぎ声以外は二人にしか分からない様に秘め事にするのが一般的。
流石快楽の国から来ただけの事はある。秘め事を全て口に出せば…どんな…男でも…
「くぅ…最強の淫乱だ…」
「え?」
「お前達も聞いたのだな」
「はっ!」
「耐えれた者はいるか!」
「私は既婚者ですので何とか。後は2名程」
なんたる事だ、我がナグマ国の最高位もほぼ全滅。王はきっといや絶対やまとさんとの行為は控えてはくれない。どうすれば……
そうこうしている間にクラムが言った二つ名が一気に広まり二人の耳に入ってしまった。
後日、訂正に回るのだが結局喘ぎ声は漏れるのでどれぐらい響くか一度検証の為に申し訳ないとおもいつつ護衛と壁に耳を当てて聞いた。
その場で全滅
次の日、壁が厚くなりやまとさんは不思議そうな顔をしていたが世の中知らない方が良いこともあるので黙っておいた。
そして三つ名が付いたが…訂正できなかった。
フィグはクラムに呼び出されこってりと叱られたが逆に聞いていたのかと全員魔物送りにされる所だった。何とか最強の説明上手が事情を話し免れたが、王が夜這い事をしなければこんな事にならなかったと今回はお互いどっちもどっちだという事になり場を終わらせた。
壁が厚くなった事を良いことに前より気にせず行為にいそしめるフィグと何の名誉で二つ名がついたのかずっと悩んでいるやまとだった。
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