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しおりを挟む「あ、クラムさん。フィグ迎えにきたの?」
クラムさんが険しい顔をしている。フィグが家出したから怒ってるのか!確かにそんな事で家出なんて、どこぞの新人女優か!と俺も思いますがちゃんと帰らせますから怒らないでやって!
「はい」
「あの、フィグも悪気があった訳じゃないから怒らないであげてください。何か落ち込んでたし、理由とかしっかり聞いてあげて上手く解決できる方向の次第の感じでお願いします」
何か丁寧にいようとして全然いえなかった。
「…。」
「王、わかってるんですか?」
「わかってる」
「今のは見なかった事にします」
「別にいい」
険悪なムードが継続だ。こういうの俺好きじゃないんだよな。
「あの~クラムさん。フィグも努力しようとしてたので…妃様には伝わると思います」
「そうですか…やまとさんありがとうございました。お世話になりました。では、王帰りましょう」
フィグが動かない。どうしよう。
「フィグ、大丈夫?」
「…やまと」
「王、それ以上は駄目です」
「?」
フィグとクラムさんの会話が全然読めない。二人でアイコンタクトで話してるのかな?
嫌々帰すのやだな。フィグの心がふさがれたまま帰ってほしくない。
「クラムさん、ちゃんとフィグにキスの練習させるんで。後いろいろ道具も買ったんです。クラムさんも使っていいですから!怒らないであげてください!」
「?」
ん?何か変な事言ったかな?フィグを見るけどよくわからない。
「あれ、家出してきたんだよね?」
「そうです」
「フィグ嫌な事があったんだよね?」
「あぁ」
誰か説明してくれる大人の異世界人呼んでくれ!
変に口出さない方がいっか…
「フィグ、また来て良いからさ」
「その頃には行けなくなってる」
「え!そうなんだ…」
確かにいつも会えるとは限らない。フィグにだって都合あるしモヤモヤも無くなるかもしれない。なのに俺、また会えるような事いってしまった…ごめん。
「王、行きますよ」
クラムさんに腕を引っ張られながらモヤモヤに入る。
あ、お土産!
「待って、フィグお土産!」
手渡して最後の挨拶をした。
「フィグ、ごめん。もう来れないんだね。初めて会った時はビックリしたけどフィグといるのすごく楽しかった。いつの間にか仕事から帰るの楽しみになってた。フラグ回避から回収にならないかなって思ったり。よくわかんない事いってるけど」
「そうか」
「最後にハグしてもいい?」
「あぁ」
俺はぎゅっとハグをした。離した時に顔を見るとフィグの目の色は髪と同じ濃紺だった。
「フィグ、ありがとう!大好き!元気で!さようなら」
俺は思いつくだけ今の気持ちを全部言ってフィグから離れた。これ以上は何も言えなかったからフィグのさよならを待った。
「やまと…すまん」
「え?」
フィグのさよならは…すまんだった。
そして、俺は異世界人になる。
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