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しおりを挟む今回も深夜のイカ公園。今日から世間も夏休みだから賑わしいな…あっちもこっちもやりたい放題だ。
例のベンチも深夜なのに人が座っている。仕方ないからフィグと一緒に行為が終わるのをその辺の茂みに隠れて待っているが心なしか声が聞こえる。
「フィグ、この世界がこんな感じって思わないで欲しい」
「わかってる」
気まずい。あちらこちらでイチャイチャしてる奴らがいる。パチン、蚊が!!絶対こんな所無理だ。
そういや、フィグが全然顔を見てくれない。もっと文字のやつ見たかったんだけどな。昨日のキスの練習ダメだったかな?結構がんばったんだけどな。あの後、俺の指で試したけどフィグは一回チュッてしただけで無理だったんだよな。
キス自体のやり方が違うのかな?行為は知ってたから同じだと思うんだけどな。時間があったらもっといろいろ試せたかも。
それより今日一日、できるだけ遊びに連れていったけど楽しんでもらえたかな?ほとんど家だったから楽しい思い出も作ってあげたかったんだけど喜んでくれたら嬉しいな。表情あんまり変わらないからわかんないんだよな。
「やまと…」
「ん?」
フィグは元々そんなに口数も多くないけど話さないという訳でもない。だけど今回は何か言いにくそうにしていた。
帰るのまだ嫌なのかな?
「フィグなら大丈夫だよ、何かそんな気がする」
「…。」
「…やまとが…やまとがいいならこっちの国に来てみないか?」
「え?」
「…。」
魔物いるのに?俺、全然鍛えてない。即死するし!普通に怖すぎる。
「いや、それは遠慮しようかな…」
「そうか…」
「うん、ごめん」
「いや、謝らなくていい」
折角のお誘いだけど流石に通常運転の域を越え脱線してしまう。俺にはそんな度胸もないし。ちょっと残念だけどフィグが妃様と幸せになって欲しいかな。
「フィグ、俺フィグの事好きだからまたいつでも来てよ。クラムさんも良かったら一緒に連れてきていいし。部屋狭いけど」
ん、行為終わったかな?よし、探すか。
立ち上がり辺りを探すとモヤモヤは現れていた。フィグにこちらだと手招きをした。お土産を持った鞄をフィグに手渡そうとモヤモヤの前に立つ。
いつもなら速攻で体入れて帰るのに立ち止まったままだ。
「フィグ?」
「やまとは俺の事好きなのか?」
「うん、まぁ好きかな」
恋愛的な好きとか愛まではわかんないけどフィグの事好きだな。思ったより話しやすいし、いい人だし。俺の人生で間違いなく一番、凄い人。
「…。」
何やら言いたそうだけどよくわからない。何だ?俺は察しは悪くないはずだと思うけど流石に無言を当てれるほどではない。
「やまと…」
名前を呼ばれフィグを見たが、よくわからない顔をしていたから俺もよくわからない顔をした。
「…俺には練習が必要だ」
「そうかも」
「やまとが練習相手になってくれ」
「いいけど。指なら貸すよ」
大きな手が俺の目の前に現れ視界が真っ暗になったと思ったら口に生暖かい何かが当たった。
ゆっくりと手を離され目を開けると何故か横顔のフィグがいた。顔の方向へ俺も顔を向けると
「王…なんて事を」
そこにはいつの間にか顔面蒼白のクラムさんが立っていた。
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