社会人が異世界人を拾いました

かぷか

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そして、異世界人になる

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「死ぬー!!!」

「もう少しだ」

「それ、さっきも言った!!」

「気のせいだ」

「優しい嘘はやめてー!逆に優しくないから!」

 俺は今、猛吹雪の中デカイ男に引っ張られ、いや引きずられながら明かりが見える建物に向かっている。なぜ俺が今こんな所にいるかというと…今はそれどころじゃない!寒さで気が遠くなる。あぁ…俺の通常運転の生活が…。

やっとの思いで建物に着いた。ふらふらの俺は脇に抱えられ運ばれる。近くにいた兵士らしき人達が慌ただしく動き何人かが俺達を取り囲んだ。

絶対絶命、俺は殺されると思った。

一斉に立て膝を着いたと思ったら声を揃えて言った。

「お待ちしておりました。王」

そうか、そうだった。

 王と呼ばれる男は右手を上げ直ぐに建物に入った。荷物のように抱えられてる俺はもう荷物のようにするしかない。

大きな部屋に入るが誰もいない。そこを通りすぎ左のドアを開けて廊下をスタスタ歩く。角を曲がり部屋に入るがここもなかなか広い。何やら二人の男が大きな机に向かい話をしていた。

こちらにすぐ気がついて話を中断した。

「「ダーシャルマジェルダリスカルフィグル王…」」

長!

何とも言えない顔で三人は見つめあっている。アイコンタクトかな?無言だとすぐそう思うけど今は多分合ってる。

抱えられてるから全然顔見えないけどこのまま荷物扱いでいっか。

「やまと…」

「ん?」

「今から牢屋に入る」

「え?」

そうして俺は異世界に来てすぐ牢屋に入れられた。あれ?おかしい。歓迎されてない!

牢屋に入れられた俺は悲壮感や怒りなどはなく快適に過ごしていた。何故なら俺のアパートより全然広いからだ。ベッドも洗面所もあるし何不自由なく生活できる。斜め向かいにはここの王が入れられている。

「やまと…すまない」

「あー全然。ビックリしたけどここ意外と快適」

「ていうか、いきなり雪の中に降りたからビックリした」

「あれは初めてだ」

「そうなんだ。広いな~ここ」

「一般的な牢屋よりちょっといい場所だ」

「へー」

俺の渡したお土産はどうやら安全とみなされ俺の手元にある。鞄からプリンを出した。猛吹雪を歩いて来たからガチガチに凍っていたが中身は変わらない。フィグの牢屋に投げた。

「フィグ、固まってるけどこれはこれで旨いよ。食べよ」

「ふっ、ありがとう」

ん、フィグ笑ったのか。初めて見た~まさかこんな牢屋で見れるとは。硬!時間もあるしゆっくり食べよ。

あーなんか癒された。

そういえば、買ってきた道具は凍っちゃったかな?後で確かめないと。そんな事を考えていたらコツコツと足音がしてフィグの前を通りすぎ俺の前で止まった。

「やまとさん…」

「あ、クラムさん」

「すみません、貴方には大変お世話になったのにこんな事になってしまい申し訳ないと思っています。直ぐに出られるよう手配をしてますのでもう暫くだけご辛抱を」

「お構い無く」

あ、クラムさんも食べるよね。

「クラムさん、手出して」

「はい?」

ガチガチのプリンをお裾分けしたら口元がほころんだので良かった。

「硬いけどそれはそれで美味しいから、休憩にでも食べてください」

「ありがとうございます!」

嬉しそうだ。プリンのお陰かどうかはわからないが翌日俺は牢屋を出れる事になった。フィグは家出をしたことにより5日の謹慎処分らしいが俺的にはフィグと同じ牢屋でよかった。

「広すぎ!!」

クラムさんに与えられた部屋は広すぎて全く落ち着かなかない。何して良いかもわからない。何かあれば呼んで下さいと言っていたが呼び方すらわからない。とりあえず、お風呂あるのかな?部屋を探索しシャワーらしきものがあるが使い方が皆無!こんな事でクラムさん呼ぶの悪いよな…

誰か教えて~!

仕方ないのでドアを開けて廊下にいる護衛の方に頼む事にした。

「あの~シャワーを浴びたいんですがやり方を教えてもらえますか?」

「…。」

あれ、シカト?

「あの~」

「護衛中ですので動く事ができません」

なるほど。でも困るんだそれだと!

「大丈夫ですから!部屋に入って教えてください!ちょっとぐらいいいじゃないですか!」

「え、え!」

無理矢理部屋に入れて教えてもらうがよくわからなかった。俺はバカなのかな?いや、この仕組み!全然わからないから!俺は魔法みたいなやつ使えないからね!

魔法みたいなの使って出してくれたけど、止め方もわからないからシャワーから出るまで近くに待ってもらった。タオルは一緒か…よかった…よくない!着替えない!

仕方ないからタオル一枚で部屋に戻り護衛の人に止めてもらい、お礼を言ったら顔を真っ赤にして出ていった。

なんか、すみません。
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