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本編
決意
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「貴方が、ケイリーがシエル、だったのね」
「うん…ごめ」
私は涙が出た。きっと恐怖からのがれた安堵感と、初めてデートした相手が自分のずっと会いたかった親友だと分かだった事からだろう。ポロポロと溢れ出る涙を手で拭う。
「ッ、イアリス…」
シエルから私の顔を覗き込む。泣き顔なんて見られたく無いと、顔を手で隠すと、その手をシエルが取る。
「イアリス、ミサンガにさ願ってくれたと言う事は僕と一緒に来てくれるってこと?」
多分、シエルは気を使ってくれたのだ。もしかしたら彼は、私の泣いている理由が自分によるものだと思っているのかもしれない。柔らかな微笑みを私に向けてくれている。
私は、まだ決めれていなかった。いいえとも、はいとも言えずに時間が過ぎていく。この国では良い親友と学友がいる。けど、もう親とクロウの元になど戻りたくない。
悩みに悩んだ末、「行きますわ」と顔を手で拭い、言った。
「…、断られると思っていたよ。来てくれるんだね、嬉しい」
シエルの顔が一気に明るくなる。周りに花でも咲きそうなほど。しかし、シエルは気まずそうにした後、「ただ…」と付け足した。何か条件でもあるのだろうか。私はそのシエルの雰囲気に流され、静かに頷く。
「君はこちらの国では死んだことになるけどいいかい?」
ああ、そういう事。誘拐でいなくなったとか誤解されないようにするのね。それなら、この馬車の転落はちょうど良いじゃないか、と思った。厄介事がなくて済む。
「ええ!両親とクロウに一矢報いたいと思ってたんですもの!」
私は胸を高らせて言った。ケイリーがシエルなら、彼は魔法使いだ。彼なら、崖の下に私の死体のダミーを作るなんて事、簡単なはず。…その死体を見つけた時の御三方の反応が楽しみですわ。
私はフフフ、と笑ってみせる。すると暗い表情をしていたシエルも、次第に元の花みたいな表情に戻る。
「ふ、イアリスは昔から変わらないね。そういう所が好きなんだよね。ずっと」
私は好きという言葉に反応してしまう。
ど、どっちの好きなんですの…
「うん…ごめ」
私は涙が出た。きっと恐怖からのがれた安堵感と、初めてデートした相手が自分のずっと会いたかった親友だと分かだった事からだろう。ポロポロと溢れ出る涙を手で拭う。
「ッ、イアリス…」
シエルから私の顔を覗き込む。泣き顔なんて見られたく無いと、顔を手で隠すと、その手をシエルが取る。
「イアリス、ミサンガにさ願ってくれたと言う事は僕と一緒に来てくれるってこと?」
多分、シエルは気を使ってくれたのだ。もしかしたら彼は、私の泣いている理由が自分によるものだと思っているのかもしれない。柔らかな微笑みを私に向けてくれている。
私は、まだ決めれていなかった。いいえとも、はいとも言えずに時間が過ぎていく。この国では良い親友と学友がいる。けど、もう親とクロウの元になど戻りたくない。
悩みに悩んだ末、「行きますわ」と顔を手で拭い、言った。
「…、断られると思っていたよ。来てくれるんだね、嬉しい」
シエルの顔が一気に明るくなる。周りに花でも咲きそうなほど。しかし、シエルは気まずそうにした後、「ただ…」と付け足した。何か条件でもあるのだろうか。私はそのシエルの雰囲気に流され、静かに頷く。
「君はこちらの国では死んだことになるけどいいかい?」
ああ、そういう事。誘拐でいなくなったとか誤解されないようにするのね。それなら、この馬車の転落はちょうど良いじゃないか、と思った。厄介事がなくて済む。
「ええ!両親とクロウに一矢報いたいと思ってたんですもの!」
私は胸を高らせて言った。ケイリーがシエルなら、彼は魔法使いだ。彼なら、崖の下に私の死体のダミーを作るなんて事、簡単なはず。…その死体を見つけた時の御三方の反応が楽しみですわ。
私はフフフ、と笑ってみせる。すると暗い表情をしていたシエルも、次第に元の花みたいな表情に戻る。
「ふ、イアリスは昔から変わらないね。そういう所が好きなんだよね。ずっと」
私は好きという言葉に反応してしまう。
ど、どっちの好きなんですの…
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