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第17話東大閥と権力者側の妥協

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大して意識していた訳ではないのだが、豪志の父親、弁護士根岸隆と親友の山本隆夫弁護士の名前はかなり早くから権力者側には意識されていたようだった。父親の存在がなければ豪志はもっと早くに右翼や暴力団に殺されていただろう。父は旧友の佐々木毅先生、中川勝広先生、梅津興三先生、西園寺一晃先生などに頭を下げて回ったらしい。

「息子の生命だけは助けてください」と。
テロ特措法違反事件の直後、権力者の間でも話し合いが行われた。中森明菜が、
「この「伊東」って人が責任を取ればいいんじゃないの」

結局その後伊東亁は東大でも冷や飯を食わされ、数多の偉大な業績の数々にも関わらず、東大総長どころか、実に15年間も准教授のままである。異常な冷遇ぶりなのだ。

豪志が原病院に強制入院させられている間に、元農林水産大臣の40代の息子殺害事件とか池袋の母子轢き逃げ事件とか。いわゆる「上級国民」による犯罪、それに対する世間の、とりわけ保守層からのバッシングが相次いだのも豪志の存在を念頭に置いたものだったらしい。「上級国民」という皮肉を込めて。

上級国民騒動のときは権力者側、右翼も相当息巻いていたらしい。
「東大だろうがカンケーあるか!次はないと思えよ、ゴキ」

オバマ大統領の世界平和のとき。世界中の美少女たちがおうちの資産を持ち出して豪志の口座に振り込もうとした。総額1000兆円以上が動き、銀行の送金機能は麻痺してしまったらしい。

結局、豪志の口座に振り込まれたお金はすべて元の口座に組み戻されたそうだ。

また、オバマ大統領の広島スピーチの瞬間に世界のGDPが50%も増えたと、あとで伊東乾先生に聞いた。

ちなみに、オバマ大統領はアメリカの国家予算を使えるクレジットカードを入院中の豪志に送ってくれたらしい。それで、2016年の原病院の納涼祭は、かなり豪華な料理やスイーツなどが出たのだ。
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