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第一章
第3話 【異世界・3】
しおりを挟む「ふぅ~、今日はこの位でいいか。まだ時間は沢山あるからな……」
リビングと台所の二ヵ所の掃除を終えた俺は、今日はここで終わりにして一度休憩する事にした。
「そう言えば、アリシアさんの家。聞いたら、かなり大きな家だったな……」
依頼から帰ってきた際、俺は受付で〝クリーンヒルト〟について尋ねた。
クリーンヒルト家はこの俺が住んでる国の公爵家。
現公爵家の当主は、剣聖と呼ばれており多くの武勇伝のある凄い人物らしい。
「そんな人の娘であるアリシアさんと暮らす事になった俺って、なんかに巻き込まれそうだな……」
アリシアさんは大丈夫と言っていたが、家の方から何かしら接触がありそうだなと考えた。
なので俺はその時の対処法を今の内に考えておく事にした。
それから俺は休憩を終え、夕食の準備に取り掛かった。
買い物の際、俺は王都にある調味料がどれだけあるのか探してみた。
醤油や味噌はないだろうなと思いつつ、探してみたが俺の知ってる調味料は〝塩、砂糖〟の二つだけだった。
逆に俺が知らない様な調味料もあったが、流石にまだ冒険するには早かった。
「調味料系はあれだけしかないのかな? それとも他の地域にはあるけど、王都にまで出回ってないだけか……」
豆があれば時間さえかければ作れるだろうが、詳細な作り方は俺も覚えていない。
「それに米も無かったよな、パン派ではあるけど無かったらないで逆に食べたくなるんだよな……」
前世では、米よりもパン派だったが無いとなれば恋しく感じる。
それに全く食べてなかったと言えば嘘になり、牛丼だったり寿司だったりと単体ではなく調理された物を食べてはいた。
「楽しむなら、飯関係もどうにかしないとな」
そんな事を考えながら、俺は買って来た材料で夕食を作った。
異世界初の料理は、ボア肉と野菜のスープ。
ボア肉は骨付だったので、骨を煮込んでその他の食材や調味料で味を整えた。
「うん。骨付で買って正解だったな、これはこの硬いパンと合わせても食べられる」
硬いパンは庶民の食べ物で安く買えるパン。
柔らかいパンもあるにはあるが、そっちは高く他の買い物で金が足りなかった俺は硬いパンしか買えなかった。
それから夕食を終えた俺は、この家に後から付け足されていたシャワーで体の汚れと汗を洗い流した。
本来、シャワーや風呂は貴族の家にしか付いていないが、アリシアさんは後から取り付けたらしい。
「本当にアリシアさんに拾って貰って感謝だな、普通だったら水を汲んできて冷たい水で洗わなきゃいけないのに……」
俺は本当にアリシアさんに感謝をし、シャワーを浴び終えた俺は自室に戻り用意してもらった布団に入って眠りについた。
翌朝、俺は昨日の残り物を食べ朝早くに出発した。
今日も俺は薬草採取で金を稼ぐ為、ギルドには寄らずにそのまま王都の外に出た。
「異空間ボックスと鑑定があれば採取系で稼げはするけど、それだけじゃ味気ないよな。早く武器が買えるようになって、スキルを手に入れたい」
スキルの取得にはそれなりに訓練が必要となる。
ただし才能が無ければ、何年訓練してもスキルを習得する事は出来ないとされているが、俺には【プレイヤー】の成長促進がある。
レベルアップに必要な経験値もそうだが、スキル習得に掛かる時間もかなり短縮してくれる。
「ある程度、お金に余裕が出来たら冒険者ギルドの講習を受けるか」
その後、昼過ぎまで魔物と接敵しないように気を付けながら採取を続け、俺は王都に戻って来た。
俺は昨日と同様に受付で薬草を出すと、リンさんにギルドの個室へと案内された。
「……クリス様。もしかしてですが、鑑定系の能力をお持ちですか?」
「やっぱり気付かれましたか?」
昨日と今日、あれだけ薬草を出したらバレるだろうと思っていた俺は鑑定能力を隠さずにそう返答した。
「それに薬草もほぼ採れたての状態でしたし、収納系のスキルもお持ちですよね」
「そこまで分かるんですか?」
「長い事、ギルドの受付をしておりますので……一切隠さないと言う事は、ギルドを信頼しての行動ですか?」
「まあ、それもありますけど有能なスキル持ちは優遇されると、ギルドの契約の際に教えて貰ったので」
冒険者ギルドに登録する際、ギルドは有能なスキル持ちには優遇すると教えて貰った。
正直、能力を隠して生きても良かったがずっと隠すには難しい〝異空間ボックス、鑑定〟に関しては公表しようと考えた。
まあ、残りの能力でバレそうなのは転移くらいだが、あれはまだバレない様に出来るから今は隠すつもりだ。
「二つとも確かに有能なスキルですね。特に鑑定に関しては、かなり使われるので試験に合格して頂ければ直ぐに特別職員として働く事も可能です」
「職員ですか、自分としては冒険者らしい生活をしたいんですけど……」
「勿論、クリス様の依頼を優先にしてもらって構いません。ただ鑑定が必要な素材が持ち込まれた際などに手伝っていただければ、報酬をお渡しいたしますよ」
「成程、日雇い感覚で居ればいいんですね」
リンさんの話を聞いて納得した俺は、早速だが鑑定職員になる為の試験を受ける事にした。
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