好きになってもいいですか?

ミヒロ

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私はうっかり、Nを書き忘れて、望くんに飲み物を頼んでしまった。

恋が頼んでいたな、て、カシスオレンジやシャンディガフ、たまに梅酒サワーやビールとか。

梅酒サワーはわからないけど、一緒に接客してて知った。ビールもノンアルコールだった。

お客様のお酒を作りながら、Nを書き忘れ、アルコールを飲んでしまった私のテンションが上がる。

不意に、

「失礼します」

と、先輩のキャストのお姉さんがやって来た。

お客様を長く居させる為に、一旦、私は席を外し、バックヤードに引っ込む。

もしくはわからない位置のボックスのお客様のところへ移動し、接客をする。

なかなか、恋と鉢合わせず、私は別のお客様のところへ案内され、

「失礼します、すみれです」

と、頭を下げ、席に着いた。

お二人のお客様は既に指名されていて、先輩キャスト、二人の裸の肩を抱いていた。

胸を強調した、それぞれ異なるデザインと色のドレス。

今日の私のドレスはお店からお借りした、淡いピンクと白の花柄の、ところどころ、宝石のようなビジューが散りばめられたミニドレス。

お姉さんたちは胸の谷間に思わず目を奪われそうな一部、レースの素材の黒のドレスと、オシャレな白と黒のチェック柄。

「可愛いね、すみれちゃん、て言うの?」

「ありがとうございます」

お二人のグラスの汗を最初に店長から教えられたようにハンカチで拭いた。

「名刺は?」

「ちょっと!」

「名刺、頂戴よ、すみれちゃん」

「え、あ、はい」

ポーチからカードケースを取り出し、名刺をお渡しすると、

「俺にも頂戴、すみれちゃん」

もうお一人のお客様に催促され、名刺をお渡しした。

「なにか飲んだら?すみれちゃん」 

「えっ、あ、えっと、ありがとうございます」

慌てて、仕切りガラス近くの小さな紙とペンを取る為に腕を伸ばした。
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