好きになってもいいですか?

ミヒロ

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お客さんが少ないときは、バックヤードで過ごす。

ウェイターと話してる人、タバコ吸ってる人、スマホを弄ってる人、仲間内でお喋りしている人。

髪の毛を綺麗にセットし、メイクアップした色とりどりなドレスを着たお姫様の裏側みたい。

私は特にすることもなく、恋はフロアにいるので、フリーのお客様や以前、指名してくれたお客様にメッセージを送って過ごす。

話す人は恋しかいないから。

このキャバクラ店に入り、二ヶ月が過ぎた。

「すみれさん、三番テーブル、ご指名です」

仕切りのカーテンを少し開き、座り込み、スマホを弄っていた私に、18の私と大して変わらない、ハタチのウェイター、望くんが声を掛けた。

望くんは普段は大学生でバイトなんだとか。
なんでも、以前はホストだったらしい。

ホスト、てよく分からないけど、私達、キャバクラの男バージョン、と恋が説明してくれた。

私は世間に疎い。

「ご指名ありがとうございます、お久しぶりです」

以前、指名してくれた男性の隣に座り、花柄のハンカチを膝に置き微笑んだ。

「久しぶり、すみれちゃん。元気にしてた?」

「はい。お陰様で」

工場で勤めている、と以前、フリーで入られたお客様で、一応、私の名刺を渡していた。

まさか、指名して貰えるなんて思わなかったけど、やっぱり嬉しい。

数人の中から、私を選んでくださったんだから。

「お飲み物は何に致しますか?」

「あー、ハイボール。ウイスキー、キープしようかな、何がある?」

「キープ、ですか。少々、お待ちください」

慌てて、手を挙げ、望くんを呼んだ。

「ウイスキーのキープを。あの、銘柄、て何がありますか?」

その後は私はわからない、ウイスキーの銘柄を望くんとのやり取りでお客様は決め、受け取ったボトルとアイス、炭酸水でハイボールを作った。

「すみれちゃんも何か飲みなよ」

「いいんですか?じゃあ...何にしようかな...」

メニューを見ることにした。

どうしよう、飲んだことがない、お酒がいっぱいだ。
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