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第八章

アラフォー、新たなる冒険の始まり

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「む……もう昼過ぎか」
 目覚めは良好。おや……?
「お兄ちゃん、おはよう」
「おはよう、シンシア」
 まだみんな寝ているがシンシアは起きてきた。起こしてしまったか?
「あのね、お兄ちゃん。その、私の、気持ち良かった?」
「もちろんさ。危うく勢い付いてしまうところだったよ」
「そっか。お兄ちゃんがそうしたいならすれば良かったんだよ?」
「大丈夫だよ。シンシアとはゆっくりするのが良いんだ」
 なんて事をいうがシンシアとする場合はゆっくりしかできない。先端しか入らないのだ。数センチ以下でしか動かせない。激しくなどできない理由はコレ。サキュバスとしては身体的に大丈夫なんだろうがやはり壊してしまいそうで。
「私も気持ち良かったよ、お兄ちゃん。私のがいっぱいになって、頭がふわふわ~って」
「そうかそうか。それなら良かった」
 シンシアも満足してくれた様だ。お互い満足できる事が重要なんだ。

 さて、暫くするとみんな起き出した。大浴場に向かい汗を流し合う。もはや一連の流れはテンプレと化している。
「はぁ~、風呂上がりのビールは美味いなぁ」
「ついに完成しましたね。醸造所!」
「ああ。みにでびるたちが頑張ってくれたおかげだ。ドリアードにも感謝しないと」
 風呂へ向かう途中、すれ違った妖精メイド長が醸造所の完成と稼働開始を告げてくれた。試作品を冷やしてあるから風呂上がりにどうぞ、とも。
「しかし、氷魔法は凄いな。ビア樽ごと冷やしてしまうとは」
 出来上がっていたのは「漆黒ビール」の「ラガー」タイプ。冷やして飲むと最高だ。みんなにも飲んでもらったが苦味があまり好きにはなれなかった様で。これは「宵待ホップ」を使った「十六夜ビール」の「エール」タイプに期待しよう。
 さて、ビールを楽しんだ後は……

「みんな、今後の動きについて話したいと思う」
 議事室にみんなを集めて会議。そう今からの動きだ。
「セレファニスタ迷宮は攻略し尽くしたしのう。王都に留まる理由もないというところじゃが」
「他の国を目指しますか?」
「それを考えていたんだ。みんなの見聞が広がるだろうし」
「でも国境を渡るのは大変だよ、お兄ちゃん」
「ああ。だがそれに関してはアテがある」
 恐らく街中へ出れば向こうから接触してくるはずだ。それを利用する。

——街中、夜
 やってきたのは裏路地。今日のメンバーはアイナとヴィルベルだ。
「D殿、私でございます」
「あの時の……やはり感づいたか」
 スッと暗闇から現れた使者。ヴィルベルはお粗末な尾行といったが相当のやり手である。
「至急、王城裏手に。ご案内は私が」
「分かった」
 闇夜を抜け、素早く移動する。恐らくは……

——王城、裏の間
「おお、そなたがDか。噂は聞いておるが本当に手早い遂行、感謝する」
 王直々に謝辞が述べられる。ありがたい話ではあるが。
「できる事をしたまでですよ。それより私たちを手招きしたのは一体?」
「いや何、表だっては褒美も渡せぬのでな。夜にこの密会の間に呼んだわけじゃ。して……何を望む? 『北の城主』よ」
「ぬ……知られていましたか。欲しいものは『通行証』です。国境を越えるための」
「ほう。しかし何故?」
「冒険のためですよ。新たなものを探しに行くんです」
「嘘を言うてはおらんのう。城を手に入れ、デビルロードドラゴンを従えてなお冒険に出る。流石じゃな」
「なに? 国王、お主、我に感づいておったか」
 この国王、なんて人だ。完全に龍の気を消したヴィルベルの正体を看破したというのか。いや、ギルドから聞いたのか?
「勘ですじゃ。通行証は今すぐ用意しよう」
 底が知れないな。永世中立を謳う国の王なだけある。
 暫く待って通行証を受け取り、城を後にした。
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