離れる気なら言わないで。~運命に振り回される僕はいつ自由になれるのかな?~

望百千もち

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本編 2章

1.

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次の日、佐々屋君は学校に居なかった。
・・・直江先生に聞いたら悲しそうに笑うだけで何も言ってくれない。大久間先生は気にすんなだって。



「俺と同じだよ」

そう言ったのは愛人君。
同じってなに?って聞いたら、僕は知らなくていいことだって教えてくれた。・・・どういうことなの?






愛人君は直江先生のクラスに編入した。今は、お昼とか伽南と郁と愛人と僕の四人で食べるようになった。
・・・僕以外の三人が仲良しすぎて、なんか疎外感。むぅ。
でも愛人君が戻ってきてから僕への告白が減った。
ようやく面倒くさくなってくれたのかな?良かったぁ。

・・・五十嵐先輩のことはまだ辛いけど・・・・・・。
そんなこと考える暇も無いくらいに三人が僕を笑わせてくれる。暗い顔なんてしてる時間が無いよ・・・。



朝はみんなで登校して、休み時間は伽南か郁が必ず一緒にお話してくれて、お昼休みはまた三人で集まってご飯食べて・・・時々伽南と郁がケンカして・・・それを僕と愛人君が止めようとして。

あ、この前はみんなで大浴場に行ったよ。
まだ僕の怪我も治りかけで危ないからって三人が着いてきたんだ。でも郁は入る前に倒れちゃって、伽南はお風呂に入る前に熱くなったって頭から水かけてて、愛人君はどこかに行っちゃって・・・・・・。
結局、お風呂に入ったの僕だけだったけど。

・・・三人でいるとほんとに楽しいんだぁ・・・・・・。
・・・・・・どうか・・・もう、少しだけ・・・。

























あれから一年経った。
僕たちは三年生になった。・・・クラスは僕と郁が直江先生クラスで、伽南と愛人君が大久間先生クラスになった。
みんな同じクラスになれなかったのは残念だけど、僕だけ一人・・・・・・とかじゃなくて良かった。郁と一緒ってだけでも安心する。

「・・・今日はこの学園の卒業生が教育実習生として来てくれました。・・・どうぞ、五十嵐・・・先生・・

・・・・・・え?

ガラッ――
「失礼します。今日から教育実習に入る、五十嵐 叶です――
「・・・あ、、、」


目が合った。たった一瞬。
でも、その視線はすぐに逸らされた。

「俺はこの学園の卒業生で、『指導者リーダー』と言う『導き』の2ランク上の称号を持ってるので先生になろうかなと思いました。・・・みんな、これからよろしく」
「五十嵐先生には今日の1限を担当して頂きます」

あの笑顔・・・・・・。
・・・懐かしい・・・・・・。

「・・・ユウ先輩、ユウ先輩・・・!」
「・・・・・・郁」



――やっぱり、ユウへの好意はユウの称号せいだって気づいたんだ。俺はユウを好きじゃない。好意であっても好きじゃないんだって

――よく考えたらユウみたいな地味な子好みじゃないし。恋愛対象でもない。・・・好きでもない



あ、、ダメ・・・・・・っ。
僕は先輩の声を聞きたくなくて、頭を抱えるようにして机に伏せた。・・・ただの思い違いかもしれないけど先輩に見られてるみたいで苦しい・・・。


「・・・どうしました・・・?・・・牧野君?」
「・・・せんせ・・・?」
「はい。・・・気分悪いのですか?」

僕は先生の方を向かず、机に突っ伏したままで首を振った。・・・今気分悪いなんて言って教室出てったら、注目されちゃうもん・・・。

「・・・・・・そうですか・・・」

先生は僕の机から離れてった。
・・・・・・あと少しだけの我慢だから・・・。





「・・・・・・と言うことで――?はい。・・・分かりました。
・・・えっと、この1限は俺もまだ慣れないので自習します。プリントを持ってくるのでそれをやって、分からないとこを俺が教えます。・・・ですよね?」
「それくらいは自分で判断してください。五十嵐先生」
「はは、相変わらず手厳しいですね・・・」


教室がどっと笑いに包まれた。
そう言って、五十嵐先輩が教室を出ていく。その瞬間にクラス全体がざわざわと騒ぎだした。

「皆さん、静かにして下さい。久しぶりに先輩に会えて嬉しいのは分かりますが、今年は皆さん進路を決めなくてはならないんですよ?落ち着きなさい。・・・とりあえず五十嵐先生が戻ってくるまでの私語は許しましょう。でも、声は抑えて、先生が帰ってきたら静かに迎えてあげてください」

直江先生が指示すると、みんな静かになった。
そして先生が教壇から降りるとこそこそと話す声が聞こえる。
・・・やっぱり、先生は優しい・・・。


「牧野君。少し、教室出ましょうか」
「・・・え?」
「・・・顔色も悪いです。あまり無理はしない方が良いですよ?」
「・・・はい」
「直江先生、俺も――
「大江君は授業をしっかり受けて下さいね。ただてさえ、牧野君がいる日にしか授業を受けないんですから・・・」

郁は項垂れるみたいにイスに座った。







僕は先生に促されるまま教室から出る。やっぱり、注目されちゃったけど先輩のいる前よりはまし。

「・・・牧野君、大丈夫ですか?」
「・・・」
「・・・牧野君?」
「っぁ、はい・・・」

気持ち悪い・・・・・・。
思わず、廊下に座り込みそうになった。

「うっ・・・」
「牧野君!?・・・トイレ行きますか?」

僕は頷く。
胃から酸っぱい苦いのが迫り上がる感覚――。

僕は先生に抱えられてトイレの個室に入った。
先生が後ろから背中を擦ってくれて、僕は黄色みがかった胃酸を吐き出した。



「・・・・・・ハァ、ハ・・ハァ・・・・・ハァハァ・・・
「牧野君・・・吸って・・・・・・吐いて・・・・・・ゆっくり。そう。・・・大丈夫だから、大丈夫ですよ・・・」
「ハァ・・・っうっうっうっ・・・は、うう・・・」
「・・・やっぱり大江君がいた方が良かったですかね・・・。牧野君、息が乱れるとまた苦しくなりますから・・・ゆっくりです。ちゃんと息を」

僕はもう何がなんだか分かんなくなって泣き出してしまった。気持ち悪いのも、せっかく大丈夫になったと思ってたのに嫌に早く脈打つ鼓動も・・・何で――!!

辛いよ・・・痛い・・・。
喉も、胃も、空気を吸いすぎた肺も。
全部痛いし、気持ち悪いし――。
・・・・・・何で――!!




「・・・・・・仕方がありませんね・・・。ユウト君は昔から繊細でしたから・・・。さぁ、目を瞑って・・・先生が導きます・・・・・・」

その言葉を最後に僕は――。
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