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呂久村深月と高崎塔夜
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ワァーッと一際大きな歓声が上がる。
文化祭である。
講堂のステージ上では、ヒラヒラのミニスカートの衣装を着た3人のアイドルが手を振っている。
メンバーのひとりが我が校の卒業生らしく、スペシャルゲストとしてアイドルが来るというから見に来た。
「地下アイドルってもっとブスかと思ってた。普通にかわいいな」
「歌うまいしねっ」
「ふーん。深月はどれが好みなの?」
「センターかな。やっぱセンターだなって納得の顔と胸と足」
胸はデカいのに足が細い。どうなってんだ。
講堂を出ると、爽やかな秋晴れ。
風は涼しく、過ごしやすい。
「俺は胸デカいのヤダ」
「颯太小さいから胸で窒息するもんな」
「笑いごとじゃねえんだよ」
「悪い」
ギロリと颯太に睨まれ、素直に謝る。逆らってはいけない人種っているものなのだ。
「へえ、ショタは胸ない方がいいんだ。珍しいね」
胸部ぺったんこで男子の制服が違和感ない一条が笑う。
「だっ、だから俺、一条の野原感もいいと思ってるよ」
「誰の胸が野原だって?」
「野原。スケールでか」
どこまでも平らってか。
あはは! と笑ってたら今度は一条に睨まれた。
「行こう、優。そろそろ俺ら当番の時間だ」
「結構たこせん人気あって忙しいよ。店番がんばってなー」
俺はもう店番を終えたのでエールを送る。
が、明翔はこちらを見もしないでさっさと歩いて行ってしまう。
「明翔、なんかすねてる?」
「深月がアイドルかわいいとか言うからだろ」
「アイドルにまでヤキモチかよ。想定外だったわ」
やば。全然気付かんかった。
何か明翔の機嫌直るようなもん買っとこかな。やっぱ食いもんか。
「深月、ハロウィンの仮装何するか決めたか?」
「グレーのスウェット着てニートの仮装」
「ただの部屋着じゃねえか」
合コンシュミレーションの後、何があったのか知らんが一条の合コン参加はなくなり、俺の家でハロウィンパーティーに変わっていた。
親がいなくて使いやすいのは分かるが、俺に無断で会場を俺ん家に決めるな。
「深月、射撃で勝負しねえか。勝った方が――」
「呂久村ひとりー? 明翔とケンカでもした?」
「わっ。タカトゥーだあ。びっくりしたなっ」
「わりーわりー」
タカトゥーがヘラヘラ笑っている。良かったな、颯太。ドスの利いた低音ボイスを聞かれてはなさそうだ。
タカトゥーの隣にいるカイルが射撃の銃を見て目を輝かせる。
「ソータ! チャカだ!」
「勝負するか? カイル」
「おう! タマぁいただくぞ!」
チビッ子二人が射撃の店番している1年生へと駆けて行く。
「タカトゥーはやんねーの?」
「俺は呂久村とお話してる方が楽しい」
「きっも。それ何?」
「手作りスムージーだって。3組の女子に買ってって~ってねだられちゃってさ」
タカトゥーは両手にジュースとフランクフルトを持ってるから、文化祭を存分に楽しんではいるようだ。
「最近どうよ。明翔かわいい?」
「さっきさあ、アイドルをかわいいって言ったら明翔ってばすねちゃってさあ。明翔の店番終わったら機嫌取んなきゃだわ」
「彼氏アピールクソうぜえ」
「めっちゃかわいない? アイドル相手にヤキモチとかさあ」
「明翔はかわいいけど呂久村マジウザい。顔からウザい」
「顔関係ないだろーが!」
俺も小腹が減った。すぐ目の前のたい焼きを買う。
「お前、ゆりに手ぇ出したの?」
「エサ与えといて気にはなるんだ」
「いや、普通に友達だから気になるだけ」
「悶々としてろ。いい気味」
「性格最悪だな」
「呂久村ほどじゃねえよ」
たい焼きあっま。
思ったよりあんこたっぷり大サービス。
「スムージーひと口くれ。口の中甘ったるい」
「男と間接キスなんかお断りだ。あとちょっとだからやる」
「誰もお前と間接キスなんか狙ってねえ」
変なこと言ってんじゃねえ。頭ん中そればっかりか。
たぶんイチゴが入ってる爽やかなスムージーでお口リフレッシュ。
「明翔には付き合ってどれくらいで手ぇ出したん。たらしの呂久村だからその日にとか?」
「やめんか! お前頭ん中そればっかりか!」
「え、呂久村もだろ」
「俺とお前を一緒にすんな」
「まさか、明翔に手ぇ出してないの?!」
ガアアン、と大きなショックに打ちのめされていらっしゃる。
俺を何だと思ってんだ、コイツ。
「出してない。俺、明翔が興味持つまでいつまででも待つって決めてっから」
「マジか。ガチのマジで本気じゃん」
「本気だよ。お前もそろそろ本気出せば」
「恋愛に本気出す気はねえわ」
フランクフルトを食べ終え、設置されている燃えるゴミの袋に投げ捨てた。
……恋愛感情もどっかに捨てて来たのか、タカトゥー。
「なんかさー、女子って彼氏でマウント取ろうとするとこない? カッコいい彼氏と付き合ってる自分イケてるみたいな」
「あー、俺も彼女が彼氏背ぇ高い自慢してるの見ちゃったことある」
「呂久村マジで身長しか取り柄ねえな」
「うっせえ。お前、何かあったんだろ。そんで恋愛する気ないんじゃねえの?」
「さー?」
はぐらかすってのは、認めるのと同義だぞ。
「溜め込んでねえで吐き出しちゃえよ。人に話すだけでもだいぶ楽になれるもんよ?」
「へー、明翔もそうやって口説いたの?」
「口説いてねえ! もー知らん! タカトゥーの話なんかぜってー聞かねえ!」
あははは! と男らしいイケメンフェイスで楽しそうに笑っている。
高身長イケメンさらに留学生に選ばれる頭脳ずば抜けたコミュ力。
性格の悪さでお釣りが来るとは言え、天は何物与えてんだ。不公平な。
文化祭である。
講堂のステージ上では、ヒラヒラのミニスカートの衣装を着た3人のアイドルが手を振っている。
メンバーのひとりが我が校の卒業生らしく、スペシャルゲストとしてアイドルが来るというから見に来た。
「地下アイドルってもっとブスかと思ってた。普通にかわいいな」
「歌うまいしねっ」
「ふーん。深月はどれが好みなの?」
「センターかな。やっぱセンターだなって納得の顔と胸と足」
胸はデカいのに足が細い。どうなってんだ。
講堂を出ると、爽やかな秋晴れ。
風は涼しく、過ごしやすい。
「俺は胸デカいのヤダ」
「颯太小さいから胸で窒息するもんな」
「笑いごとじゃねえんだよ」
「悪い」
ギロリと颯太に睨まれ、素直に謝る。逆らってはいけない人種っているものなのだ。
「へえ、ショタは胸ない方がいいんだ。珍しいね」
胸部ぺったんこで男子の制服が違和感ない一条が笑う。
「だっ、だから俺、一条の野原感もいいと思ってるよ」
「誰の胸が野原だって?」
「野原。スケールでか」
どこまでも平らってか。
あはは! と笑ってたら今度は一条に睨まれた。
「行こう、優。そろそろ俺ら当番の時間だ」
「結構たこせん人気あって忙しいよ。店番がんばってなー」
俺はもう店番を終えたのでエールを送る。
が、明翔はこちらを見もしないでさっさと歩いて行ってしまう。
「明翔、なんかすねてる?」
「深月がアイドルかわいいとか言うからだろ」
「アイドルにまでヤキモチかよ。想定外だったわ」
やば。全然気付かんかった。
何か明翔の機嫌直るようなもん買っとこかな。やっぱ食いもんか。
「深月、ハロウィンの仮装何するか決めたか?」
「グレーのスウェット着てニートの仮装」
「ただの部屋着じゃねえか」
合コンシュミレーションの後、何があったのか知らんが一条の合コン参加はなくなり、俺の家でハロウィンパーティーに変わっていた。
親がいなくて使いやすいのは分かるが、俺に無断で会場を俺ん家に決めるな。
「深月、射撃で勝負しねえか。勝った方が――」
「呂久村ひとりー? 明翔とケンカでもした?」
「わっ。タカトゥーだあ。びっくりしたなっ」
「わりーわりー」
タカトゥーがヘラヘラ笑っている。良かったな、颯太。ドスの利いた低音ボイスを聞かれてはなさそうだ。
タカトゥーの隣にいるカイルが射撃の銃を見て目を輝かせる。
「ソータ! チャカだ!」
「勝負するか? カイル」
「おう! タマぁいただくぞ!」
チビッ子二人が射撃の店番している1年生へと駆けて行く。
「タカトゥーはやんねーの?」
「俺は呂久村とお話してる方が楽しい」
「きっも。それ何?」
「手作りスムージーだって。3組の女子に買ってって~ってねだられちゃってさ」
タカトゥーは両手にジュースとフランクフルトを持ってるから、文化祭を存分に楽しんではいるようだ。
「最近どうよ。明翔かわいい?」
「さっきさあ、アイドルをかわいいって言ったら明翔ってばすねちゃってさあ。明翔の店番終わったら機嫌取んなきゃだわ」
「彼氏アピールクソうぜえ」
「めっちゃかわいない? アイドル相手にヤキモチとかさあ」
「明翔はかわいいけど呂久村マジウザい。顔からウザい」
「顔関係ないだろーが!」
俺も小腹が減った。すぐ目の前のたい焼きを買う。
「お前、ゆりに手ぇ出したの?」
「エサ与えといて気にはなるんだ」
「いや、普通に友達だから気になるだけ」
「悶々としてろ。いい気味」
「性格最悪だな」
「呂久村ほどじゃねえよ」
たい焼きあっま。
思ったよりあんこたっぷり大サービス。
「スムージーひと口くれ。口の中甘ったるい」
「男と間接キスなんかお断りだ。あとちょっとだからやる」
「誰もお前と間接キスなんか狙ってねえ」
変なこと言ってんじゃねえ。頭ん中そればっかりか。
たぶんイチゴが入ってる爽やかなスムージーでお口リフレッシュ。
「明翔には付き合ってどれくらいで手ぇ出したん。たらしの呂久村だからその日にとか?」
「やめんか! お前頭ん中そればっかりか!」
「え、呂久村もだろ」
「俺とお前を一緒にすんな」
「まさか、明翔に手ぇ出してないの?!」
ガアアン、と大きなショックに打ちのめされていらっしゃる。
俺を何だと思ってんだ、コイツ。
「出してない。俺、明翔が興味持つまでいつまででも待つって決めてっから」
「マジか。ガチのマジで本気じゃん」
「本気だよ。お前もそろそろ本気出せば」
「恋愛に本気出す気はねえわ」
フランクフルトを食べ終え、設置されている燃えるゴミの袋に投げ捨てた。
……恋愛感情もどっかに捨てて来たのか、タカトゥー。
「なんかさー、女子って彼氏でマウント取ろうとするとこない? カッコいい彼氏と付き合ってる自分イケてるみたいな」
「あー、俺も彼女が彼氏背ぇ高い自慢してるの見ちゃったことある」
「呂久村マジで身長しか取り柄ねえな」
「うっせえ。お前、何かあったんだろ。そんで恋愛する気ないんじゃねえの?」
「さー?」
はぐらかすってのは、認めるのと同義だぞ。
「溜め込んでねえで吐き出しちゃえよ。人に話すだけでもだいぶ楽になれるもんよ?」
「へー、明翔もそうやって口説いたの?」
「口説いてねえ! もー知らん! タカトゥーの話なんかぜってー聞かねえ!」
あははは! と男らしいイケメンフェイスで楽しそうに笑っている。
高身長イケメンさらに留学生に選ばれる頭脳ずば抜けたコミュ力。
性格の悪さでお釣りが来るとは言え、天は何物与えてんだ。不公平な。
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