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「おまえの言う通りだよ」
「やはり、なにか目的があるのだな」
助左衛門の言葉に栄助は大きくうなずいた。
「おまえだ、栄助」
「なに?」
助左衛門の発言が栄助は理解できない。
「おまえの鉄砲の腕が入用なのさ」
「鉄砲の腕? どういうことだ」
栄助は首を傾げる。
「オレは追われる身だ。陣借り無宿という、殺しの腕を貸し出すことを生業にしてて恨みを買っちまってな。その中でも今回の追手の一人が達者でな、浪人なんだが剣の腕が滅法立つ。だが、いくら剣が強くても遠くから鉄砲で狙われればひとたまりもない。そこで、腕のいい猟師のお前に」
「その浪人を撃てっていうのか」
「そういうことだ」
栄助の確認に助左衛門はどこかやけっぱちな口調で応じた。
「仕事に見合った金子は払う。猟師の稼ぎで妹を食わせるのも大変だろう」
猟師という生業を馬鹿にされた心地がして栄助は眉間に皺を寄せた。
「その金は人を殺して得た金か?」
「そうだよ、それがどうした。金は金だ」
栄助の質問に、助左衛門が自暴自棄ともとれる声音で応じる。
「やはり、なにか目的があるのだな」
助左衛門の言葉に栄助は大きくうなずいた。
「おまえだ、栄助」
「なに?」
助左衛門の発言が栄助は理解できない。
「おまえの鉄砲の腕が入用なのさ」
「鉄砲の腕? どういうことだ」
栄助は首を傾げる。
「オレは追われる身だ。陣借り無宿という、殺しの腕を貸し出すことを生業にしてて恨みを買っちまってな。その中でも今回の追手の一人が達者でな、浪人なんだが剣の腕が滅法立つ。だが、いくら剣が強くても遠くから鉄砲で狙われればひとたまりもない。そこで、腕のいい猟師のお前に」
「その浪人を撃てっていうのか」
「そういうことだ」
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「その金は人を殺して得た金か?」
「そうだよ、それがどうした。金は金だ」
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