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「ささ、馳走になれ」
 助左衛門に猪口にチロリから酒を注がれぎこちない手付きでそれを受けた。
「久しぶりに会ったのだからな、これぐらいのことはせんと」
 助左衛門が言い訳がましく告げる。
「なあ、助左」
 こちらが問いかける前に、
「その後、お前はどう過ごしていた?」
 と助左衛門が質問を投げかけ栄助が声を発する暇を与えない。
「猟師を生計として妹を養っていた」
「ほう、やはり猟師を」
 助左衛門の目が光った気がした。
「妹も大きゅうなったのだろうな」
「ああ、そろそろ嫁に行ってもいい年頃だ」
「ははあ、時の流れは早いな」
 そこまで助左衛門がしゃべったところにやや強引に栄助は声を割り込ませた。
「助左、何用があって故郷くんだりまで戻ってきたのだ?」
 その発言に助左衛門が黙り込んだ。
「今さら、村の暮らしを懐かしむためでもなかろう?」
 そこまで告げたところで、ふっ、と助左衛門が笑った。
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