救世の血 セイバーブラッド

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シーズン1

第5話 シーズン1/リポート5/セクション2

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第5話 シーズン1/リポート5/セクション2
救世の血 セイバーブラッド シーズン1  導かれる希望

5.コアキューブ

「これが動力源だ、〝コアキューブ〟というんだ…」
 金属のケースが開くと、緑に近い青の発光色が放たれた。
「やけに小さいな」
「膨大なエネルギーの圧縮が成功して、このサイズになった」
 コアキューブは持ち運び可能、成人の平均的な手のひらサイズだが、大型機動戦艦バトルシップ5隻分の動力を有していた。

「あんたが造ったのか?」
「いいや、わしより天才がてな…独自ルートで、設計図と材料を送ってもらった…特に、〝ムーンメタル〟は入手困難だ…」
「ムーンメタルって?」
 エリザベスが質問した。
「月の裏側で発掘された新元素だよ、ムーンメタルがないと、コアキューブは造れないわけだ」
 コアキューブは水素・プラズマ・ムーンメタルで構成されていた。
 ちなみに、コアキューブの注意点はスケールスキャナー使用時である。スケールスキャナーは、液体やエネルギーの容量を変えることが不可能だった。
 もし、WMのような大型兵器に動力系統のものを積み込んだまま、スケールスキャナーを使用すれば…

「コアキューブの使い方を誤ると、ネオ・シリコンバレーが吹き飛ぶ恐れが…被害はそれ以上かも…」
 スティングの笑えない冗談で、リヴァーたちは血の気が引いた。今日は何かと覚えることが多かった。

「…私は仕事で出るけど、あんたたちはずっと地下ここにいるの?」
「ああ、店番は任せろ」
 スティングたちはヒルツの整備作業を続けて、エリザベスは仕事で外出した。
 そして…

「…ハワード博士の娘が出て行きました」
 ハワード家宅周辺に1台の不審車両が停まっていた。乗車しているのはミア少将直属の部下であった。

「よし、娘をけるんだ…父親は任せろ」
 指揮官のミアは、軍作戦司令部室から部下に命令した。
「別の部隊を送りますか?」
「人間を使う必要はない…を使おう」
 ミアは不敵な笑みを浮かべて、ある野望を抱いていた。リヴァーを匿っているハワード父娘も、ミア軍の要注意人物ブラックリスト扱いとなり、ネオ・シリコンバレーに不穏な空気が広がっていった。
 それから…

 時が流れて、夕刻時間が訪れた。
「…今日はこの辺にしておくか」
「完成までどれくらいかかる?」
「機体の調子は順調だ、あとは…お前次第だな」
「俺が何だ?」
「ヒルツは常人では操れない、明日は操縦のテストをするぞ」
 リヴァーたちが地上に姿を見せると、タイミングよくエリザベスが帰ってきた。彼女が運転するホバートレーラーの荷台車両キャリアには、ジャンク市場マーケットで仕入れた代物が積まれていた。

「ただいま~調子はどう?」
「年寄りには応える作業だ…続きは明日にする」
「こっちもちゃんと働いてきたわよ」
「そのようだな…うちの商品は売れたか?」
「お陰様で…評判が良いから完売よ」
「仕入れ品は後でチェックだ…飯にしよう」
 3人揃い、彼らの労働は終わった。それから…

 夕食を済ませると自由時間になり、エリザベスは疲れを取ろうと、シャワーを浴びに行った。その一方で…

 スティングは、リヴァーを自分の部屋に誘った。彼の部屋には本棚があるが、それはではなかった。
 スティングが本を1冊抜くと、本棚に異変が起きて、本棚は観音開き状態となり、隠し扉が現れる仕掛けとなっていた。
「この家は秘密が盛り沢山だな…」
で話そう」
 リヴァーはスティングの怪しげな隠し部屋に導かれて、今後の展開につながる情報を得るのであった。
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