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第五部ー君の眠りは僕には辛すぎてー
第十二話 未来絵図を壊した君が「嫌い」
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「ね、このクロスワードパズルで陽炎さんの国の単語出てるんだけど……」
「じゃあ白雪に聞けばいいのに」
「……陽炎さんの意地悪。本当の用件がこれじゃないって分かってるのに」
亜弓は口ではそう言いながら、けらけらと笑い、椅子を持ってきて、陽炎の隣に座る。
何かきょろきょろとしてる様子だったので、陽炎はどうしたのだろうと思うと同時に、理由がすぐに分かったので、くすっと少し上品に笑った。
「鴉座なら今は居ないよ。ずっと側にいるわけじゃない」
「え、あ、そ、そうなの?! へ、へぇー!」
「――鴉座とのことが、聞きたいのか?」
「……――うん、その……ずばり何処がいいの? 何で女の子じゃないの?」
そんなことを直球に聞いてくるのは今まで居なかったわけではない。
酔った勢いで、酒場で側に居すぎた鴉座に対し、酔っぱらいが聞いてきたことがある。それに大犬座とて聞いてきたこともある。
純粋で何気ないけれど、とても難しい質問だ。
巧く答えられるかな、と不安が過ぎる。だから先に陽炎は亜弓に呉のことを聞くことにした。本を膝に置いて、椅子の肘掛けに肘を置いて、手で顎を支える。
「呉ってどういう奴?」
「え? ええとね、無口で、口が汚くて、捻くれていて、自分勝手で……」
「悪口ばかりじゃないか。どうしてそんなの好きになった?」
「ええー? 悪いところばかりじゃないんだよー? 柔らかに笑ったときは、可愛くてお馬鹿でいいんだよー?」
「……馬鹿なのか?」
「うん、馬鹿」
亜弓は両頬を抑えて、はぁとため息をつきながらも顔を赤くする。
その様子に陽炎は微笑ましくて、視線が合うと、にこと微笑む。
陽炎の上品な笑みを前にすると緊張してしまう――柘榴曰く、「かげ君は大雑把です、粗野で野生児です。かげ君はペテン師だ、ありゃ騙される。見た目に騙されちゃ駄目だよーあゆちゃん」らしいけれど、こんな雅な容姿の相手を間近で見るのは初めてで、亜弓はぽやーっとする。特別美形、とかそういうわけではないのに、何故か見蕩れる。
ただでさえ呉のことを考えて赤くなっていた顔が、緊張で赤くなっていく。
陽炎は小首を傾げて――その動作がまた緩やかで様になり――、どうしたと問うてきたが何でもないと答える。
「馬鹿で、可愛いの。寧ろ馬鹿だからこそ可愛いッ。僕のことしか見えてないしッ」
「――そういうことだよ」
「え?」
「俺も鴉座、馬鹿だから好きなの。俺しか見えてないから、好きなの。俺以外のこと考えるあいつなんて嫌なの」
「……そんなんじゃ納得出来ないよ」
亜弓ははぁあとため息をついて、項垂れる。
(自分しか見えてない馬鹿だから好きになれる? そんなわけないじゃん)
そんなのが己の求める答えだったら最初からとうに出ている。陽炎に頼ることなく。鴉座と二人で居る姿を見て、何処か安心しようとすることもなく。
彼らがじゃれていると、安心する。こんな世界でも、同性の恋愛を許してくれる環境があるのかと落ち着く時がある。でもそれは此処だからこそ。此処が特殊な環境だからこそだ。己は、族長となる身。どう一身上の都合で子をなせぬ同性を選べよう? 次世代への血が、途絶える。ただでさえ少数の民族なのだし。それに郷では偏見が強い。海幸の告白が良い例だ。この世の何処よりも閉鎖的で小さな空間で、同性の恋愛が偏見を持たぬワケがない――と亜弓は思う。
だからこそ、陽炎から明確な答えが欲しかったのに。
――亜弓は、郷を思い、将来を考えると、少し震えが止まらなくなるようになった。呉のあの騒動があってから。
だから、今も少し将来が過ぎったのだろう、手が震える――。
「あれ――やだな、もうお爺ちゃんになった気分だ」
気付かぬ間に震えていた手、無意識に震えていた手を見ると、亜弓は顔をくしゃくしゃにして顔を抑えて、悩む。
(呉、呉、呉――この馬鹿ッ! 何なの、君は! どうしてこんなに僕の将来設計図を崩すんだ!? どうして僕の心を鷲掴みにするんだ!? どうして君を思うと幸せになれるのに、怖くもなるの!? ……どうして、君は二人を犠牲にしようとするの!?)
亜弓は、抑えていた顔をぱんぱんと叩いて、気を引き締めようとする。
そんな様子を見て、陽炎は失敗したか、と予測し、頬をかいて、苦笑を浮かべる。
陽炎はそれならば、と一つ提案してみる。
「一人の人間として好き、なんだ」
「人間じゃないじゃん。妖仔じゃん、鴉座」
確かに言われてみれば。陽炎はどう言えばいいのか分からなくなって、うーんと唸る。亜弓は唸った先には期待通りの返答が得られるだろうと思い、わくわくしながら待つ。
(別に悩まなかったわけじゃないんだけど、こう吹っ切った時の気持ちって現しにくいんだよなぁ……――そりゃ怖かったりもしたけど、どうやってそれが消えたかなんて、言い表しにくいんだ……よなぁ)
陽炎は、ふと脳裏に鴉座を過ぎらせる。
鴉座が記憶を無くしてからは己が口説き続けたが、昔は最初に出会った時から口説いていた。恐れは無かったのだろうか。というか、星座達全員、寛容すぎるだろう、とつっこみに入りかける陽炎。
でも昔の星座の言葉を信じるならば、「純粋な願いほど愛属性になる」とのことだ。
己は昔、ただ寂しいから星座を作ろうとしただけの根暗人間だ。根暗の弱みにつけこまれたが、愛属性の彼らの愛はああまでされては疑えない。
ならばそうしたのは己なのだろうか。
――そういえば、柘榴に愛属性なのは、蠍座くらいだし。魚座は何処か違うような気がする。白雪に城に連れて行かれた時の、忠実属性の癖に愛を持っていた鴉座のような感じがする。だから、柘榴の願いはきっと毒々しい。
(――……どうやってふっきれていくか、なんて人それぞれの気がするんだけどそれじゃ納得しそうにない目なんだよなぁ)
果たして彼を納得させられる言葉は選べるだろうか。陽炎は数少ない語彙を模索する。
と、その時、思考回路を中断させられる声が聞こえた。
彼の声は何時だって己を包み、甘やかして思考を動くのを止めさせられる。
「かげ君、いるー?」
柘榴だ。根暗時代から、今日まで引っ張ってきた、前向き人間。自分より不幸な星を背負っているのに強く強く居られる人間。
いつまでも隣に居て、己が人間不信から立ち直るまでは面倒見てくれそうな親友。
親友は、少し慌てた様子だった。
「じゃあ白雪に聞けばいいのに」
「……陽炎さんの意地悪。本当の用件がこれじゃないって分かってるのに」
亜弓は口ではそう言いながら、けらけらと笑い、椅子を持ってきて、陽炎の隣に座る。
何かきょろきょろとしてる様子だったので、陽炎はどうしたのだろうと思うと同時に、理由がすぐに分かったので、くすっと少し上品に笑った。
「鴉座なら今は居ないよ。ずっと側にいるわけじゃない」
「え、あ、そ、そうなの?! へ、へぇー!」
「――鴉座とのことが、聞きたいのか?」
「……――うん、その……ずばり何処がいいの? 何で女の子じゃないの?」
そんなことを直球に聞いてくるのは今まで居なかったわけではない。
酔った勢いで、酒場で側に居すぎた鴉座に対し、酔っぱらいが聞いてきたことがある。それに大犬座とて聞いてきたこともある。
純粋で何気ないけれど、とても難しい質問だ。
巧く答えられるかな、と不安が過ぎる。だから先に陽炎は亜弓に呉のことを聞くことにした。本を膝に置いて、椅子の肘掛けに肘を置いて、手で顎を支える。
「呉ってどういう奴?」
「え? ええとね、無口で、口が汚くて、捻くれていて、自分勝手で……」
「悪口ばかりじゃないか。どうしてそんなの好きになった?」
「ええー? 悪いところばかりじゃないんだよー? 柔らかに笑ったときは、可愛くてお馬鹿でいいんだよー?」
「……馬鹿なのか?」
「うん、馬鹿」
亜弓は両頬を抑えて、はぁとため息をつきながらも顔を赤くする。
その様子に陽炎は微笑ましくて、視線が合うと、にこと微笑む。
陽炎の上品な笑みを前にすると緊張してしまう――柘榴曰く、「かげ君は大雑把です、粗野で野生児です。かげ君はペテン師だ、ありゃ騙される。見た目に騙されちゃ駄目だよーあゆちゃん」らしいけれど、こんな雅な容姿の相手を間近で見るのは初めてで、亜弓はぽやーっとする。特別美形、とかそういうわけではないのに、何故か見蕩れる。
ただでさえ呉のことを考えて赤くなっていた顔が、緊張で赤くなっていく。
陽炎は小首を傾げて――その動作がまた緩やかで様になり――、どうしたと問うてきたが何でもないと答える。
「馬鹿で、可愛いの。寧ろ馬鹿だからこそ可愛いッ。僕のことしか見えてないしッ」
「――そういうことだよ」
「え?」
「俺も鴉座、馬鹿だから好きなの。俺しか見えてないから、好きなの。俺以外のこと考えるあいつなんて嫌なの」
「……そんなんじゃ納得出来ないよ」
亜弓ははぁあとため息をついて、項垂れる。
(自分しか見えてない馬鹿だから好きになれる? そんなわけないじゃん)
そんなのが己の求める答えだったら最初からとうに出ている。陽炎に頼ることなく。鴉座と二人で居る姿を見て、何処か安心しようとすることもなく。
彼らがじゃれていると、安心する。こんな世界でも、同性の恋愛を許してくれる環境があるのかと落ち着く時がある。でもそれは此処だからこそ。此処が特殊な環境だからこそだ。己は、族長となる身。どう一身上の都合で子をなせぬ同性を選べよう? 次世代への血が、途絶える。ただでさえ少数の民族なのだし。それに郷では偏見が強い。海幸の告白が良い例だ。この世の何処よりも閉鎖的で小さな空間で、同性の恋愛が偏見を持たぬワケがない――と亜弓は思う。
だからこそ、陽炎から明確な答えが欲しかったのに。
――亜弓は、郷を思い、将来を考えると、少し震えが止まらなくなるようになった。呉のあの騒動があってから。
だから、今も少し将来が過ぎったのだろう、手が震える――。
「あれ――やだな、もうお爺ちゃんになった気分だ」
気付かぬ間に震えていた手、無意識に震えていた手を見ると、亜弓は顔をくしゃくしゃにして顔を抑えて、悩む。
(呉、呉、呉――この馬鹿ッ! 何なの、君は! どうしてこんなに僕の将来設計図を崩すんだ!? どうして僕の心を鷲掴みにするんだ!? どうして君を思うと幸せになれるのに、怖くもなるの!? ……どうして、君は二人を犠牲にしようとするの!?)
亜弓は、抑えていた顔をぱんぱんと叩いて、気を引き締めようとする。
そんな様子を見て、陽炎は失敗したか、と予測し、頬をかいて、苦笑を浮かべる。
陽炎はそれならば、と一つ提案してみる。
「一人の人間として好き、なんだ」
「人間じゃないじゃん。妖仔じゃん、鴉座」
確かに言われてみれば。陽炎はどう言えばいいのか分からなくなって、うーんと唸る。亜弓は唸った先には期待通りの返答が得られるだろうと思い、わくわくしながら待つ。
(別に悩まなかったわけじゃないんだけど、こう吹っ切った時の気持ちって現しにくいんだよなぁ……――そりゃ怖かったりもしたけど、どうやってそれが消えたかなんて、言い表しにくいんだ……よなぁ)
陽炎は、ふと脳裏に鴉座を過ぎらせる。
鴉座が記憶を無くしてからは己が口説き続けたが、昔は最初に出会った時から口説いていた。恐れは無かったのだろうか。というか、星座達全員、寛容すぎるだろう、とつっこみに入りかける陽炎。
でも昔の星座の言葉を信じるならば、「純粋な願いほど愛属性になる」とのことだ。
己は昔、ただ寂しいから星座を作ろうとしただけの根暗人間だ。根暗の弱みにつけこまれたが、愛属性の彼らの愛はああまでされては疑えない。
ならばそうしたのは己なのだろうか。
――そういえば、柘榴に愛属性なのは、蠍座くらいだし。魚座は何処か違うような気がする。白雪に城に連れて行かれた時の、忠実属性の癖に愛を持っていた鴉座のような感じがする。だから、柘榴の願いはきっと毒々しい。
(――……どうやってふっきれていくか、なんて人それぞれの気がするんだけどそれじゃ納得しそうにない目なんだよなぁ)
果たして彼を納得させられる言葉は選べるだろうか。陽炎は数少ない語彙を模索する。
と、その時、思考回路を中断させられる声が聞こえた。
彼の声は何時だって己を包み、甘やかして思考を動くのを止めさせられる。
「かげ君、いるー?」
柘榴だ。根暗時代から、今日まで引っ張ってきた、前向き人間。自分より不幸な星を背負っているのに強く強く居られる人間。
いつまでも隣に居て、己が人間不信から立ち直るまでは面倒見てくれそうな親友。
親友は、少し慌てた様子だった。
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