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海香子編
1。初恋と再会
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『あんっ♡んっ♡イくぅうう~っ♡♡』
女優の安っぽい、演技だと一瞬で分かるような喘ぎ声。それでも、圭司からすれば刺激物以外の何ものでもない。
必死に声を押さえながら、それでも息を漏らしながら手の動きを進めていく。肉棒はどんどん硬さを増して、止められそうにない。
『あああああっ!♡』
女優の甲高い声に合わせるように、圭司の腰も跳ねた。同時に、亀頭に被せていたティッシュにどぱっ♡どぱっ♡と射精する。
「ふーっ……♡ふーっ……♡」
最近習得した特技といえば、女優と同時に達するという事だ。これを大学の友人に話すと大層笑われた。
童貞のまま生きてきて21年、圭司の自慰はもはや毎日の域に達していた。性欲も今までで一番強まっている……というより、どんどん悪化している気がする。
後処理を終え、未だ眠りこける母の姿を確認して家を出た。
(やべ、このままじゃ遅刻する……っ)
四回生にもなり、受講している授業は数少ない。しかし単位はギリギリのため、どれも落とせなくなっている。
昼前なのもあってか、電車は比較的空いていた。安心して席に座り、揺られていると向かいのカップルが目に入った。制服からして、近所の高校生だ。
(あんなガキどもでも、セックスしてんだろうなあ……)
彼女はいたことはある。キスもしたことはある。しかし、「あんたの友達とヤッちゃった」と言われ、ブチ切れた圭司が付き合って1週間で振って終わった。
勿体なかったかと思い改めて近づこうとしたら、その女は友人と人目を憚る事なくいちゃついていて……結局それで身を引いたのだった。勿論、その友人とも縁を切った。
(俺なんか、あれ以来女子の手も握った事もねえってのに)
場違いでしかない苛立ちを抱えたまま、電車を降りる。そのカップルは降りずに仲良さそうに寄り添って席に座ったままで、舌打ちしたい気分になった。
駅そばの大学に到着すると、意外にも時間はまだありそうだった。
(せっかくだし食堂でも行くか……)
そう思っていた矢先だった。どん!と肩に誰かがぶつかってきた。
「わ、すっすみませんっ!」
慌ててそちらを見ると、女性が「こちらこそすみません、ぼーっとしてて……」と返してきた。
その女性を見た瞬間、圭司はぽかんと口を開けてしまった。そして、口をついて出たのは。
「……みかちゃん?」
女性は「え?」と呟いたが、すぐに「あー!」と声をあげた。
「えっ、圭司!?えっ、そっかもう大学生か!ここの!?」
「う、うん!久しぶりだね、えっ……みかちゃん、でももう大学生じゃ、え?」
「私ここの臨時講師になったんだよね、美術科の。あ、ごめん私急いでて……ねえ、夜よかったらまた会わない?」
「うんっ、会いたい!俺授業このあとだけだし、待つよ!」
どうやら急いでいたらしく、彼女はそのまま勢いよく走っていった。その後ろ姿を見て、圭司は息を呑んだ。
「みかちゃん……全然変わってねーじゃん……」
それが、海香子……圭司にとって初恋の女性との、再会だった。
女優の安っぽい、演技だと一瞬で分かるような喘ぎ声。それでも、圭司からすれば刺激物以外の何ものでもない。
必死に声を押さえながら、それでも息を漏らしながら手の動きを進めていく。肉棒はどんどん硬さを増して、止められそうにない。
『あああああっ!♡』
女優の甲高い声に合わせるように、圭司の腰も跳ねた。同時に、亀頭に被せていたティッシュにどぱっ♡どぱっ♡と射精する。
「ふーっ……♡ふーっ……♡」
最近習得した特技といえば、女優と同時に達するという事だ。これを大学の友人に話すと大層笑われた。
童貞のまま生きてきて21年、圭司の自慰はもはや毎日の域に達していた。性欲も今までで一番強まっている……というより、どんどん悪化している気がする。
後処理を終え、未だ眠りこける母の姿を確認して家を出た。
(やべ、このままじゃ遅刻する……っ)
四回生にもなり、受講している授業は数少ない。しかし単位はギリギリのため、どれも落とせなくなっている。
昼前なのもあってか、電車は比較的空いていた。安心して席に座り、揺られていると向かいのカップルが目に入った。制服からして、近所の高校生だ。
(あんなガキどもでも、セックスしてんだろうなあ……)
彼女はいたことはある。キスもしたことはある。しかし、「あんたの友達とヤッちゃった」と言われ、ブチ切れた圭司が付き合って1週間で振って終わった。
勿体なかったかと思い改めて近づこうとしたら、その女は友人と人目を憚る事なくいちゃついていて……結局それで身を引いたのだった。勿論、その友人とも縁を切った。
(俺なんか、あれ以来女子の手も握った事もねえってのに)
場違いでしかない苛立ちを抱えたまま、電車を降りる。そのカップルは降りずに仲良さそうに寄り添って席に座ったままで、舌打ちしたい気分になった。
駅そばの大学に到着すると、意外にも時間はまだありそうだった。
(せっかくだし食堂でも行くか……)
そう思っていた矢先だった。どん!と肩に誰かがぶつかってきた。
「わ、すっすみませんっ!」
慌ててそちらを見ると、女性が「こちらこそすみません、ぼーっとしてて……」と返してきた。
その女性を見た瞬間、圭司はぽかんと口を開けてしまった。そして、口をついて出たのは。
「……みかちゃん?」
女性は「え?」と呟いたが、すぐに「あー!」と声をあげた。
「えっ、圭司!?えっ、そっかもう大学生か!ここの!?」
「う、うん!久しぶりだね、えっ……みかちゃん、でももう大学生じゃ、え?」
「私ここの臨時講師になったんだよね、美術科の。あ、ごめん私急いでて……ねえ、夜よかったらまた会わない?」
「うんっ、会いたい!俺授業このあとだけだし、待つよ!」
どうやら急いでいたらしく、彼女はそのまま勢いよく走っていった。その後ろ姿を見て、圭司は息を呑んだ。
「みかちゃん……全然変わってねーじゃん……」
それが、海香子……圭司にとって初恋の女性との、再会だった。
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