伯爵令嬢は身の危険を感じるので家を出ます 〜伯爵家は乗っ取られそうですが、本当に私がいなくて大丈夫ですか?〜

超高校級の小説家

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ライラックさんは王族の事情に詳しいみたいです。王都に住んでいたということですが、名のある貴族なのでしょうか。

「ライラックさんは王都にいる時はどんな仕事をしていたんですか?」

「そいつは王都で一番の技術を持っていた薬師だ」

他のところから声がしました。サージェント様が戻ってきたようです。後ろから眼鏡をかけた青年がついて来ていて、その人の声だったようです。

「それなのにアイリスさんを亡くして王都から姿を消してしまったんだ。昼間にハイペリカム侯爵様からライラックを見かけたと聞いて半信半疑だったけど、本当にこんな村にいたとはね」

「昔の話だ。もうやめてくれ」

ライラックさんは心底嫌そうにしています。青年はやれやれという仕草をしながら苦笑いしています。

「僕は王国鑑定師のカラード・フレグラント。柄にもなく狩猟なんかに連れ出されたら、いきなりこんなことになるなんてね。ルピナス様が無事で本当に良かったよ」

カラードさんは飄々とした人でした。本当に信用できるのでしょうか。

「全く無事ではなかったのだがな。私の治療薬では手が付けられない重傷だった」

「フレグラント子爵、この娘の指輪を鑑定して欲しい。この指輪がライラックの特級ポーションすら凌ぐ治癒魔法を発動したのだ」

「それは眉唾ものだね。それで指輪が消失していないんだから、とても信じられないけど」

そう言いながらカラードさんは私の手を取ろうとします。流石に驚いたので、私は手を引っ込めてしまいました。

「失礼、指輪を外さなくて良いようにそのまま鑑定しようと思ったのだけど」

「フリージア、君は平民として生きるのはやはり難しいのではないか」

「も、申し訳ありません」

過剰反応に見えたのでしょうか、ライラックさんに呆れたような声で言われました。でも私も年頃ですし、平民でもこのくらいの反応は許されると思うのですけど。

そう思いながら私がカラードさんに手を差し出すと、ルピナス様が吹き出していました。

「フリージア、不満が顔に出ているよ。君は面白い子だね」

「すぐ終わるから我慢してね」

カラードさんが私の手を取り、もう片方の手を指輪にかざしました。さっきまでと違って真剣な顔で指輪を見ています。次第におでこが当たりそうなほど顔を近づけて見たり、「うーむ」と唸りながら私の手首を掴んで手を表にしたり裏にしたりし始めました。

「ちょっと痛いです……」

「本当に殿下は重傷だったのですか?」

疑うような声でそう言いながらカラードさんは私の手を離してサージェント様の方に向きました。運び込まれた時点では服を着ていたからご存知ないようです。

「確かに手足の骨折と、腹部に強い打撲痕があり酷く内出血していた。放置していたら死ぬところだっただろう」

ライラックさんが横からそう言うと、サージェントさんも肯定するように頷きました。ルピナス様はお腹を摩りながら複雑そうな顔をしています。

「結論から言うと、この指輪は貴重なものです」

「おお、ではやはり!」

「早合点しないでください。この指輪には魔法に必要な魔力を軽減する付与効果しかありません。軽減される量が約半分と非常に効果は高いですが、この世に二つと無いほど貴重なものではありません。」
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