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なんとか気を落ち着けて、いつもやっているようにルピナス様の脇腹に手を近づけて力を込めました。
いつもより手が熱くなっている気がします。心なしか光っているようにも見えていて、気になるのかライラックさんやサージェント様も覗き込んできました。
すると、脇腹の紫色がどんどん薄くなって綺麗な状態になりました。ルピナス様の顔色も昼間のように良くなっています。
「なんということだ」
私自身も信じられませんが、見ていたライラックさんが感嘆の声を上げています。
他の部位をライラックさんが確認しています。
「折れていた手足もまるで何も無かったかのように全て完治している。こんな凄い治癒魔法が封じられた指輪があるとは」
そのとき、ルピナス様が身体を起こしました。本当に完治しているようです。サージェント様も目を見はっています。
「殿下、まだ寝ておられた方がよろしいのでは」
「もう大丈夫だよ。不思議なことに先程までの苦痛が嘘のように無くなっているんだ」
「おお、良かった……」
サージェント様は涙を流して喜んでいます。力になれて良かったと思いました。
しかし私は喜んでばかりもいられません。お母様の指輪にこんな力があることがわかりました。王族に見られてしまった以上、このまま私が持っておくことはできないかもしれません。
「フリージア、君に感謝する。君は私の命の恩人だ」
「いえ、私は何も……」
いっそ最初から指輪の話はせずに私がやったと言っておけば良かったのでしょうか。でもそんな嘘をついてもすぐにバレますよね。私は治癒魔法なんて使えないのですから。
「その指輪は母の形見と言ったな。少し見せてもらえぬか」
案の定、サージェント様がそんなことを言い出しました。恐らく、そのまま差し出せということになるはずです。
人の命を救えたことは良い事だと思うので後悔はしていませんが、辛い時に私を度々救ってくれたお母様の指輪だけは他の何にも代えられません。
「サージェント、私の命の恩人にそんなことをしてはだめだ。フリージアもそんな顔をしないでくれ。私はそんなことを許すつもりはないから」
「別に奪おうというわけではございません。鑑定だけでもさせていただきたいのです。先程の力は、今の王国を救うことになるかもしれないのです」
サージェント様は大袈裟なことを言いますが、意外とそうでも無いのかルピナス様も考えこんでいます。
「フリージア、悪いが鑑定だけでもさせてもらえないか。外で待機している中に鑑定に長けた者がいて、彼は信用できるから」
ルピナス様達には信用できても私が信用できるかわかりません。私は思わずライラックさんの方を見ましたが、ライラックさんは首を横に振りました。
「君の心配はわからないでもないが、鑑定だけでもしてもらいなさい。殿下が恩義を感じて君を立ててくれているんだ。それに、ひとつ気になることがある。この鑑定は君の為になるかもしれない」
「本当に命の恩人に失礼なことをするつもりはないんだ。もし君から形見の指輪を奪おうとする者がいれば私が許さないと約束する」
やはり理不尽だと思わなくも無いですが、二人にそこまで言われてはもう見せないわけにはいきません。私が了承するとサージェント様が外に人を呼びに行きました。
「ここだけの話だが、現在国王陛下が病床に伏せていてね。少し危ない状態なのだけど、それで私と腹違いの弟が揉めているんだ」
「後継争いが起きていると。確か第二王子の母親は公爵家の出身でしたね。庶民にはあまり関わりたく無い話ですが」
「あはは、私の母はさっきのサージェントの姪なんだ。それでちょっと旗色が悪くてね」
ルピナス様とライラックさんがそんな話をしています。全くスケールは違いますけど、私と似たような境遇だなと思ってしまいました。
いつもより手が熱くなっている気がします。心なしか光っているようにも見えていて、気になるのかライラックさんやサージェント様も覗き込んできました。
すると、脇腹の紫色がどんどん薄くなって綺麗な状態になりました。ルピナス様の顔色も昼間のように良くなっています。
「なんということだ」
私自身も信じられませんが、見ていたライラックさんが感嘆の声を上げています。
他の部位をライラックさんが確認しています。
「折れていた手足もまるで何も無かったかのように全て完治している。こんな凄い治癒魔法が封じられた指輪があるとは」
そのとき、ルピナス様が身体を起こしました。本当に完治しているようです。サージェント様も目を見はっています。
「殿下、まだ寝ておられた方がよろしいのでは」
「もう大丈夫だよ。不思議なことに先程までの苦痛が嘘のように無くなっているんだ」
「おお、良かった……」
サージェント様は涙を流して喜んでいます。力になれて良かったと思いました。
しかし私は喜んでばかりもいられません。お母様の指輪にこんな力があることがわかりました。王族に見られてしまった以上、このまま私が持っておくことはできないかもしれません。
「フリージア、君に感謝する。君は私の命の恩人だ」
「いえ、私は何も……」
いっそ最初から指輪の話はせずに私がやったと言っておけば良かったのでしょうか。でもそんな嘘をついてもすぐにバレますよね。私は治癒魔法なんて使えないのですから。
「その指輪は母の形見と言ったな。少し見せてもらえぬか」
案の定、サージェント様がそんなことを言い出しました。恐らく、そのまま差し出せということになるはずです。
人の命を救えたことは良い事だと思うので後悔はしていませんが、辛い時に私を度々救ってくれたお母様の指輪だけは他の何にも代えられません。
「サージェント、私の命の恩人にそんなことをしてはだめだ。フリージアもそんな顔をしないでくれ。私はそんなことを許すつもりはないから」
「別に奪おうというわけではございません。鑑定だけでもさせていただきたいのです。先程の力は、今の王国を救うことになるかもしれないのです」
サージェント様は大袈裟なことを言いますが、意外とそうでも無いのかルピナス様も考えこんでいます。
「フリージア、悪いが鑑定だけでもさせてもらえないか。外で待機している中に鑑定に長けた者がいて、彼は信用できるから」
ルピナス様達には信用できても私が信用できるかわかりません。私は思わずライラックさんの方を見ましたが、ライラックさんは首を横に振りました。
「君の心配はわからないでもないが、鑑定だけでもしてもらいなさい。殿下が恩義を感じて君を立ててくれているんだ。それに、ひとつ気になることがある。この鑑定は君の為になるかもしれない」
「本当に命の恩人に失礼なことをするつもりはないんだ。もし君から形見の指輪を奪おうとする者がいれば私が許さないと約束する」
やはり理不尽だと思わなくも無いですが、二人にそこまで言われてはもう見せないわけにはいきません。私が了承するとサージェント様が外に人を呼びに行きました。
「ここだけの話だが、現在国王陛下が病床に伏せていてね。少し危ない状態なのだけど、それで私と腹違いの弟が揉めているんだ」
「後継争いが起きていると。確か第二王子の母親は公爵家の出身でしたね。庶民にはあまり関わりたく無い話ですが」
「あはは、私の母はさっきのサージェントの姪なんだ。それでちょっと旗色が悪くてね」
ルピナス様とライラックさんがそんな話をしています。全くスケールは違いますけど、私と似たような境遇だなと思ってしまいました。
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