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第315話 離島怪異譚(23)
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これ、やはり、鋼鉄の処女に似てる。
よじ登って近くで見ると、鋼鉄の巨人は少女の顔をしていた。
ただし、患者の頭部が入るよう、顎の下が空洞になっている。
像の上半身は胸から腹にかけてがやはり空洞になっていて、その中に患者が仰臥する仕組みである。
巨像の肌触りはひんやりと冷たく、裸の肌に気持ち悪いことこの上ない。
肋骨が槍ぶすまみたいに両側に並んだ少女像の中にすっぽりと身体を埋め、両足を像の太腿の上にかける。
そうすると、自然に股が全開になって、髑髏男の前に性器を曝け出すことになった。
「イヒヒヒヒ、いいですねえ。もう少しよく見えるように、角度を変えましょう」
髑髏男の声と同時に像の中からウィーンというかすかな音が響き、下半身がせり上がり始めた。
頭のほうが腰より下がっていき、私はブリッジするような体勢を取らされることになった。
恥辱で顔がカーッと熱くなった。
「おお、これで丸見えだ。ああ、なんて綺麗なんだろう。ヴァギナの縁がピンク色で、ほとんど色素の沈着がない。これは中を見るのが楽しみだぞう」
それに輪をかけるように視界の外で髑髏男がそんなことをつぶやき、私をますます羞恥の虜にする。
「でも、開くにはちょっぴり潤いが足りないなあ。君、あれを取ってくれないか。いつものあれだよ。この前、ネットで注文した新しいのが届いてたはずだろう?」
「あれですかあ? もう、先生も好きですねえ。でもあれは、本当は日本では覚せい剤扱いで法律違反になるんでしょ? そんなに毎回使っちゃって、大丈夫なんですかあ?」
看護師の老婆がさもおかしそうに忍び笑いをこらえながら答えたその台詞に、私は慄然とする。
覚せい剤?
たかが堕胎の手術に、いったい何をするつもりなの?
「いいんだよ。こんな辺鄙な町の小さな個人病院が何を使おうと、誰も知ったこっちゃないさ。それに、あれを使わないと、最悪、患者は痛みに耐えかねてショック死することになる」
「ですよねえ。いつ見ても、この手術は地獄ですもんねえ。はいはい、今お渡ししますよ。えーっと、確かこの引き出しに。ああ、ありましたありました。南米産の、超強力催淫剤入り潤滑液」
顏から音を立てて血の気が引くのがわかった。
南米産?
催淫剤入り、何だって?
「そうそう、それだよ。準備する間、君、彼女のビラビラを、鉗子で左右に開いたまま固定しておいてくれたまえ」
「ビラビラとか、ダメですよ、お医者さんがそんな下品な言葉、使っちゃあ。ちゃんとダイインシンって言ってくださいよ」
「ぐふふふふ、それもそうだねえ。この手術の前には、私もついつい自分が医者だってこと、忘れてしまうんだよ」
なんなのだ? この会話は。
この人たち、私にいったい何をしようとしているのだ?
「ちょ、ちょっと、やめてください…」
不自然な体勢から無理やり上体を起こそうとしたその瞬間ー。
おぞましい感触が突然身体の”中心”で発生し、私は思わず小さな悲鳴を上げていた。
よじ登って近くで見ると、鋼鉄の巨人は少女の顔をしていた。
ただし、患者の頭部が入るよう、顎の下が空洞になっている。
像の上半身は胸から腹にかけてがやはり空洞になっていて、その中に患者が仰臥する仕組みである。
巨像の肌触りはひんやりと冷たく、裸の肌に気持ち悪いことこの上ない。
肋骨が槍ぶすまみたいに両側に並んだ少女像の中にすっぽりと身体を埋め、両足を像の太腿の上にかける。
そうすると、自然に股が全開になって、髑髏男の前に性器を曝け出すことになった。
「イヒヒヒヒ、いいですねえ。もう少しよく見えるように、角度を変えましょう」
髑髏男の声と同時に像の中からウィーンというかすかな音が響き、下半身がせり上がり始めた。
頭のほうが腰より下がっていき、私はブリッジするような体勢を取らされることになった。
恥辱で顔がカーッと熱くなった。
「おお、これで丸見えだ。ああ、なんて綺麗なんだろう。ヴァギナの縁がピンク色で、ほとんど色素の沈着がない。これは中を見るのが楽しみだぞう」
それに輪をかけるように視界の外で髑髏男がそんなことをつぶやき、私をますます羞恥の虜にする。
「でも、開くにはちょっぴり潤いが足りないなあ。君、あれを取ってくれないか。いつものあれだよ。この前、ネットで注文した新しいのが届いてたはずだろう?」
「あれですかあ? もう、先生も好きですねえ。でもあれは、本当は日本では覚せい剤扱いで法律違反になるんでしょ? そんなに毎回使っちゃって、大丈夫なんですかあ?」
看護師の老婆がさもおかしそうに忍び笑いをこらえながら答えたその台詞に、私は慄然とする。
覚せい剤?
たかが堕胎の手術に、いったい何をするつもりなの?
「いいんだよ。こんな辺鄙な町の小さな個人病院が何を使おうと、誰も知ったこっちゃないさ。それに、あれを使わないと、最悪、患者は痛みに耐えかねてショック死することになる」
「ですよねえ。いつ見ても、この手術は地獄ですもんねえ。はいはい、今お渡ししますよ。えーっと、確かこの引き出しに。ああ、ありましたありました。南米産の、超強力催淫剤入り潤滑液」
顏から音を立てて血の気が引くのがわかった。
南米産?
催淫剤入り、何だって?
「そうそう、それだよ。準備する間、君、彼女のビラビラを、鉗子で左右に開いたまま固定しておいてくれたまえ」
「ビラビラとか、ダメですよ、お医者さんがそんな下品な言葉、使っちゃあ。ちゃんとダイインシンって言ってくださいよ」
「ぐふふふふ、それもそうだねえ。この手術の前には、私もついつい自分が医者だってこと、忘れてしまうんだよ」
なんなのだ? この会話は。
この人たち、私にいったい何をしようとしているのだ?
「ちょ、ちょっと、やめてください…」
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