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夏合宿1

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夏休み入ってすぐ聡の剣道部の夏合宿が始まった。

「宿到着後に各自荷物を部屋に置いて、今から30分後にこの玄関先に集合とする」
「「「はいっ!」」」
剣道着と袴姿の部員30名と剣道部の指定の黒いTシャツと、紺のジャージ姿のマネージャー5人と私、顧問と補助OBの3人でやっときた昔ながらの和のテイストが強い旅館の玄関先で集まって、このあとの予定を確認している。
マネージャーの列に並び、私も一緒に話を聞いている。臨時マネージャーとして同行を許可された私は、みんなと同じTシャツと学校指定のジャージを履いている。

「愛花ちゃん行こう」
「はーい」

持ち前の明るさと人懐っこい性格で、マネージャーみんなが受け入れてくれ、感謝の気持ちも込めて雑用係を率先してやる事にした。

**************


夏休み前の少しの期間だけだったけど、聡の部活終わりに顔を出していたため、部員達やマネージャー達を知っていた。出発地点に集合してバスに乗ってしばらくすると、打ち解けた女子達。
「学校にいる時は違うから水分補給やタオルの補充だけでいいよ、使用済みタオルは学校でまとめて洗濯するし」
「水分補給もヤカンはそんなには使えないから、洗い物も溜まらないと思う」
「下手したら見学だけになるかも」
「あっ、剣道場を使う前と後の掃除はあるよ」
「私も1年だから一緒にやろう」

道中のバスの中で親睦を深めたマネージャー5人は、優しくしなければいけない事を教えてくれ、一緒にやってくれるとまで言ってくれ愛花は感動して泣きそうになった。

「嬉しいです!私一生懸命頑張ります!何でもします!」

なんて可愛いの、と癒されたマネージャー達は、旅館に到着する頃にはみんな名前で呼び合う仲となり、同じ学年のマネージャーとは親友と呼べるまでお互いの事を話したのだった。

そんなバスの中では剣道部員達が耳を立てて聞いていて、愛花はカッコいい彼氏の惚気をマネージャー達に熱弁していた。それも聞いていた聡は顔が真っ赤になっていることなどツユ知らず。


**************

鍵付きの扉を開けて、靴を脱ぎ襖を開け6畳くらいの和室の部屋は女子マネージャー専用だ。襖の反対側にあるのは、大きな窓で外の景色が見れる。窓の外は木々と海が少しだけ見える。
5日分の下着とシャツを入れた大きなボストンバッグを窓のそばに置き、このあとの集合に必要な持ち物ーースマホに小銭が入ったガマ口財布と汗拭きタオル、ペンを持って小さなショルダーバッグに入れて部屋から出た。
旅館を歩いてい階段を降りていると、違う階から剣道部員達がゾロゾロと出てきて合流する。
その中に聡の姿もあり、視線が合ったのでにっこりと笑うと、真っ赤になりフイッと視線を逸らされた。

ムッとしていたら、隣にいたマネージャーの同学年のまいちゃんが、

「保田君が照れている所見るの初めてだよ」

とコソッと私に教えてくれた。

ーー照れているならいいんだけどっ

でも笑い返してくれてもよくない?!と1人ぷりぷりした。
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