ぐいぐい攻める美女は筋肉男と付き合いたい

狭山雪菜

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夏休みの始まり

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カラオケという初デートを終えた2人は、その後キスをする事なく夏休みに入った。
単に人目があったからだが、いつものように彼の腕に絡まりくっついていたのは、変わらなかった。
学校中に知られた交際の事実は、剣道部同様衝撃が走ったが、聡は気にしなかったし愛花は気がつかなかった。
修了式の後に部活がご飯の後にあると言った聡と、体育館の横の出入口の前の段差に並んで座る。
彼の腕に巻きついて、ぐりぐりと頭を押しつけて戯れる私を聡はただ見守り、持ってきたお弁当を食べている。

「夏休みどこかに行くか?」

持参したお弁当を食べ終わった聡に言われ、ぱぁっと表情が明るくなる。彼の腕に頭をつけて喜ぶ。

「うんっ!行きたいっ!」

映画にも行きたいし、プールとかも、あっ遊園地もっ、と1人行きたい場所をピックアップしていく。

「全部は…ひと月で行くの大変だなぁ」

と剣道部の夏大会も控える聡は、素早く頭の中でスケジュールを確かめるように顎に手を置いた。

「そうだよね…ねっ!夏の合宿はいつなの?」
「夏合宿は…7月28日から8月2日までだな」
「そっか…会いに行ってもいいかな?」
「うーん、どうだろ…ちょっと顧問に聞いてみるよ」
「ん、よろしくお願いします」

聡の夏合宿の先は少し前に言われていたので、海の場所だという事は分かっているから、行こうと思えば行ける。けど、突然合宿中に邪魔したら本当に迷惑が掛かるから、そこは許可をもらわないとダメだと、自分に言い聞かせる。

ーーでも、会いたいなー

1人云々と悩んでいると聡は私の左腕を掴み引き、腰を持ち上げたかと思ったら、彼の膝の上に座らされた。

「ちょっ…聡っ、ここはっ」
「ここは人通らないから大丈夫だよ」

キョロキョロと私が辺りを見回すと、確かに木々に囲まれ人の気配がしない。
蝉の音しか聞こえない事を確認した私は、ホッと息を吐き聡の首に腕を回した。
鼻同士が触れ、唇が届きそうな距離になる。

「…少しだけ…だよ…?」

と私の声色がいつもとは違う、期待を含んで喜んでいる気がした。

「ああ、少しだけ、な」

そう言った聡は、私の唇にそっと重ねた。
しばらく啄むキスだったのに、どちらからともなく舌を絡めた濃厚なキスに変わっていった。



************************



このまま部活に行った聡を待つ事も出来るけど、今日はどうしても外せない用事があったので先に帰る事にした。
家の最寄駅に着いて、スマホ画面を表示すると、メッセージアプリに新着のメッセージが届いた事を、アイコンに1の数字が付き知らせる。アプリを開くと、相手は"YY"と表示されたトークルームに、『カフェにいる』とコメントがあった。慣れた手つきで、フリック入力をして『今行く』と短いコメントを送る。
駅構内にあるカフェに着くと、すでに待ち合わせ相手は座っていた。

「お待たせ」

彼女・・の前の椅子に座ると、名門女子校の制服姿のポニーテールの女子は、私の前にスッとアイスティーを差し出す。

「ありがと」

お礼を言って受け取り、ひと口飲む。暑さでバテていた身体に冷たい飲み物がしみて美味しく感じる。
私がホッとした所で彼女の口が開く。

「ところで、聡はどんな感じ?」

顎に手を置いた彼女は、私に問いかける。

「うん、多分落ちてる…と思う」

キスはするけど、顔が近づいたらだし、今はまだ彼の感情がよくわからない。

「ふーん…なら順調なのね」
「うん!心配しないで!必ずモノにするからっ!」

彼女の前で拳を作り、ふんっと鼻息を荒くする。

「いい?絶対に聡に気づかせたらダメよ?」

と心配そうにいう彼女に、私はコクコクと頷く。

「うん、絶対に気づかせないからっ!メロメロにするっ!」

とアイスティーを飲みながら彼女に約束をしたのだった。


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