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カラオケ2

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彼の膝の上に座ったまま、カラオケの残り時間を過ごす事にした私は、彼の胸板に背を預けデンモクを持った。背後から彼の腕が私のお腹に回り、頬が赤くなっていくのがわかる。

「さっ…聡っ、あのっ」
「ん?何?」

絶対に分かっているはずなのに、惚けた声を出して私の右肩に顎を乗せる。

「さっ…聡っ!」
「だから、何?」

確信犯として私が慌てるのを楽しんでいるのが、デンモクの画面に反射した彼の顔がうっすらと写る。このまま慌てても、彼の思う壺だと落ち着こうとするが、彼の吐息が私の首にあたってやっぱり落ち着かない。

「なぁ」

と私に声を掛ける彼の方を向くと、口を塞がれる。瞼を閉じて、右手を上げて彼の髪に指を絡めると口づけが深くなる。
しばらくすると上手く動かせない顔がもどかしくて、腰を捻り上半身を彼の方に向けた。
何度も何度も顔の角度を変えては、彼の舌を吸い喰む。彼の口内に舌を入れて、さっきしてくれたように見よう見まねで上顎を舐め彼の舌を絡めた。溢れていく彼の口内の唾液を掻き出し吸うと、私の口内に流れ込みゴクンと飲み込む。

「っん」

また息が苦しくなって名残惜しく離れると、彼の口が私に近寄り唇同士くっつく。
はむ、と甘噛みされては、舌で私の唇のラインをなぞる。

「っぁ、聡っ」
「愛花」

はむ、はむ、とお互いの唇を甘噛みして、永遠にキスが出来そうと、思っていた時に突然、室内に取り付けられた内線電話が大音量で鳴った。
濃密な空気が霧散して、ちっと舌打ちした聡は私を膝の上からズラしソファーに座らせると、受話器を取った。

「…はい、…はい…あと1時間延長します、はい」

受話器に向かってプランの延長を申し出る聡。私は立ち上がり彼に抱きつくと、大きな腕が私を彼の前へと移した。踵を上げて彼の首に腕を回しすと、屈んだ彼の顔が近寄り口を塞がれる。いつの間にか、受話器を置いていた彼は、私の腰に腕を回し口づけが深くなる。私の頭が固いものにあたり、壁に押し付けられていると気がついたのは、延長の申し出をしてから随分経ってからだった。




************************



カラオケに来たのに、ほぼキスしかしてなかった。
出る前に赤くなっている私の顔を覗き込んだ聡は、

「カウンターまでついてくるなら俺の腕に顔をつけて隠して」
「ん…分かった」

ぼうっと瞳が潤み彼を見つめ返す顔が、とても色っぽいと自分では気がつかない。拙い返事に、うっと唸る聡。

「…耐えろ俺」

とボソボソと自分に言い聞かせていたのだった。
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