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後編
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腕を掴まれたままプールから上がり浮き輪を返して、靴の置いた場所へと向かうと、私のピンヒールと赤いパレオ、亮平のサンダルしかなかった。
ーー美波…いい男だといいけど…
そんな事をぼんやりと思っていたら、私の腕を掴む手が離れ私の腰に彼の左腕が回された。すぐに引き寄せられたかと思ったら、口を塞がれる。荒々しく彼の舌が私の口内を傍若無人に暴れ、漏れる吐息も声も全て彼の口内に飲み込まれる。
「っ…っ」
首元を彼の大きな右の手のひらで固定され、噛み付くようなキスに翻弄される。
彼の胸をトントンッと叩くが、びくともしない強靭な身体が恨めしい。舌が取れちゃいそうなくらい舌を強く吸われ、離れた彼の口。鼻先はまだ近くにあったままで、やっと解放された私は口を開き、大きく呼吸をする。
「っ、はっ…っ」
ギロッと彼を睨むけど、まだ呼吸もままならないため、言葉を発することが出来ない。そんな私を面白そうに、私の頬を撫でる彼がさらに目を細めている。
「靴、履かせるから…座らせる」
要件だけ短く告げた彼は、なんの前触れもなく私の膝の裏に手を入れ横抱きに持ち上げると、ピンヒールのあった場所のチェアに私を座らせる。
膝を曲げてしゃがんだ彼は、私のパレオを持つと私の膝の上に乗せる。そして、片足を立てて騎士のように跪いた亮平は、私のピンヒールを持って私の左足を持ち上げ、立てた片足の上に私の踵をそっと下ろした。
ゆっくりと足の指がピンヒールのつま先に入り、踵を嵌め金具を留める。またゆっくり降ろされ、反対の足も同じようにピンヒールを履かせる。
地面に足が着くまでの一連の作業を黙って見ていた私は、彼の頬に手を添えて顔を寄せると軽く彼の唇を甘噛みした。
「…っ」
驚きで目を見開く亮平に、悪戯が成功した子供の気持ちが蘇って楽しくなる。
「今日…は、もう…これで終わり…?」
とニヤッと笑うと、眉を寄せて皺が出来た彼の眉間がピクリと動く。
「終わり…じゃねぇ」
**************
ガタッガタッと乱暴に開けられたホテルのドア。少し暑かった廊下きら涼しい部屋に入った瞬間、両手を壁に身体ごと押し付けられて、口を塞がれ噛み付くようなキスが止まらない。何度も何度も顔の角度を変えては、息もままならない口づけに、酸欠気味になる。
**************
お互いまだ上着を羽織っただけの水着の姿で、『上に何か羽織ってすぐに来て』と熱を含んだ声で言われ、その熱の余韻のまま深く考えずに、着替えの洋服が入った仕事で使うバッグを持って、待ち合わせ場所のナイトプールの出入口に向かった。
薄いカーディガンを羽織って前をボタンで止めて、パレオがスカートの役割を果たしているため、ぱっと見水着に見えない。
待ち合わせ場所に着くと既に白いTシャツを着た亮平が居て、私が出てきた出入り口を見ていたのか、私の姿を見てすぐ私の手を掴むと足早に歩き始める。
無言のまま手を引かれ小走りになった私は、彼がエレベーターに乗り込むと、腰を引かれ抱き寄せられる。
エレベーターが動き出し下の階へと、移動する。
「…どこ行くの…?」
といつまで経っても喋らない無言の男に、問いかけると
「…今さっき部屋取った、このホテルに泊まる」
そう言ってまた無言になった彼に、これ以上何かを言ってもしょうがないかと諦めて、息を吐いて彼に寄りかかったのだった。
**************
手を動かそうにも、彼の手が私の手に重なり指が絡んでいるため動かせない。私の足の間に彼の膝が入り、私は彼の足に自分の足を擦り付ける。
「ん、っぁ、っ」
顔の角度を変える時に、口に隙間が出来て甘い吐息が漏れる。顔をズラして私の頬、耳、顎のライン、首筋に舌を這わし、ちゅうちゅうと吸われる。
「ぁっ、っぁん、あっ」
鎖骨まで移動した彼の顔は、また上に順に舌を這わして口を塞がれる。何度かそう続けば重なった手が解かれ、私の上がった腕を彼の手のひらが辿っていく。自由になった手を、下ろして亮平の首に腕を回す。止まらないキスはお互い貪欲になって夢中になる。
彼の両手がカーディガンの上から私の胸を下から掬い、揉んでブラみたいにワイヤーがないので簡単に形を崩していく。一度私から離れた彼の口が、カーディガンの隙間から覗く白い肌に吸い寄せられ、揉んで出来た指の間から膨らむ胸に舌を這わす。彼が私の胸を愛撫している間に、カーディガンの裾の方からボタンを外していくと、亮平は私から離れてTシャツを脱いで床に落とした。まだボタンを外し終わっていない私のカーディガンをたくし上げてTシャツみたいに脱がすと、同じように床へと落とした。
彼の前にプールで会った時と同じ格好になり、じっと動かずにお互いの身体を見る。彼の右腕が動いたと同時に、私も両手を持ち上げ彼の胸板へと手を置いた。ちゅぅちゅうと胸元までキスをして舌を這わし、顔に戻るその流れで私の口を塞ぐ。しっかりと揉まれる胸は既に何度も何度も押しつぶされ毎回形が変わるが、飽きる事なく愛撫される。
彼の手に置いていた手を離し、背中にある水着の紐をとる為に背中に腕を回し紐を引っ張る。すると水着と乳房の間に隙間が出来て、すかさず亮平は直接触れる。彼の手は大きくそれなりに大きいと思っていた私の乳房を、簡単に包み込んでしまう。全体的に優しく揉み、乳房の真ん中にあるツンと存在感を表している薄ピンクの粒を人差し指で弾いて、両手で粒を摘み弄ぶ。
「んっ、はっ」
胸にあるビキニを身体から引き抜き床に落とすと、パサッと音が聞こえた。
豊満な乳房を惜しげもなく晒した私に、彼の乳房を愛撫する手は強くなり、ぐにゃぐにゃに変形する。その間にも私の首回りを丹念に舐める亮平は、時々私の口を塞ぎ舌を絡める。
ーー凄い…なんか愛されている感じがしてっ…勘違いしちゃいそう
一夜の相手の身体を舐めて軽く吸い付き、ちゃんと愛撫の途中でキスもして…適当に愛撫だけしてさっさと繋がるつもりはないらしい。まだ上半身も終わってないこの愛撫に、すでに身体はとろとろに蕩けて足に力が入らなくなっている。私の足の間にある彼の太ももに、お尻を付けそうになってしまう。
「ねっ、ねぇっ…ぁ…立つの…無理っ」
何とかそれだけ口にする事が出来た私は、彼の太ももに私の足を擦り付けた。うん、とも、そうか、とも言わず無言の彼は、私の乳房から手を離しお尻を掴み軽々と持ち上げる。急に持ち上げられ、落ちないように慌てて彼の首の後ろへ腕を回した私。歩き始めた亮平の身体が揺れる度に彼の胸板に、柔らかな乳房が当たり、数歩歩いた所で立ち止まった亮平と視線を絡めた。どちらからもなく唇を重ね、舌を絡めながらまた歩き始めた亮平の舌を、一生懸命に吸っていると彼の口内に誘われた。くちゅっくちゅっと激しく絡まる舌で唾液の水音が聞こえ、彼の口内から溢れる唾液をゴクンゴクンと飲み込んだ。私の背に手を添えた亮平は、上半身を曲げて私をうしろへと倒すと、柔らかな感触が背中に当たりベッドへと降ろされたのを知った。口づけをしていた唇を離して彼の首に回した腕を解いた。お互い鼻先が重なり荒い息をする。
「…萌」
「なぁに」
初めて名前を呼ばれ、甘ったるい声で返事をしてしまった。そうすると、亮平は私の唇に自分の唇を優しく重ねる。
上体を起こした亮平は私の右膝の裏を持ち上げると、膝小僧にキスを落としながら私のピンヒールを脱がしていく。もう片方の足も同じように脱がされ、今度はくるぶしから順に舌を這わされちゅぅちゅうと吸われ甘噛みをされる。足の付け根に向かってやってくる彼の頭をぼんやりと見ながら、少しずつ増える彼の手と口の足への刺激で身体が火照っていくのを感じた。
膝を過ぎだ辺りから、内腿への口での吸い付きが強くなって、時々思い出したかのように思いっきり吸われ痛みが出る。そのあと謝るように同じ箇所を舐められ痛みが有耶無耶になる。最初は噛まれているのかと思ったけど、ふくらはぎよりも太ももの方が感じやすいのか、確かめる事も出来ないくらい快感が全身に巡って耐えていた。両足を可愛がられ、そのまま水着越しに彼の口が下生えと蜜壺の繋がる所を口に入れて甘噛みされる。
「ん、っあ、あっ」
突然やってきた淡い快感よりも強い快感に、反射的に逃げようとする腰を彼の手ががっちりと押さえ込み、逃げられない。アイスクリームを舐めるように丁寧に舐め、口が離れる際はちゅうっと軽く吸い付く事も忘れない。水着越しにこれなら、直接触られた時はどうなるのか、想像するだけでゾクゾクッと悪寒が走る。
蜜壺から蜜が溢れて、彼が私の水着を舐める度にヌルッと滑る感覚で、感じているのに気が付き足を閉じたくなる。
「あっん、ん、っ…ぁ」
一度顔を上げた彼が、私の水着をズラして現れた下半身にまた顔を近づけて、今度は直接蜜壺に彼の口が当たる。水着越しじゃない直接触れられた蜜壺から、溢れる蜜を強く吸いピチャピチャと音を立てて舐める。丹念に余す事なく全てを舐める彼は、太ももに置いていた手を動かし、私の蜜壺の中へと埋めた。溢れる蜜が潤滑油の役割を果たして、すんなりと
入った太い指は、指の付け根まで埋まると中を広げるように擦り出す。
「あっあ、あ、あっん、あ」
背が仰反り、掴むとところが欲しくてベッドの布団を手繰り寄せ両手で掴む。熱心に蜜壺を舐め、指で出し入れされた私の身体はぴくんぴくんと反応し、彼を喜ばせている事など知る由もない。蜜壺から顔を上げた彼が指はそのまま動かし続けて、私の腰の横に右手を付けて体重をかけると、ギシッと
ベッドが軋み、その音で彼の方を見ると同時に私の口を塞がれた。絡め取られる舌は、痛くもなくお互いの舌を優しく吸って、夢中になって重なる。
「っ、~!っ、ん」
蜜壺に入る指が増やされるが、喘ぎ声も彼の口内に消えていって呼吸もままならない。口内から彼の舌が離れ、私の耳朶を舐める亮平。蜜壺の中にある指をくいっと折り曲げると、全身が痺れ強烈な快感が私を襲う。
「ッ…これ、好き?…ん?」
「あっ、好き、好きぃっ、あ、あ」
ぐっと唸った声を皮切りに、饒舌になっていく亮平。私の反応を見て、蜜壺に入る指の位置を変えたり、パラパラと動かしていく。
「これは?…ね、これっ…」
「ん、んっ、好きっ、好き」
もう条件反射で好きと言い続ける私を彼は、顔中舐めながら指を動かす度に聞く。
布団から手を離し彼の首の後ろへと回すと、口が塞がれた。
顔の角度を何度も何度も変えては貪られる。
彼の手が私の蜜壺から抜け腰の横にあった手もなくなると、私とキスをしながら赤いハーフパンツの水着を器用に脱ぎ捨て、私の足の間に戻った彼の身体。お尻を持たれ揉まれながらも、下半身を上げれば彼の昂りがぴたりと私の蜜壺の入り口に当てられた。
「んっ…熱…いっ」
「ん、今から入るから」
キスが終わり唇が触れただけの距離のまま、勝手に口から出た彼の昂りを感じる熱の感想。今から入れる、ただそれだけ告げた彼はゆっくりと私に体重を掛け、ミチミチと蜜壺の入口を広げて埋まっていく。一番広い昂りのカサが見えなくなると、ズンズンッと中へと進む昂りは、亮平の指とは比べものにならないくらい太くて固い。きゅうきゅうと無意識に締め付けてしまい、彼は奥歯を噛み耐えている。涼しい部屋のハズなのに頬から流れる汗は、ポタポタッと彼の顎から私の胸元へと落ちて、蜜壺に意識が持っていかれている微かな刺激でも辛い今、連動して蜜壺をぎゅうっと締め付ける。
「っ、萌っ…はっ」
と苦しそうな声に、私はどうする事も出来なくて、ただただ甘い声を漏らし続けるしかできない。
「あ、ん、んっ」
私の口元に彼の左手が置かれ、親指を口内へと入れられる。条件反射でちゅぅちゅうと吸い付き、舌で絡める。すると蜜壺に集中していた私の意識が彼の親指に移り、少しだけ下半身の力が抜け、その隙に彼の昂りが一気に最奥まで貫かれる。急に蜜壺の最奥まで埋まった昂りに、身体が耐えられずに頭の先まで駆け抜けた快感は、身体を強張らせ蜜壺をぎゅうぎゅうに締め付け、口の中にある親指を噛んでしまう。
はぁ、はぁっと真っ白な世界に色がつき始めて、初めて彼の指がまだ私の口内に入っているのに気がついて、くちゅっと口内を動かして、彼の指を噛んでごめんと、謝るように舐めた。
私の意識が戻ったのを確認した亮平は、昂りをギリギリ蜜壺から抜けそうな所まで腰を引き、また一気に最奥へと入る。ゆっくりとした動きから、徐々に早くなり彼の腰と私のお尻がぶつかり、ぱんぱんと肌の音が大きくなっていく。
「あっ、あぁ、んっ、ぁ」
と突かれる度に声が出て、彼の指が私の口から抜ける。彼の手のひらが私の腰を掴み、上体を起こしたままコツを掴んだのか、勢いが増すと微かな彼の声も聞こえてくるようになる。
「っ、はっ、くっ…っ」
「ん、んんっ、ぁ、んっ…イ…くっ、んんぁ」
苦しそうな、余裕のない声が、私の喘ぎ声によって消える。腰から手を離し、屈んだ亮平は私の顔の横に両腕を付けると、私に覆い被さる。
「悪い、っ…俺っ、ぐ…もたん」
そう言ってしまった後、すぐに私の蜜壺を上から昂りを叩き付けるように激しく上下に動かし、ベッドもギシッギシッと揺れる。
「あ、っ、イクっ、ぁっ、ああ、んっ、あああっ!」
「ぐっ…萌っ、も…えっ…っ」
彼の感じている吐息が私に掛かった瞬間に、また頭が真っ白になる感覚に襲われた。ゆっくり腰を動かして蜜壺の中に注ぐ白い証を、受けながら私は意識を手放したのだった。
**************
覆い被さってくる固い肩を抱きしめていると、注ぎ終わったのか、彼が私の頬やこめかみに口づけを落とす。
何度交わって達したのか分からなくなって、そう言えばほとんど蜜壺から抜けてないかも…と考える余裕も出てきた。
「ん…それ…くすぐったい」
耳を舐められて肩をすくめ、くすくすと笑っていると、繋がったところを締め付けてしまい、うっ、と彼がまた唸る。
「締めんな、欲しくなる」
流石に休憩だ、と彼は私の中から出ないでずっとキスの雨を降らせる。
まだ足りないと言われてから、もう日付も変わったと思う時間で、終電も終わったから、どうしようか悩む。
「何、上の空」
とムッとした彼が、私の額を合わせて怒っている。
「ん、終電ないから…どうしようかと」
「泊まればいいじゃん」
「そう?いい?」
「ああ」
と、許可を貰ってから、最初から泊まれる前提で話しちゃったかも、と思ったが、まぁいいか、と開き直る事にした。
彼は起き上がり、私の蜜壺の中から昂りを抜くと一緒に注がれた白い証がシーツを汚し、水溜りのようなものが出来る。
枕元のナイトテーブルからティッシュを数枚取り出し丁寧に証を拭い、近くのゴミ箱へと捨てた。
自分の昂りについている濡れたモノを拭っている姿を見ながら、布団を手繰り寄せて身体を隠す。彼が私のいる布団の中へと潜り、私の頭の下に腕を入れて抱きしめる。
疲れたとか、終わらないかと思ったとか、絶倫とか、私がぶーぶー言っているのを、彼はただ黙って聞いていて、時折嬉しそうな顔で私の頬を撫でるから、文句を言うのも馬鹿らしくなってくる。彼の胸に頭を寄せて、固い腕枕の頭を置いても痛くない所を探して、ひと息つくと、
「満足したか?」
「う…ん、今日はこれで」
若干笑いも含んだ声の彼に、気まずくなって可愛くない事を言ってしまう。そのまま微睡んでいると、睡魔がやって来て瞼が重くなる。
「…おやすみ」
と告げられ低い声を聞いて私は、睡魔に勝てずに眠りについてしまったのだった。
**************
朝早く目が覚めた私は始発で帰ろうと、彼の腕の中から出ようとしたら、いつの間にか起きていたのか、
「柔らかいから、すぐに入れないと」
と、意味のわからない事を言われ、気が付いたらベッドへと戻されてぐちゃぐちゃに愛された。
お風呂に入りたいと言うと、そのままお姫様抱っこで連れていかれ、また愛された。
お腹空いたと言うと、外から一歩も出ずにルームサービスで注文して、食べ方がエロい、と言われまた愛された。
「もうっ!無理、本当っ!無理」
と半泣きになった私を、ならこれからも会ってと言われ、頷くまで離してくれなかった。
くたくたの身体を叱咤しながら、腕を動かし電話番号を交換したら、ヘッドボードに背を預けた彼に背後から抱きしめられながら腕の中で微睡んでいた私は、美波は今頃…と、思い出したので、彼の友人ーーチャラ男について知りたくなった。
「あのさ、昨日の夜会った…」
「…昨日の夜…?」
急に不穏な空気になり、戸惑った私は彼の方を振り向くと、明らかに不機嫌な顔をしていた。
ーーこの顔…?最初声をかけられた時と…同じ…?
と、コテンと首を傾げていたら、
「やっぱり、ああいうのがタイプか?最初から俺なんか眼中になくて…」
と饒舌になった彼の変化に驚きつつも、
「タイプじゃないよ?親友の美波を狙っていたから警戒していたけど」
「え…タイプじゃない…?」
「うん、タイプなら自分から胸を寄せる」
「ちょっ、ちょっと待て…なら」
「あ…うん、えへへ」
そう、私がタイプでいいと思ったら自分からアタックするのだけど、彼もそれに気がついたみたいだ。
「じゃあ…あのプールの浮き輪」
「始まりは人にぶつかって可哀想だったけど、どうでもいい人に身体は許さないよ?」
ーーまあ、一夜限りとは思ってはいたけど…彼はそんなつもり無さそうだし…
なんて考えていたら、
「…なんだ、そうか…なら嫌われないようにって、我慢するんじゃなかった」
と、ブツブツ妖しい発言をする亮平の言葉は、すぐに抱きしめられた事によって有耶無耶となった。
「へっ?!無理だよ?死ぬよ?!私?!」
「救護経験あるから」
「ちち、違うっそうじゃなくっ…て、あっ…ちょ」
疲れて無理だと思っていたのに、いざ触られると快感が蘇り、彼の熱に溺れていってしまうのだった。
かくして、明日仕事だから、と強く出ないと離してくれない亮平。送ると頑として譲らない亮平は、非番の前日から萌香の家へと来るようになった。
ーー美波…いい男だといいけど…
そんな事をぼんやりと思っていたら、私の腕を掴む手が離れ私の腰に彼の左腕が回された。すぐに引き寄せられたかと思ったら、口を塞がれる。荒々しく彼の舌が私の口内を傍若無人に暴れ、漏れる吐息も声も全て彼の口内に飲み込まれる。
「っ…っ」
首元を彼の大きな右の手のひらで固定され、噛み付くようなキスに翻弄される。
彼の胸をトントンッと叩くが、びくともしない強靭な身体が恨めしい。舌が取れちゃいそうなくらい舌を強く吸われ、離れた彼の口。鼻先はまだ近くにあったままで、やっと解放された私は口を開き、大きく呼吸をする。
「っ、はっ…っ」
ギロッと彼を睨むけど、まだ呼吸もままならないため、言葉を発することが出来ない。そんな私を面白そうに、私の頬を撫でる彼がさらに目を細めている。
「靴、履かせるから…座らせる」
要件だけ短く告げた彼は、なんの前触れもなく私の膝の裏に手を入れ横抱きに持ち上げると、ピンヒールのあった場所のチェアに私を座らせる。
膝を曲げてしゃがんだ彼は、私のパレオを持つと私の膝の上に乗せる。そして、片足を立てて騎士のように跪いた亮平は、私のピンヒールを持って私の左足を持ち上げ、立てた片足の上に私の踵をそっと下ろした。
ゆっくりと足の指がピンヒールのつま先に入り、踵を嵌め金具を留める。またゆっくり降ろされ、反対の足も同じようにピンヒールを履かせる。
地面に足が着くまでの一連の作業を黙って見ていた私は、彼の頬に手を添えて顔を寄せると軽く彼の唇を甘噛みした。
「…っ」
驚きで目を見開く亮平に、悪戯が成功した子供の気持ちが蘇って楽しくなる。
「今日…は、もう…これで終わり…?」
とニヤッと笑うと、眉を寄せて皺が出来た彼の眉間がピクリと動く。
「終わり…じゃねぇ」
**************
ガタッガタッと乱暴に開けられたホテルのドア。少し暑かった廊下きら涼しい部屋に入った瞬間、両手を壁に身体ごと押し付けられて、口を塞がれ噛み付くようなキスが止まらない。何度も何度も顔の角度を変えては、息もままならない口づけに、酸欠気味になる。
**************
お互いまだ上着を羽織っただけの水着の姿で、『上に何か羽織ってすぐに来て』と熱を含んだ声で言われ、その熱の余韻のまま深く考えずに、着替えの洋服が入った仕事で使うバッグを持って、待ち合わせ場所のナイトプールの出入口に向かった。
薄いカーディガンを羽織って前をボタンで止めて、パレオがスカートの役割を果たしているため、ぱっと見水着に見えない。
待ち合わせ場所に着くと既に白いTシャツを着た亮平が居て、私が出てきた出入り口を見ていたのか、私の姿を見てすぐ私の手を掴むと足早に歩き始める。
無言のまま手を引かれ小走りになった私は、彼がエレベーターに乗り込むと、腰を引かれ抱き寄せられる。
エレベーターが動き出し下の階へと、移動する。
「…どこ行くの…?」
といつまで経っても喋らない無言の男に、問いかけると
「…今さっき部屋取った、このホテルに泊まる」
そう言ってまた無言になった彼に、これ以上何かを言ってもしょうがないかと諦めて、息を吐いて彼に寄りかかったのだった。
**************
手を動かそうにも、彼の手が私の手に重なり指が絡んでいるため動かせない。私の足の間に彼の膝が入り、私は彼の足に自分の足を擦り付ける。
「ん、っぁ、っ」
顔の角度を変える時に、口に隙間が出来て甘い吐息が漏れる。顔をズラして私の頬、耳、顎のライン、首筋に舌を這わし、ちゅうちゅうと吸われる。
「ぁっ、っぁん、あっ」
鎖骨まで移動した彼の顔は、また上に順に舌を這わして口を塞がれる。何度かそう続けば重なった手が解かれ、私の上がった腕を彼の手のひらが辿っていく。自由になった手を、下ろして亮平の首に腕を回す。止まらないキスはお互い貪欲になって夢中になる。
彼の両手がカーディガンの上から私の胸を下から掬い、揉んでブラみたいにワイヤーがないので簡単に形を崩していく。一度私から離れた彼の口が、カーディガンの隙間から覗く白い肌に吸い寄せられ、揉んで出来た指の間から膨らむ胸に舌を這わす。彼が私の胸を愛撫している間に、カーディガンの裾の方からボタンを外していくと、亮平は私から離れてTシャツを脱いで床に落とした。まだボタンを外し終わっていない私のカーディガンをたくし上げてTシャツみたいに脱がすと、同じように床へと落とした。
彼の前にプールで会った時と同じ格好になり、じっと動かずにお互いの身体を見る。彼の右腕が動いたと同時に、私も両手を持ち上げ彼の胸板へと手を置いた。ちゅぅちゅうと胸元までキスをして舌を這わし、顔に戻るその流れで私の口を塞ぐ。しっかりと揉まれる胸は既に何度も何度も押しつぶされ毎回形が変わるが、飽きる事なく愛撫される。
彼の手に置いていた手を離し、背中にある水着の紐をとる為に背中に腕を回し紐を引っ張る。すると水着と乳房の間に隙間が出来て、すかさず亮平は直接触れる。彼の手は大きくそれなりに大きいと思っていた私の乳房を、簡単に包み込んでしまう。全体的に優しく揉み、乳房の真ん中にあるツンと存在感を表している薄ピンクの粒を人差し指で弾いて、両手で粒を摘み弄ぶ。
「んっ、はっ」
胸にあるビキニを身体から引き抜き床に落とすと、パサッと音が聞こえた。
豊満な乳房を惜しげもなく晒した私に、彼の乳房を愛撫する手は強くなり、ぐにゃぐにゃに変形する。その間にも私の首回りを丹念に舐める亮平は、時々私の口を塞ぎ舌を絡める。
ーー凄い…なんか愛されている感じがしてっ…勘違いしちゃいそう
一夜の相手の身体を舐めて軽く吸い付き、ちゃんと愛撫の途中でキスもして…適当に愛撫だけしてさっさと繋がるつもりはないらしい。まだ上半身も終わってないこの愛撫に、すでに身体はとろとろに蕩けて足に力が入らなくなっている。私の足の間にある彼の太ももに、お尻を付けそうになってしまう。
「ねっ、ねぇっ…ぁ…立つの…無理っ」
何とかそれだけ口にする事が出来た私は、彼の太ももに私の足を擦り付けた。うん、とも、そうか、とも言わず無言の彼は、私の乳房から手を離しお尻を掴み軽々と持ち上げる。急に持ち上げられ、落ちないように慌てて彼の首の後ろへ腕を回した私。歩き始めた亮平の身体が揺れる度に彼の胸板に、柔らかな乳房が当たり、数歩歩いた所で立ち止まった亮平と視線を絡めた。どちらからもなく唇を重ね、舌を絡めながらまた歩き始めた亮平の舌を、一生懸命に吸っていると彼の口内に誘われた。くちゅっくちゅっと激しく絡まる舌で唾液の水音が聞こえ、彼の口内から溢れる唾液をゴクンゴクンと飲み込んだ。私の背に手を添えた亮平は、上半身を曲げて私をうしろへと倒すと、柔らかな感触が背中に当たりベッドへと降ろされたのを知った。口づけをしていた唇を離して彼の首に回した腕を解いた。お互い鼻先が重なり荒い息をする。
「…萌」
「なぁに」
初めて名前を呼ばれ、甘ったるい声で返事をしてしまった。そうすると、亮平は私の唇に自分の唇を優しく重ねる。
上体を起こした亮平は私の右膝の裏を持ち上げると、膝小僧にキスを落としながら私のピンヒールを脱がしていく。もう片方の足も同じように脱がされ、今度はくるぶしから順に舌を這わされちゅぅちゅうと吸われ甘噛みをされる。足の付け根に向かってやってくる彼の頭をぼんやりと見ながら、少しずつ増える彼の手と口の足への刺激で身体が火照っていくのを感じた。
膝を過ぎだ辺りから、内腿への口での吸い付きが強くなって、時々思い出したかのように思いっきり吸われ痛みが出る。そのあと謝るように同じ箇所を舐められ痛みが有耶無耶になる。最初は噛まれているのかと思ったけど、ふくらはぎよりも太ももの方が感じやすいのか、確かめる事も出来ないくらい快感が全身に巡って耐えていた。両足を可愛がられ、そのまま水着越しに彼の口が下生えと蜜壺の繋がる所を口に入れて甘噛みされる。
「ん、っあ、あっ」
突然やってきた淡い快感よりも強い快感に、反射的に逃げようとする腰を彼の手ががっちりと押さえ込み、逃げられない。アイスクリームを舐めるように丁寧に舐め、口が離れる際はちゅうっと軽く吸い付く事も忘れない。水着越しにこれなら、直接触られた時はどうなるのか、想像するだけでゾクゾクッと悪寒が走る。
蜜壺から蜜が溢れて、彼が私の水着を舐める度にヌルッと滑る感覚で、感じているのに気が付き足を閉じたくなる。
「あっん、ん、っ…ぁ」
一度顔を上げた彼が、私の水着をズラして現れた下半身にまた顔を近づけて、今度は直接蜜壺に彼の口が当たる。水着越しじゃない直接触れられた蜜壺から、溢れる蜜を強く吸いピチャピチャと音を立てて舐める。丹念に余す事なく全てを舐める彼は、太ももに置いていた手を動かし、私の蜜壺の中へと埋めた。溢れる蜜が潤滑油の役割を果たして、すんなりと
入った太い指は、指の付け根まで埋まると中を広げるように擦り出す。
「あっあ、あ、あっん、あ」
背が仰反り、掴むとところが欲しくてベッドの布団を手繰り寄せ両手で掴む。熱心に蜜壺を舐め、指で出し入れされた私の身体はぴくんぴくんと反応し、彼を喜ばせている事など知る由もない。蜜壺から顔を上げた彼が指はそのまま動かし続けて、私の腰の横に右手を付けて体重をかけると、ギシッと
ベッドが軋み、その音で彼の方を見ると同時に私の口を塞がれた。絡め取られる舌は、痛くもなくお互いの舌を優しく吸って、夢中になって重なる。
「っ、~!っ、ん」
蜜壺に入る指が増やされるが、喘ぎ声も彼の口内に消えていって呼吸もままならない。口内から彼の舌が離れ、私の耳朶を舐める亮平。蜜壺の中にある指をくいっと折り曲げると、全身が痺れ強烈な快感が私を襲う。
「ッ…これ、好き?…ん?」
「あっ、好き、好きぃっ、あ、あ」
ぐっと唸った声を皮切りに、饒舌になっていく亮平。私の反応を見て、蜜壺に入る指の位置を変えたり、パラパラと動かしていく。
「これは?…ね、これっ…」
「ん、んっ、好きっ、好き」
もう条件反射で好きと言い続ける私を彼は、顔中舐めながら指を動かす度に聞く。
布団から手を離し彼の首の後ろへと回すと、口が塞がれた。
顔の角度を何度も何度も変えては貪られる。
彼の手が私の蜜壺から抜け腰の横にあった手もなくなると、私とキスをしながら赤いハーフパンツの水着を器用に脱ぎ捨て、私の足の間に戻った彼の身体。お尻を持たれ揉まれながらも、下半身を上げれば彼の昂りがぴたりと私の蜜壺の入り口に当てられた。
「んっ…熱…いっ」
「ん、今から入るから」
キスが終わり唇が触れただけの距離のまま、勝手に口から出た彼の昂りを感じる熱の感想。今から入れる、ただそれだけ告げた彼はゆっくりと私に体重を掛け、ミチミチと蜜壺の入口を広げて埋まっていく。一番広い昂りのカサが見えなくなると、ズンズンッと中へと進む昂りは、亮平の指とは比べものにならないくらい太くて固い。きゅうきゅうと無意識に締め付けてしまい、彼は奥歯を噛み耐えている。涼しい部屋のハズなのに頬から流れる汗は、ポタポタッと彼の顎から私の胸元へと落ちて、蜜壺に意識が持っていかれている微かな刺激でも辛い今、連動して蜜壺をぎゅうっと締め付ける。
「っ、萌っ…はっ」
と苦しそうな声に、私はどうする事も出来なくて、ただただ甘い声を漏らし続けるしかできない。
「あ、ん、んっ」
私の口元に彼の左手が置かれ、親指を口内へと入れられる。条件反射でちゅぅちゅうと吸い付き、舌で絡める。すると蜜壺に集中していた私の意識が彼の親指に移り、少しだけ下半身の力が抜け、その隙に彼の昂りが一気に最奥まで貫かれる。急に蜜壺の最奥まで埋まった昂りに、身体が耐えられずに頭の先まで駆け抜けた快感は、身体を強張らせ蜜壺をぎゅうぎゅうに締め付け、口の中にある親指を噛んでしまう。
はぁ、はぁっと真っ白な世界に色がつき始めて、初めて彼の指がまだ私の口内に入っているのに気がついて、くちゅっと口内を動かして、彼の指を噛んでごめんと、謝るように舐めた。
私の意識が戻ったのを確認した亮平は、昂りをギリギリ蜜壺から抜けそうな所まで腰を引き、また一気に最奥へと入る。ゆっくりとした動きから、徐々に早くなり彼の腰と私のお尻がぶつかり、ぱんぱんと肌の音が大きくなっていく。
「あっ、あぁ、んっ、ぁ」
と突かれる度に声が出て、彼の指が私の口から抜ける。彼の手のひらが私の腰を掴み、上体を起こしたままコツを掴んだのか、勢いが増すと微かな彼の声も聞こえてくるようになる。
「っ、はっ、くっ…っ」
「ん、んんっ、ぁ、んっ…イ…くっ、んんぁ」
苦しそうな、余裕のない声が、私の喘ぎ声によって消える。腰から手を離し、屈んだ亮平は私の顔の横に両腕を付けると、私に覆い被さる。
「悪い、っ…俺っ、ぐ…もたん」
そう言ってしまった後、すぐに私の蜜壺を上から昂りを叩き付けるように激しく上下に動かし、ベッドもギシッギシッと揺れる。
「あ、っ、イクっ、ぁっ、ああ、んっ、あああっ!」
「ぐっ…萌っ、も…えっ…っ」
彼の感じている吐息が私に掛かった瞬間に、また頭が真っ白になる感覚に襲われた。ゆっくり腰を動かして蜜壺の中に注ぐ白い証を、受けながら私は意識を手放したのだった。
**************
覆い被さってくる固い肩を抱きしめていると、注ぎ終わったのか、彼が私の頬やこめかみに口づけを落とす。
何度交わって達したのか分からなくなって、そう言えばほとんど蜜壺から抜けてないかも…と考える余裕も出てきた。
「ん…それ…くすぐったい」
耳を舐められて肩をすくめ、くすくすと笑っていると、繋がったところを締め付けてしまい、うっ、と彼がまた唸る。
「締めんな、欲しくなる」
流石に休憩だ、と彼は私の中から出ないでずっとキスの雨を降らせる。
まだ足りないと言われてから、もう日付も変わったと思う時間で、終電も終わったから、どうしようか悩む。
「何、上の空」
とムッとした彼が、私の額を合わせて怒っている。
「ん、終電ないから…どうしようかと」
「泊まればいいじゃん」
「そう?いい?」
「ああ」
と、許可を貰ってから、最初から泊まれる前提で話しちゃったかも、と思ったが、まぁいいか、と開き直る事にした。
彼は起き上がり、私の蜜壺の中から昂りを抜くと一緒に注がれた白い証がシーツを汚し、水溜りのようなものが出来る。
枕元のナイトテーブルからティッシュを数枚取り出し丁寧に証を拭い、近くのゴミ箱へと捨てた。
自分の昂りについている濡れたモノを拭っている姿を見ながら、布団を手繰り寄せて身体を隠す。彼が私のいる布団の中へと潜り、私の頭の下に腕を入れて抱きしめる。
疲れたとか、終わらないかと思ったとか、絶倫とか、私がぶーぶー言っているのを、彼はただ黙って聞いていて、時折嬉しそうな顔で私の頬を撫でるから、文句を言うのも馬鹿らしくなってくる。彼の胸に頭を寄せて、固い腕枕の頭を置いても痛くない所を探して、ひと息つくと、
「満足したか?」
「う…ん、今日はこれで」
若干笑いも含んだ声の彼に、気まずくなって可愛くない事を言ってしまう。そのまま微睡んでいると、睡魔がやって来て瞼が重くなる。
「…おやすみ」
と告げられ低い声を聞いて私は、睡魔に勝てずに眠りについてしまったのだった。
**************
朝早く目が覚めた私は始発で帰ろうと、彼の腕の中から出ようとしたら、いつの間にか起きていたのか、
「柔らかいから、すぐに入れないと」
と、意味のわからない事を言われ、気が付いたらベッドへと戻されてぐちゃぐちゃに愛された。
お風呂に入りたいと言うと、そのままお姫様抱っこで連れていかれ、また愛された。
お腹空いたと言うと、外から一歩も出ずにルームサービスで注文して、食べ方がエロい、と言われまた愛された。
「もうっ!無理、本当っ!無理」
と半泣きになった私を、ならこれからも会ってと言われ、頷くまで離してくれなかった。
くたくたの身体を叱咤しながら、腕を動かし電話番号を交換したら、ヘッドボードに背を預けた彼に背後から抱きしめられながら腕の中で微睡んでいた私は、美波は今頃…と、思い出したので、彼の友人ーーチャラ男について知りたくなった。
「あのさ、昨日の夜会った…」
「…昨日の夜…?」
急に不穏な空気になり、戸惑った私は彼の方を振り向くと、明らかに不機嫌な顔をしていた。
ーーこの顔…?最初声をかけられた時と…同じ…?
と、コテンと首を傾げていたら、
「やっぱり、ああいうのがタイプか?最初から俺なんか眼中になくて…」
と饒舌になった彼の変化に驚きつつも、
「タイプじゃないよ?親友の美波を狙っていたから警戒していたけど」
「え…タイプじゃない…?」
「うん、タイプなら自分から胸を寄せる」
「ちょっ、ちょっと待て…なら」
「あ…うん、えへへ」
そう、私がタイプでいいと思ったら自分からアタックするのだけど、彼もそれに気がついたみたいだ。
「じゃあ…あのプールの浮き輪」
「始まりは人にぶつかって可哀想だったけど、どうでもいい人に身体は許さないよ?」
ーーまあ、一夜限りとは思ってはいたけど…彼はそんなつもり無さそうだし…
なんて考えていたら、
「…なんだ、そうか…なら嫌われないようにって、我慢するんじゃなかった」
と、ブツブツ妖しい発言をする亮平の言葉は、すぐに抱きしめられた事によって有耶無耶となった。
「へっ?!無理だよ?死ぬよ?!私?!」
「救護経験あるから」
「ちち、違うっそうじゃなくっ…て、あっ…ちょ」
疲れて無理だと思っていたのに、いざ触られると快感が蘇り、彼の熱に溺れていってしまうのだった。
かくして、明日仕事だから、と強く出ないと離してくれない亮平。送ると頑として譲らない亮平は、非番の前日から萌香の家へと来るようになった。
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