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リクエスト ナイトプールで燃える恋 前編 ナイトプールで熱い夜
しおりを挟む気がついたら、だめんずばかり私ーー美波に、近寄る事が多かった。
最初に付き合った高校の先輩は浮気ばかりする男だったし、大学入ってすぐ付き合った彼は私の預金からお金を取ろうとしていたらしい。ーーらしいというのも、大学で知り合って意気投合した美女ーー萌香にそう忠告されたからだ。
あとあと聞いたら、その彼はまだ20歳なのに借金まみれで苦しかったらしい。
ーーだからって私の預金を引き出そうなんで最悪だよねっ
今思い出しても腹が立つ男を教訓に、慎重な行動を取るようになったのがいけなかったのか…27歳となった今、無事独身で彼氏も居ない。大学卒業と共におもちゃ販売の大手企業の総務課に配属になり、今や後輩が多い先輩だ。昔に比べ働く女性が多いため、まだお局的な存在ではないのが救い。
ーー子供の頃の夢は、お嫁さんだったのにな…どこで間違えちゃったのかな
ふぅっと一人暮らししている部屋でため息をつく。こんな風に感傷的になるのには、理由があった。今日は珍しく定時上がりだったので、早めに帰ってテレビをつけた。やっていたニュースの特番は、子沢山8人家族の生活風景が流れたからだ。幸せそうで騒がしい風景が、私とは違う世界で眩しくて見ていられなくなり、私はテレビを消して晩御飯の準備を始めたのだった。
**************
大手ホテルの最上階にある未成年者参加不可の、夜間に開いているプール。約2000平米の広い敷地の屋外プールは、青や白、紫などにライトアップされ、DJブースも設置された箇所から、低重音の音楽が流れる。
プールはくねくねと曲がっている流れるプールと、正方形や円形のプールがあり、所々に南国にあるシュロの木、プールサイドベッドとソファー、飲食を購入するカウンターなどがある。
先週末深夜にネットサーフィンしていたら、見つけた大人限定のナイトプール。社会人の萌香とは夜に会う事がほとんどになってしまったので、私は昼間から遊んでもいいけど忙しそうにしている萌香にせっかくの休日を1日使って邪魔したくなかった。
土曜日の夜に待ち合わせして、すでに予約していたためフロントで支払い受付をしてホテルの最上階に行くと、そのままロッカーへと向かったのだった。
「美波って、本当スタイルいいね」
「ありがとぅっ!嬉しいっ!萌香も美人さんで羨ましいっ!」
2人で褒め合っているのは、某ホテルの最上階に位置する女性更衣室の中。萌香は黒いビキニと腰に巻いた赤いパレオが白い肌と細さを惜しげもなく晒している。
その反対に私は白いシンプルなビキニの水着だ。茶色のロングヘアーをお団子にして首元をスッキリさせただけだけど、萌香は頬を赤らめて早口で褒めてくれる。
ーー萌香はいつも私の事をべた褒めしてくれるけど、優しいなぁ
ふふふ、と萌香の話を聞いているーーが、萌香は小さい身体に不釣り合いな大きな胸を惜しげもなくビキニで包み、キュッと締まった腰と細い足。ペタンコの麻のサンダルのアーチ部分に大きな黄色のひまわりの造花がついている。
日焼け知らずの白い肌は、シミひとつなく瑞々しい。
ロッカーに荷物を預けて、鍵を閉めたらオレンジ色のバンドを左手首につけて、萌香と一緒に夜限定のプール会場へと向かった。
**************
ビールとトマトを合わせたカクテルのレッドアイという飲み物を購入して、プールサイドにあるソファーに座って2人で会えない時間を埋めるようにお喋りをした。
飲み物もなくなりそうになったので、もう一杯頼もうとしたら2人組の上半身裸の水着姿の男の人が私達の座るソファーにやってくるのに気がついた。1人は背の高い金髪の男の人と同じ背の黒髪の男の人。金髪の男の人は首からすでに太く、厚い胸板と鍛えられた腹筋が綺麗に分かれていて、腰回りの太いラインが黒く、パステルブルーと2色の水着を履いていた。足元は黒のビーチサンダルで、左の手首にはロッカーの鍵がついたオレンジ色のバンドがある。
「君たち可愛いね、一緒に回らない?」
にこにこと人好きのする顔は、まるで大型犬みたいで可愛い。彼の背後から見える黒髪の人を見ようとしたら、彼の身体がずれて隠された。
ーーまっ、いいか
流れるように私の隣に座り、気がついたら私の手を取っていて、可愛い可愛いと褒めてくれる。
お酒飲んだからか、すんなりと彼の言葉が胸の中に響き、こんなに褒められた事のない私は頬が赤くなっていく。
軽く自己紹介をすると、彼はイツキって名前らしい。
「ね、流れるプールで泳ごうよ」
「え…でも…」
チラッと私の隣にいる萌香に視線を向けると、萌香はにこにことしていた。
「…いいんじゃない」
と、萌香の声にイツキくんは私の手を引いて、立ち上がらせると、手を繋いだまま歩き出した。
ーー声がいつもより低い気がするのは、気のせいかな…?
「ミナミちゃんっ、こっち!」
いつもと同じ笑顔なのに、声のトーンが違うのが気になったけれど、イツキくんの声に呼ばれたので、それもすぐに忘れてしまった。
「ねぇ、萌香…少しだけ、イツキ君と居てもいい?」
流れるプールにいた私達に「浮き輪を持ってくるからっ」と、明るい声のイツキくんとその友人がプールサイドにある浮き輪レンタルのカウンターに向かったのを確認してから、萌香に近寄りそう告げた。
「…好きになっちゃったの?」
と不安そうな顔の萌香を見て、嘘をつくのが胸が苦しくなる。
「…うん、優しくて面白いし…ダメ?」
と、わざと少しだけ悲しそうに告げると、気をつけて、と私を逆に心配してくれた。
ーー本当の事言ったら…萌香は、ないないって否定しそうだし
と親友に初めて嘘をついた事に罪悪感を覚えるけど、頭を横に振り、心を鬼にした。
さっきからずっとイツキくんの友人ーーリョウヘイさん?という人は、プールサイドに並んで座っていた時から萌香を見ていて側を離れない。近寄ろうとする男達から身体を入れて守り、視界にも入れたくないのか大きな身体を不自然なほど、萌香の周りを囲う壁みたいになっている。
ーー萌香、美人さんだもん…しかも、まんざらじゃないみたいだし
イツキくんと少し先に進んでいた私は振り返ると、萌香が楽しそうに彼と泳いでるのを見て確信したのだ。2人は相思相愛だって。
ーーい~なっ!私も彼氏欲しいなっ
そう思いながら、イツキくんとその友人がハート型の浮き輪を持ってくるのを待っていた。
はい、と頭から通された大きなハート形の浮き輪の中へと入ると、当たり前のようにイツキくんも入ってくる。
隣に並ぶと肩が当たり歩き辛いので少し前に出ると、イツキくんが私の肩を掴んだと思ったら私のお腹の前に手をクロスさて背後から抱きしめられた。
「んっ?!」
うしろにいる彼を見上げると、何?とにっこり微笑まれ、あまりの無邪気な笑顔に、自分が変なところにこだわっているのかも、と感じてしまう。
「…近いね」
2人の距離が。と言う意味で言ったのだけど、
「そうだね、まだこの会場はオープンしたばかりだから、これからが本番みたい」
「へ…へぇ…そっ…そうなんだ」
と、下心もない純粋な答えに、私は心が擦れてるかも、と強く反省した。
イツキくんは、樹と漢字で書くらしい。年齢は30歳で消防士として働いているため筋トレを日課にしている…らしい。
「そんなミナミちゃんは?」
にこにこと無邪気な笑顔なのに、彼に教えて当然みたいな雰囲気を出すのだろうか。背後にいるのもいけないと思う。ぴたりとくっついた彼の固い胸板が私の背中に当たり、お腹の前にある彼の手が私から離れることを許さないみたいに置かれている。
「あっ…あたしは、美波、27歳で…おもちゃの会社の事務で働いてるよ」
「事務か~美波ちゃんと一緒なら毎日通いたいなぁ」
なんていいながら、流れるプールの中を歩く。彼の腕の中から離れハート形の浮き輪の上に腕を乗せて、肩まで浸かると樹くんも私の上に覆い被さる。
「ん~樹くんって、距離近いねぇ」
「そうかな~?美波ちゃんが可愛いからだよ」
私の頬に樹くんの頬がくっつき、くすくす笑う度に私の頬に振動が伝わる。
ーー軽いなぁ~
と思いながらも特に実害がないためスルーしていたが、いつの間にか一周が終わろうとしていた。
「ね、あっちにあるプール行ってみない?」
「プール?他にもあるの?」
「あるよ、行ってみよ」
「うん、じゃあ萌香…」
とうしろを振り向くと、萌香達が居なかった。
「あとで合流すればいいよ、ほらっ」
と手を引かれて起き上がると、浮き輪を掴んで流れるプールから出るため歩き出す。
「あははっ、すごいすごいっ」
ぱちぱちと手を叩いて笑う。私が笑う姿を見て、彼も笑う。
2人で水深1.5mの一辺10mほどの正方形のプールにいた。プールの縁に2人分のカクテルがあり、飲み物を飲んでいたら樹くんが特技がある、とカクテルに入っていたさくらんぼの柄を、口に含み口の中をモゴモゴさせて取り出したら、綺麗な結びが出来ていた。
ひとしきり笑ったあとカクテルを飲んでいたら、樹くんが私の横に近寄り腰を引き寄せ口にしていたグラスをプールの縁に置いた。
「…これ、出来るとキス上手いって聞くけど?」
何となく甘い雰囲気が出ている気がして、照れ臭くなる。樹くんの方を見上げると、優しく微笑んでいる。
「試してみる?」
返事をする前に顎に手を添えた樹くんの顔が、私に近寄り軽く唇が重なる。何度か啄んでいたキスは深くなり、彼の舌が私の口内へと入った。彼の舌が私の口内全体を探り、傍若無人に動く舌が私の舌を持ち上げ強く吸われ絡まる。
「…っ、ん」
強く舌が絡まれて痛いくらいに吸われ、久しぶりにキスをするのでやり方を忘れてしまったみたいで、彼の動きに合わせるだけでいっぱいいっぱいだ。
ひと通り口内を探った樹くんは、私の舌をひと吸いして名残惜しく唇を離すと、私と額を合わせた。
「…どう?」
はぁっ、と少し荒い呼吸をする度に熱い吐息が私の口にあたる。
「…すごい…上手い…んっ」
全て言い終わる前にまた口を塞がれて、今度は荒々しく顔の角度を変えながら貪られ、立っていられなくなって彼の胸板に手を添えた。彼の胸に置いた私の手を彼の手が上から重ねると、彼の首のうしろへと回され、腰を引き寄せられた上半身がぴたりと密着する。向き合う形になった私達は、人目も気にせずにお互いのキスに溺れていた。
「っ、んっ、んっ…っ苦しっ」
「はっ…美波の声ヤバいっ、腰にくる」
「…可愛い、可愛いっ」
キスの合間に息をするために離れると囁かれ、また情熱的に口づけが始まる。
お互い止める気配のないキスに、彼が腰に回していた手が私のお尻に移動して水中にいるため楽々と私を抱き上げる。彼の腰に足を絡めると、私が少しだけ彼より上となる。彼の金髪に指を絡ませ、終わらない口づけを再開させた。
お互い盛り上がって濃厚な口づけをしていると、プールの中でもわかるほど彼の固くなった昂りが私のお尻に擦り付けられる。私も負けじと彼の昂りに腰を揺らして当てていると、プールの水面が揺れるくらいになってきた。
「美波っ行こう」
と掠れた声の樹くんが、私の耳朶を甘噛みしながらそう告げると、もう樹くんのキスに夢中になっていた私はただコクンと頷く事しか出来なかった。
**************
「ごめんっ、我慢出来ないっ」
そう言われ、プールサイドにある人工ラタンの1人用の脚の伸ばせるチェアのある場所に移動した私達。
日除けのシートが三角形の形を作り2組のチェアを囲み、何個か列を成している。
使用中と知らせるためにチェアの足元にサンダルを置いた私達は、日除けのシートの側で絶えず口づけを続けていた。シートに手をつけることも出来ずに、背後から抱きしめられ顔をうしろへ向けて彼の口づけを受けていた。
くちゅっくちゅっと唾液の音が聞こえ始めると、樹くんの動きも大胆になってくる。抱きしめられていたお腹の前に置かれていた手が上へと移動し、私の胸を両手で揉んでいく。強く揉まれたり、少しだけ弱い力で揉まれて、乳房がぐにゃりと形を変えていく。
「んっ、ん…っ」
少し覗き込まれたら何をしているかなんて一目瞭然なのに、熱に魘されたように彼とキスする事しか考えられない。
左腕を上げて彼の頭髪に指を絡めると、彼は私の頬やこめかみに口を移動させて、舌を這わし吸い付きだす。
パラパラと太い指が私の胸を両手で寄せたり、外側へとやったりと忙しない。
「可愛いっ、気持ちいいの?ん?耳、弱いね」
「あっ、声出ちゃっ…っう…んっ」
耳の中に舌を入れられ、直接吹き込まれる彼の声。くちゅっと聞こえる舌の音と水音に、身体の力が入らずにめろめろに蕩けてしまう。脚の力が入らなくて、ガクガクと足が震える。彼は私の左胸から手を離し、お腹を辿りながら下へと手を移動させると、下の水着に到達した。水着の上から彼の指が私の股をゆっくり揉み始めて、すでに蜜が溢れた水着がヌルッと滑る。
「嬉しい、濡れてる」
耳の中を舐めながら嬉しそうに囁く樹くんは、私の腰に固くなっているモノを押し付ける。
「あっ、ん、っ」
声を出したくなくて、口の前に手の甲を付けて口を塞ぐけど、同時に二箇所愛撫され動かされてしまうから、手の隙間から声が漏れてしまう。
彼の昂りを下から突き上げるように押し付けられながら、水着越しに下半身をくにくにと動かされ、片手で胸も揉まれこめかみから肩までねっとりと舌も這わされていて、すごく感じてしまう。
「声、可愛い、ここも、ここも、可愛い」
と彼の触れる場所全てを褒められて、気が狂いそうになる。
「本当っ?本っ…と…?」
「うん、可愛い、可愛い」
彼の顔を振り返り見上げると、口を塞がれた。舌を強く吸われ、絡まる舌は2人の唾液が口から溢れて零れてしまう。
ポタポタと肩に落ちて濡れて、胸元や背中へと伝っていった。
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