Alliance Possibility On-line~ロマンプレイのプレーヤーが多すぎる中で、普通にプレイしてたら最強になっていた~

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クラン顔合わせ 調薬談義

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 ササキさんからの相談も、俺からのポーションの話も終わり、話が落ち着いてきた。
 特に話すこともないし、そろそろ解散して、次の話し相手を探そうかというタイミングで、ダイアさんが急に近づいてきて肩を組んできた。
 そして、俺とササキさんを交互に見ながら言った。

「何だ? 調薬の話でもしていたのか?」

 他で話が終わったのかな。
 それとも、今の今まで会話に入るタイミングを探っていたのかな。
 ササキさんとの会話に集中して、周りを見るのを忘れていたからどっちなのか分からないな、
 まぁ、ダイアさんの性格なら、うちのクランで浮くこともないだろう。うまく溶け込んでいそうだし、うまく会話に入れなかったとかではないがするな。
 ダイアさんの後ろから、クジョウ君がひょっこり顔を出していった。

「調薬の話の匂いがします」

 2人はそれを言うと、それぞれ、ササキさんと俺の隣の席に座った。
 2人は何をしに来たんだろう。
 俺達に、何か話すことがあったのかな。それとも、面白そうだから話に参加してきたのかな。話し相手がいなかったからかな。まぁ、どれだとしても、話したいなら大歓迎だな。2人でする会話も終わってちょうど話すことがなくなっていたから。
 2人が座ったのを確認してから、ササキさんはいった。

「オクツと、ポーションの売買の話になってたんだ」

 ダイアさんとクジョウ君はうんうんと頷きながら聞いている。
 そんなに感心する内容あったかなと思うぐらい、ダイアさんが感心した感じの表情をしている。
 話を聞き終わったあと、ダイアさんが言った。

「そうなのか。それなら、うちのも買ってくれよ。効果は、ササキの奴とほとんど変わらないよ。まぁ、そもそも、『調薬』を持っているプレイヤーの作ったポーションは、どれもほとんど効果が変わらないんだけどな」

 まぁ、確かに自家製のポーションと、ササキさんのポーションの効果の差は回復量で10にも満たないよな。
 そういえば、初日の辺りで、他の人からも買ったけど、それもほとんど効果が変わらなかったな。そもそも自分で作っても回復量にブレがあるし、他の人から買っても今のところ誤差の範囲なんだよな。
 この差は今後広がっていくのかな。
 何かしらの技術が出てきたら一気に広がっていくのかもしれないな、
 そうなったら、1本1本の回復量とかの効果に特化する人と、ある程度の効果で大量生産することに特化する人に分かれそうだな。
 そうなったらそれはそれで面白そうだな。
 そんな展開にならないかな。
 クジョウ君も自分を売り込むように言った。

「僕の作ったポーションもおすすめですよ。他にもいろいろ作っているので、そっちもおすすめですよ」

 ササキさん以外のポーションか。
 買ってもいいんだけど、自分でも作りたいから、あんまり数いらないんだよなぁ。
 数が必要なタイミングなら誰のとかを考えずに買うんだけどなぁ。
 こういうとき、人付き合いである程度分けて買った方がいいのかのな。
 次からは気をつけていこう。
 今回はもうササキさんと交渉しちゃったし、変更はしないけど、次からは3人から同じぐらい買うようにしよう。
 今のところポーションの効果にそこまで差がないんだし。
 ぐいぐいくる2人を抑えるように言った。

「次、『調薬』でポーションを作る時までのつなぎで買うので、そんなにたくさんは買わないんですよ」

 ダイアさんは俺の話を聞くとあっさりと引き下がった。

「そうなのか。たまに私のポーションを買ってくれよ」

 クジョウ君も、軽いアピールだけで簡単に引き下がった。

「僕のも買ってほしいです」

 ササキさんが、愚痴をこぼす。

「ものを買うと税金がかかっちまうからな」

 そうなんだよなぁ。
 全部の取引にはある程度のお金がかかるんだよなぁ。
 クランにさえ入れば、簡単にもののやりとりも金のやりとりもできるんだけどなぁ。
 俺とコルドとローズが、素材を分け合いながら依頼の処理が出来ているのは、クランに入っているおかげなんだよなぁ。
 クランに入ると税制優遇って、ありがたいけど、現実みたいでなんかいやな制度だなぁ。
 そもそも税がかかるって時点で、現実に引き戻されるみたいで嫌なんだよなぁ。
 まぁ、システムに文句を言っていても仕方がないな。

「システム的にクランに入れば、もっともののやりとりが簡単になるんですけどね」

 ダイアさんが言った

「早く、システム的な加入をしたいな」

 クジョウ君も頷きながら言う。

「そうですね」

 少しの間静かになる。
 誰かが次の話題を振るのを待つ時間。
 ササキさんが、次の話題を出してきた、

「そうだ。オクツ、『調薬』のレベルはいくつになった?」

 『調薬』のレベルかぁ。
 『器用貧乏』でLv.5になっていこう、レベルアップはしていないよな。
 一度きちんとステータスを確認してから言った。

「今は、入門のLv.5です」

 ササキさんは、何度か頷いた後言った。

「それなら、次『調薬』を使うときは、もう少し良い素材を使っても良いかもな」

 素材に善し悪しなんてあるのか。
 知らなかったな。
 ダイアさんは、ササキさんの言葉を聞いて、大きく一度頷いてから言った。

「そうだな。もうちょっと高い奴を使っても良いかもしれないな」

 クジョウ君も頷いている。

「その方が効率よさそうですよね」

 素材の違いかぁ、何が違うんだろう。
 乱暴に取られた素材よりも丁寧に取られた素材の方がレベルが高いとかかな。
 それはありそうだな。
 もしくは、『採取』持ちの方が素材のレベルが高いとかかな。
 後は素材のとれる場所とかによるのかな。
 分からないので素直に聞いた。

「素材に違いがあるんですか?」

 ササキさんが優しく教えてくれた。

「同じ素材でも、レベルのようなものがあって、レベルの高い素材を使うと少し効果がよくなるのと、今までよよりも一度につくれるポーションの数が増えるぞ」

 ダイアさんがササキさんの説明に付け足しをした。

「もらえる経験値の量も増えるぞ」

 クジョウ君

「自分に合ったレベルの素材を使うと、生産性とか利益率とかで一番効率の良いんですよ。自分に合ったレベルの素材を見極めることも、『調薬』を使う上で大切ですよ」

「そうなんですね。レベルの高い素材はどこにあるんですか?」

 ササキさんがまた優しく教えてくれた。

「基本的に、魔物が強いところにある素材ほど、レベルの高い素材になると言われているぞ。後は『採取』のレベルとか、取り方とかいろいろな要素があるけど、それは素材のレベルよりも素材の品質の方に関係するな。あくまでも、素材のレベルに関しては、メインは場所だな」

 場所かぁ。
 場所なのか。
 場所によってレベルが変わるなら、今のところ一番進んでいる俺たちが有利なのかな。良いところの薬草を採れるし。
 いろいろな要素があるのか。
 なら、『採取』のレベルを上げておかないとな。
 そういえば、品質の話は、前に聞いた気がするな。
 生産に最初に挑戦したときに教えてもらった気がする。
 興味のあることは案外覚えているものだな。
 何日も前のことをきちんと覚えている自分に感心していると、ダイアさんが追加情報をくれた。

「オクツが今使っているのが、南の草原のすごい浅いところの素材だから、南の草原の中盤か、西の森のめちゃくちゃ浅瀬の素材が良いと思うわ」

 クジョウ君も同じように情報を追加してくれる。

「その辺りの素材のレベルはほとんど同じですよね。少しだけ西の森の超浅瀬の方が、レベルが高いはずです」

 新しい素材かぁ。
 楽しみだな。
 俺の今の『調薬』のレベルではもったいないかもしれないけど、『クランの町フラッグ』の方でも見つけたいな。
 そっちの素材で作った方が経験値が良いなら、早く成長できそうだし。
 まぁ、良い素材から、ゴミみたいなものが出来るかもしれないけど、それは練習のためだから仕方がない。量が少なくたって、回復量が少なくたって、どうせ自分で使うんだし。俺達なら、たぶん簡単にとれるんだし。
 俺はウキウキで言った。

「そうか。今日、取りに行ってみます」

 ササキさんがアドバイスをくれた。

「取りに行く時間がなかったら、納入依頼を出しても良いと思うぞ。薬草系は、依頼に対する、納入量が少しだけ過剰気味らしいぞ」

 普段は納入する側だけど、納入される側になるのも良いな。
 そっちで、身の丈に合った素材でやるのも良いな。
 良い素材でゴミを量産してパワーレベリングも良いし、身の丈に合った素材で順当に成長するのも良いな。
 どっちもやってみよう。良い素材の方は自分で取ってくるから原価0だし。費用対効果とかは、収入の柱がそこに訳ではないからあまり考えなくても良いかな。王道も覇道もどっちもやりたくなるよなぁ。
 ササキさん達みたいに、『調薬』で生計を立てているわけではないから、稼ぎつつ自分も成長して、という両立はしなくていいもんな。成長全振りで『調薬』が出来るな。
 ダイアさんもうんうんと頷きながら言った。

「デリバリーとかよりも早く届くぞ」

 クジョウ君も何かを思い出しながら言っている。

「ギルド側でストックがあるのか、依頼を出した瞬間に終わるときとかありますよね」











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