Alliance Possibility On-line~ロマンプレイのプレーヤーが多すぎる中で、普通にプレイしてたら最強になっていた~

百々 五十六

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クラン顔合わせ ササキさんの相談

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 良い感じに自己紹介の時間が終わった。
 この後は何をするんだろう?
 ビンゴ大会みたいなレクリエーションでもあるのかな?
 主宰者なのに全く顔合わせ会の流れを把握していないから、何をやるのかとわくわくしている。
 ビンゴ大会かな、クイズ大会かな、それとも何かテーブルゲームでもやるのかな。
 もしくは、自己紹介みたいなその人の情報を知るような何かをするのかな。
 何をやるんだろう楽しみだな。
 俺は、目をキラキラさせて、ササキさんの方を見る。
 ここまでの流れ的に、ササキさんが何かしてくれるのだろう。
 というか、主宰者がこんなに他人事で良いのだろうか。
 こんなに任せてよかったのかな。
 それはそれで不安になってきたな。
 他のみんなも俺と同じように、キラキラとした目でササキさんの方を見ている。
 ササキさんは、みんなの期待の視線を受けながら言った。

「自己紹介もしたし、またしばし談笑タイムにするか。談笑タイムだ!」

 談笑タイミか。
 良いんじゃないか。
 自己紹介を聞いた後の方が、自己紹介で言ったことについて詳しく聞けるだろうし、会話のとっかかりが増えるはずだし。
 まぁ、でも、何かレクリエーションを期待していたから、少しがっかりしたのはここだけの秘密だ。
 みんな同じことを思ったのか、ササキさんが、談笑タイムと言った瞬間、シーンとなった。
 その静寂も一瞬で終わり、各々言われたとおり談笑タイムに入っていく。
 今回は、自己紹介の前よりも、席の移動が激しいみたいだ。
 みんないろいろなところで話をしている。
 俺も誰かと話しに行こうかな。この会で初顔合わせになったメンバーはいないけど。
 そう思って、席を立とうとすると、こちらに向かってくるササキさんの姿が見えた。
 何だろう?
 俺に話でもあるのかな。
 それとも、普通に雑談しにこっちに来ているのかな。
 とりあえずササキさんがこっちに来ているし、どこかに行こうとするのは止めようかな。
 そう思って、俺は椅子に座り直した。
 ササキさんは、さっきまでミヤネさんが座っていた俺の隣の席に座り、俺に話しかけてきた。

「オクツ、ちょっと良いか?」

 この話しかけ方は雑談ではなさそうだな。
 雑談なら、もうちょっとラフな入りをするだろうし。
 雑談でもこの入り方をする人もいるだろうけど、ササキさんはそのタイプではなかったはずだ。
 ということは相談かな。
 もしくは、お願いかな。
 相談だとしたら、何の相談かな。
 クラン関係の相談かな。
 もしかして、他に入りたいクランが出来たから抜けたいとかそういう相談かな。
 そんな相談だったら嫌だな。
 それなら、金が足りないから何KG貸してくれとかそういう相談の方がまだましだな。
 声のトーン的にそういう深刻な相談ではなさそうだったな。
 もっとポジティブに考えよう。
 また一緒にポーション作りしようとかの話ならいいな。
 後は何だろう、俺も『クランの町フラッグ』に行きたいから、連れて行ってくれとかならいいな。
 一緒に何かしよう関連のお誘いだったら良いな。
 悪いことを考えるんじゃなくて、こういう良いことを考えてから話を聞こう。
 そっちの方が楽しいから。そっちの方が心が楽だから。
 俺は、いつもよりも間を取って、いつもより少しだけ落ち着いた声で言った。

「いいですよ。何でしょうか?」

 ササキさんは、相談のトーンで言った。

「さっき、楽しそうに、ミヤネと話していたから、話しかけられなかったんだが、相談したいことがある。顔合わせでやりたいこととかってあるか?」

 あぁ、それか。
 顔合わせのことか。
 何の相談も頼み事もなしに、なぜかササキさんに任せっぱなしになってたな。
 何をやるとか具体的には何も伝えてなかったな。
 やりたいことか。
 俺的には、顔合わせさえ出来ていれば、何でもよかったんだけどな。
 なにかあったかな。
 あ、そういえば、あの話をしようと思ってたんだ。
 あの話。
 俺は、なんとか記憶の底からやりたいことを思い出してササキさんに伝えた。

「あぁ、そういえば話しておきたいことが1つありました。それ以外は、特にはないでえす。みんなの仲がよくなってくれるなら何でもいいです」

 ササキさんは、考える仕草をした後に言った。

「そうか、そうなのか。じゃあ、後で、オクツが言いたい1つのことをいえるタイミングは用意する。それともう1つ。顔合わせって後は何をしたら良いんだ?」

 ササキさんも、顔合わせで何を屋ったら良いのかが分かってないのか。
 てっきり、ササキさんがやりたいことがあるから積極的に司会とかをやっているのかと思ってた。
 やりたいことがないなら、無理に何かをしなくても良いんじゃないかな。
 無理に何かを企画しなくても良いし。
 今の雰囲気が良い感じだから、無理矢理何かをやる必要はないと思うな。
 俺は思ったことをそのままササキさんに伝えた。

「基本はこのまま談笑で良いんじゃないですかね? それが一番、お互いのことを知るきっかけにはなるでしょうから」

 ササキさんパッと表情を明るくした。
 そんなに悩んでいたのか。
 ビフォーを見ただけだと分からなかったけど、表情を明るくさせたアフターを見ると、ササキさんが悩んでいたことがなんとなく分かった。
 ササキさんは、今までよりも1割ぐらい明るい声で言った。

「そうか、じゃあオクツが言いたいことを言うタイミング以外は、談笑にしておこう。最後に、俺が司会みたいなことをやっていても良いのか? 俺って平メンバーだよな。なぜか俺がホスト的な立ち位置になっちまったから、聞いておきたいんだが」

 俺は、ノータイムで思ったことをそのまま言った。

「やってもらえる分にはありがたいです。ぜひこのままやってほしいです。やりたくないのであれば、他の人に変わってもらいますが」

 反応的に、ササキさんも少しは乗り気みたいだ。

「そこまで言うならやるぞ。別にやりたくないわけではない。やりたいわけではないだけだな」

 俺は頭を下げながら言った。

「それなら司会をお願いしますね」

 俺が頭を上げると、ササキさんは胸を張って言った。

「あぁ、任せろ」

 ふぅ、これでこの相談も一件落着かな。
 少しの間、俺とササキさんの間に無言の時間が流れた。
 なんか、ササキさんに話しておきたいことがあった気がするな。
 何だっけ。
 何か話題があったはずなんだよなぁ。
 あぁ、そうか。あれだ。
 ポーションの件だ。
 俺は思い出してすぐに、ササキさんに言った。

「あ、そうだ。ササキさん、顔合わせが終わったら、ポーションを売ってください」

 ササキさんは、ノータイムでこたえてくれた。

「良いぞ。良いけど大丈夫なのか? 確か昨日懐が極寒だって言ってなかったっけ?」

 確かに、そんな感じのこと言ったな。
 まぁ、お金はありますよ。
 なんてったって、大きく2回も依頼処理祭りをやったんですから。
 俺は胸を張って言った。

「それは、昨日の夜と朝に依頼を処理しまくってなんとかしました」

 ササキさん、クスッと笑いながら言った。

「そうか、それなら良いんだ。それで、どれぐらい買うんだ?」

 どれぐらい買おうかな。
 そろそろ、もう1回自分でポーション作りたいしな。
 あと、なんとなくだけど、『クランの町フラッグ』に行ったら、初心者ポーションよりも先のポーションが出そうなんだよな。
 自分が作るのと、次のポーションのつなぎだから、そこまでの数はいらないだろう。

「えっと、次ポーションを作るまでのつなぎで、HPポーション、MPポーション、両方100本ずつで」

 ササキさんは、少しだけ右上を見て何か思い出す仕草をした後、すぐに言った。

「それぐらいなら手持ちにあるから大丈夫だぞ」

 それなら、忘れないうちに買っておこう。

「じゃあ、顔合わせが終わったらよろしくお願いします」

 ササキさんは、親指を立てて、グッドのポーズをして、にっこりとしながら言った。

「了解だ」












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