Alliance Possibility On-line~ロマンプレイのプレーヤーが多すぎる中で、普通にプレイしてたら最強になっていた~

百々 五十六

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ボス戦道中 ボス戦開幕

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 南の草原に出ると、急にコルドが立ち止まった。
 どうしたのかと思い、コルドが急に立ち止まったことで、1歩前に出てしまった身体を振り返らせる。
 ローズは困ったように言った。

「南の草原のボスってどこにいるの?」

 確かに。
 俺もどこに南の草原のボスがいるのか知らないな。
 南の草原にボスがいることも、コルドからのまた聞きだし。
 どこにいるんだろう?
 俺も気になっていると、コルドが眼鏡をかけているわけではないのに、メガネをくいっとする動作をした後、言った。なんだろうなぁ、かっこいい動作のはずなんだけど、コルドがやるとカッコつけようとしてる感が満載なんだよなぁ。

「昼、攻略サイトで見たんだけど、真南にずっと行くといるらしいよ!」

 分かりやすくていいな。真南かぁ。
 雑談でもしながら、行きますかぁ。

「じゃあ、このまままっすぐ行けばいいのね?!」

「そうだな!」

 俺たちは、真南へ雑談をしながら進んだ。
 真南だから、方角とか考えなくてよくて歩きやすい。


 2,3分歩いたところで、ローズが驚きの話題を振ってきた。

「そういえば、午後から、樹璃がふみちゃんと一緒にフルダイブVRを買いに行くって言ってたわよ」

 え?!
 聞いてないよ?!
 ふみとは、さっき一緒に昼食食べたのに!
 なんで教えてくれなかったの?!

「え?! 俺それ知らないんだけど!」

 まぁ、確かにそろそろ買わないと、設置が間に合わなさそうだしな。
 アバターの設定とか、本体の設定、感覚のリンク設定とか、いろいろ設定することがあるし、6日前じゃ、少し遅いぐらいだな。

「ふふっ。これで仕返しができたみたいね!」

 仕返し?
 コルドも同じことを思ったのか、元気よくローズに聞いていた。

「何の?!」

「樹璃がAPOを始めるって聞かされて驚かされた仕返しよ!」

 あぁ、昨日のことか。
 確かに、めっちゃ驚いてたし、悔しそうな顔してたなぁ。
 APOが充実しすぎて、忘れてたわ。

「根に持ってたのか」

「それにしても、大丈夫なのか?! 大人が一緒じゃなくて! 結構な金額だろ、あれ!」

 何故か、ふみの兄である俺や、樹璃ちゃんの姉であるローズよりも、コルドが心配をしだした。
 確かに心配だな。
 中学生に大金なんて持たせて万が一があったら大変だな。
 どうしたんだろう?
 さすがに、そのままポンと金を渡して買って来いとはならないだろう。
 親でも一緒に行ったのかな?
 でもうちの親はそんな気配はしなかったな。

「それは大丈夫よ! うちの母が付いて行ったから。それにふみちゃんの分のお金もオクツ母から預かってるらしいし!」

 ローズ母が付いて行ってくれたのか。
 それなら安心だな。
 大人が1人いると安心感が段違いだな。

「それなら安心だな」

「もう6日しかないんだな! 早く強くならないとな!」

 6日って、間に合うのかな?
 さっきは大丈夫って思ってたけど、結構ギリギリだよな。
 そもそも、あれって確か、当日配送じゃないし。
 設定とかもいろいろしなきゃならないのに大変だな。
 夏休みに入って早々なのに、ドタバタしそうだなぁ。
 まぁ、APOを始めるためだし、頑張ってほしな。

「そうだな!」

「そうね!」

 それからも他愛もない雑談をしながら真南に歩き続けた。



 結構な奥まで来たところで、遠目に、数十人で狩りをしている集団を見かけた。
 彼らの狩場が完全に進路にかぶっている。
 どうしたもんかなぁ。

「なんか、前方にすごい大人数で狩りしてる人たちがいるぞ」

 とりあえず2人に聞く。

「どうする?!」

「迂回しましょう!」

 まぁ、迂回だよなぁ。
 あの人数のプレイヤーと敵対したら大変なことになりそうだしなぁ。今も今後も。
 迂回だよなぁ。
 まぁ、先にここを使っているのは彼らなんだし、大人しく迂回するかぁ。

「「了解!」」

「とりあえず会釈しておこう」

 とりあえず、こっちが争いを望んでないという意思を見せるために、会釈をする。
 これぐらいで争いを避けられるなら安いものだ。
 相手方も何人か会釈してくれている。
 相手方に積極的な敵対の意思はないっぽいな。
 でもなぁ、なんかちょっとだけピリピリしてるっぽいんだよなぁ。張りつめた感じっていうかそんな感じ。
 いきなり襲われるとかじゃなくて、よかった。
 でも、一応警戒はしておこう。ここでPKなんてされたら、やる気が駄々下がりになっちゃうし。
 こっちの油断を誘って、不意打ちでPKとかあるかもしれないし。
 あの数だから、別動隊がいたとしても不思議じゃない。
 それにしても、集団での狩りかぁ。
 ゲームに来てまで集団行動はしたくないなぁ。
 あれがいわゆる、攻略組ってやつなのかな? ガチ勢ってやつなのかな? 廃人ってやつなのかな?
 悪い人達(たち)ではなさそうだけど、なんとなくピリピリしてるし。
 ピリピリの中、大変な思いしながらするゲームって楽しいのかな?

「相手も何人か会釈を返してくれてるぞ!」

 会釈を返されて、コルドは上機嫌らしい。
 ローズも相手を悪くは思っていないらしい。言動から少しそれが感じられる。

「悪い人達(たち)ではなさそうね。でも、余計なトラブルを避けるため、とりあえず迂回ね!」

「そうだな」

「了解!」

 それから俺たちは、集団を迂回して、町から真南を目指した。
 迂回してから少しは、方角を確かめるため、何度か地図を確認した。
 それからも俺たちは順調にボスに向かって進んでいった。
 もちろん、道中で俺たちに向かって突っ込んで来る魔物は、適宜撃退している。雑談をしながら。





 前方にでかいウサギが見える。
 あれがボスなのか?

「でかいのが見えてきたね!」

「あれか?」

「あれだと思うわ!」

 どうやらあれがボスらしい。
 ラビット系なんだ。
 そういえば、コルドが、昨日の夜に南の草原のボスはラビット系だって言ってたな。
 そうだった。忘れてたな。
 気を取り直して俺は確認作業をしていく。
 作戦は、ここまでくる道中に話しながら、ある程度決めておいた。

「じゃあ、最終確認するぞ!」

「「うん」」

「最初は、1番の火力をぶつけるって感じでいいか?」

 最初は、ヘイトとかを取ってないから、いろんなものをモリモリにしてでかいのを一発入れられるからな!

「そうね! タンクがいないし、避けタンクもいないから、誰がヘイトをとっても変わらないわね!」

「でも、ローズがヘイトを取ったら、面倒そうだから、ローズはワンテンポ遅れて初撃をよろしく」

「わかったわ!」

 ローズにヘイトが向いてしまうと、ローズがワンパンでやられるっていう事故が起きかねないから、なるべくヘイトは俺かコルドで取っておきたい。
 俺たちなら、さすがに一発は耐えるだろうし。

「多分、火力的にコルドが最初にヘイトを取ると思うから、意識しておけよ!」

「了解!」

「じゃあ、安全に準備ができる距離まで近づくぞ!」

「「了解!」」

 確認作業が終わった俺たちは、目視できるぐらいの距離から、すぐに攻撃を当てられるぐらいの距離まで近づいた。
 距離としたら、15歩分くらいの距離。

「これくらいの距離でいいか?」

「「OK!」」

「じゃあ、初撃準備!」

「「はい!」」

 俺は、まず『アタックアップ』『スピードアップ』を発動した。
 この2つは、セルフバフなんだが、時間制のバフではなく、次の攻撃時にだけのるバフなのだ。ちなみにクールタイムは、効果が発揮されてから3分というものだ。
 そこに、『チャージ』と『二連斬り』。
 単体火力なら、『二連斬り』より『ソードアタック』の方が高いかもしれないが、クリティカルのチャンスが多い『二連斬り』を選択した。
 俺の準備は完了だ。
 攻撃の時には、称号の『一勝四敗』の効果も乗るし、追撃だってある。

「準備できたぞ!」

「俺も!」

「私も!」

「じゃあ、始めるぞ!」

 俺たちの表情が集中モードへと切り替わっていく。

「「うん!」」

「攻撃開始!」

「「攻撃開始!」」

 俺は、剣を構えながら目の前のボス『ビッグラビット』に向かって走り出した。


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