Alliance Possibility On-line~ロマンプレイのプレーヤーが多すぎる中で、普通にプレイしてたら最強になっていた~

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ボス戦 南の草原のボス『ビッグラビット』

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 まずはAGI値が1番高い俺から攻撃が入った。


 クリティカル! 195ダメージ
 58ダメージ


『二連斬り』の片方がクリティカルになったらしい。
 ちなみに『追撃』は、相手のVITがある程度あったのか、0ダメージだったため、ログに残っていない。
 結構まんべんなくステータス振ってるけど、結構ダメージが出るようになったなぁ。

 俺が攻撃したことにより、のっそりとボスである『ビッグラビット』が振り返る。
 顔はこちらに向いたけど、身体はまだ半身ぐらいの、振り返りきれていないところに、コルドの攻撃が入った。
 コルドは、大きく拳を振りかぶって、その姿勢のまま『ビッグラビット』に突撃し、拳をきれいに振り切った。


 315ダメージ


 いやぁ、さすがだなぁ。
 圧巻の攻撃力だよなぁ。
 もともと攻撃極振りビルドだったし、これぐらい出るもんなのかなぁ。
 やっぱ極振りビルドの方が良いのかな?
 でも、いろいろしたいしなぁ。動きが遅くなるのは嫌だしなぁ。
 まぁ、今更変えられないから、いろいろ言ったってしょうがないけどなぁ。

 俺の方を向いていた『ビッグラビット』の目が、標的を完全にコルドに切り替えた。
 ヘイトは、ちゃんとコルドがとったらしい。
 俺は、振り下ろした剣を救い上げるように、もう一度、『ビッグラビット』に攻撃をする。


 25ダメージ


 通常攻撃だと、やっぱり火力がなぁ。

 ヘイトはちゃんとコルドで固定されているようで、『ビッグラビット』は俺に見向きもしなかった。
 ヘイトの確認がちょうど終わったそのタイミングで、ローズの初撃が飛んできた。


 808ダメージ


 さすがだなぁ。
 なにげにローズも極振りもどきみたいなステータスしてるんだよなぁ。
 ほとんどがINTにステータスを振ってるし、魔法の方が物理よりも威力が高めだから、ダメージとしたらこんなもんなのかな?

 ローズのダメージが思ったよりも多くて、一瞬ヘイトがローズに向きかけたけれど、コルドが機転を利かせて、軽く一発攻撃したことで、ヘイトが、コルドに戻ってきた。


 74ダメージ


 コルドの軽い一発が、俺のスキル込みの攻撃力並なんだよなぁ。
 なんでだろう?
 STR:86ってそんなに低い数字じゃないと思うんだけどなぁ。
 STRが50違うだけで、こんなにダメージに差が出るんだなぁ。
 まぁ、そうか。50差って、普通にステータスを振っていったら、レベル10個分だし。結構なさなんだなぁ。

 全員の初撃を終えて、『ビッグラビット』の残りHPを確認したところ、HPの1割以上を削っていた。
 これなら頑張れば行けるんじゃないか?
 何時間もの死闘! みたいなのを想像していたけど、案外いけるんじゃないか?


 それから、順調に、HPを削っていった。
『ビッグラビット』のHPは残り3分の1強。
 こちらは割と余裕をもって、『ビッグラビット』の攻撃を避けている。
 避けるたびに、攻撃が止まるため、すごく効率がいいわけではないけど、安全策を取って、余裕をもって避けていた。
 攻撃を食らうかもしれないという意識がだんだんと薄れてきた中盤、事件が起こった。
『ビッグラビット』が攻撃モーションに入った時に、ヘイトを持っていたコルドが欲をかいて一撃多く入れた。
 その時、コルドは『ビッグラビット』から突進を食らってしまった。
 欲をかいて一撃多く入れたため、避ける姿勢ではなく、攻撃する姿勢だったため、重心が前に出すぎて、よけきれなかったのだ。
 一撃も攻撃を食らってなかったが故の気のゆるみ、そこを突かれた形になった。


 コルドが、117被ダメージ


 コルドのHPの約3分の2が吹き飛んだ。
 それと、コルドが、後方に大きく吹き飛んだ。
 コルドは、HPの回復と、吹き飛ばされた後方からの帰還で、3分は戦線に戻ってこれないだろう。
 この3分、簡単に無事に乗り切れるなんてこともなく。
 まず、ヘイトを持っていたコルドが戦線から離脱したため、ヘイト管理が崩壊した。
 ちょこまかとヘイトを取っていたコルドの次にヘイトを集めていたのは、一撃一撃が重いローズ。
『ビッグラビット』のターゲットはローズで固定されてしまった。
 ローズは、魔法職でありながら、ある程度はAGがあるので、攻撃を避けることに専念しようと、杖をしまった。
 ローズは、戦闘の間、後方からずっと攻撃魔法を飛ばしてくれていた。
 前線で、『ビッグラビット』の突進やら噛みつきやら、爪での攻撃を避けていた俺たちとは違って、ローズはまだ『ビッグラビット』の攻撃に目も体も慣れていないだろう。
 そんな中で、ローズが集中的に狙われたら、万が一にもよけきれないかもしれない。
 そうなったら、HPもVITも低いローズのことだ、軽い一撃を貰っただけで、ワンパンで死んでしまうかもしれない。
 どうしよう?
 俺は何ができるだろうか?
 この状況で俺は何ができるんだろうか?
 俺がヘイトを取るには、どうしたらいいだろうか?
 ローズを狙うためにこちらに背を向けている『ビッグラビット』を見て俺は思った。
 これは、しっぽにでも、尻にでも、なんとなく生物の弱点みたいなところに執拗に攻撃したら、ヘイトが取れるんじゃないだろうか?
 俺は、考えそのままおもむろに尻に攻撃を仕掛ける。

 22ダメージ
 21ダメージ
 24ダメージ

 なんとなく、『ビッグラビット』の意識がこちらに向いてきた気がする。
 ローズを狙って前傾姿勢でチャージしていたのをやめ、フラットに立ち、こちらに顔を向けた。
 よし! このままいけば行ける!
 俺はふと思い立って、『ビッグラビット』の尻の穴に『ファイアランス』を入れた。
 詠唱時間の5秒が、永遠にも感じられた。
 詠唱が、完了し、発動した『ファイアランス』は『ビッグラビット』の尻にクリーンヒットした。


 クリティカル! 269ダメージ


 尻に『ファイアランス』を入れられた『ビッグラビット』はその場でのたうち回った。
 暴れる『ビッグラビット』に近づくのは危ないと感じたため、少し離れて魔法や『スラッシュ』を撃ち込む。

 俺とローズでのたうち回る『ビッグラビット』に追い打ちをかけていると、コルドが前線に戻ってきた。
 良かったぁ。
 これで、ヘイト取りをコルドにバトンタッチで来る。
 そう思って安心した瞬間、『ビッグラビット』が光になって消えた。
 あれ? どうしたんだろう?
 頭の中に『討伐完了』の4文字はなかった。
 正直バグかと思った。
 どうしたんだろうと不安になっていると、普段より体感2割増しぐらいの音量でアナウンスが鳴った。


 ビッグラビットLv.10(南の草原ボス)を討伐しました。
 経験値や、ドロップ品は省略します。 詳細
 キャラクターレベルがアップしました。
 職業レベルがアップしました。
 剣術(入門)Lv.9/Lv.10がレベルアップしました。
 剣術(入門)がレベル限界に達しました。
 剣術(入門)が昇華可能になりました。
 魔術(入門)Lv.8/Lv.10がレベルアップしました。
 物理の心得(入門)Lv.9/Lv.10がレベルアップしました。
 物理の心得(入門)がレベル限界に達しました。
 物理の心得(入門)が昇華可能になりました。



 ボス個体が、ワールドで初めて討伐されました。
 称号『最初のボス討伐者』が贈られました。
『ビッグラビット』がワールドで初めて討伐されました。
 スキルオーブ『突進』が贈られました。
 記念称号『ビッグラビット最速討伐(記録20分14秒23)』が贈られました。
 記念称号『ビッグラビット最遅討伐(記録20分14秒23)』が贈られました。
 称号を5つ獲得したため、称号『称号コレクター(入門)』が贈られました。



 ワールドクエストが解放されました。
 ワールドクエスト『新しき世の風』が開始されました。



 なんかいろいろアナウンスが流れてきた。
 勝った!
 ボスに勝った!
 やった! やったぞ!
 アナウンスの内容を気にしていられないくらい感動していた。



 それからすぐに戦闘態勢をやめ、コルドとローズと喜びを分かち合う。

 これが、ワールド初討伐だと気づくのはそれから15分後のことだった。





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