Alliance Possibility On-line~ロマンプレイのプレーヤーが多すぎる中で、普通にプレイしてたら最強になっていた~

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今日まず何する? 生産してみよう!!~採取編~

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「じゃあまず採取の方をやっていくぞ!」

 南の門を出たところで、ササキさんがそう宣言した。

「「「はい!」」」

 俺たちは、テンション高く、大きな声で返事をする。
 その返事を受けて、満足げなササキさん。
 ササキさんは、それから、トーンを少し落として、説明を始めだした。
 ササキさんが、話すっていうことは、俺のターンだし、ちゃんと聞いておかなきゃな。

「採取は、基本的に群生地まで行って、そこで取るのが効率的だ」

「群生地はどこにありますか? 群生地ってどうやって知るんですか?」

 熱心に聞いていることを主張するためと、単純に気になったからという理由で、ササキさんに質問する。
 質問するときには、ちゃんと手を高く上げたぞ。
 ササキさんは、俺をなだめるようにしてから、説明を再開した。
 もしかして、俺の質問、説明の邪魔だったのだろうか? それなら申し訳ない。

「まぁ、まぁ、落ち着いて。今から説明するから。まず群生地は割といろんなところにある。今から列挙してもよく分からないだろうから、実際にこれから群生地の1つに行くぞ」

「じゃあ行こう!」

 コルドが、ササキさんの説明が1段落したタイミングで、走り出そうとした。
 それを止めて、説明を再開するササキさん。
 コルドがいつも通り暴走しちゃって申し訳ない。

「ちょっと待てコルド! まだ、オクツの2つ目の疑問に答えてねぇ。だからちょっと待て。群生地を知る方法については、最初は最初の選択式のギルドクエストの『薬草採取』の方を選ぶとギルドで教えてもらえるぞ。他には自分で見つけるか、掲示板を見るか、ギルドの図書館で調べるって手もあるぞ」

「そうなんですね! じゃあ行きましょう!」

 俺にもコルドのテンションが移ってしまったのか、ワクワクが抑えられなくて、すぐに採取に出ようとした。

「オクツ。君もそっちタイプなのか? 割と冷静なタイプかと思ってた」

 俺が、ササキさんにお礼を言いつつ、早く群生地に行こうという感じで言ったら、けんけんぱさんが、不思議そうにこっちを見てきた。
 俺は、そこで冷静さを取り戻した。
 違うんです、けんけんぱさん。
 普段はもっと冷静なんです。
 今回はテンションが上がっちゃって、コルドのテンションに当てられちゃっただけなんです。
 心の中で、けんけんぱさんに言い訳を重ねる。
 そんなことをしているうちに、出発することになった。

「じゃあ、1番最初のポーションの材料になる『薬草採取』クエストで教えてもらえる群生地に行くか!」

「「「了解!」」」

 コルド達と息を合わせて了解をする。
 生産組3人は、感心したような顔をした。

「わかったわ。アクセサリーの素材は、群生地についてから説明するわ」

「OK。じゃあ、剣の素材はその後だね」

 俺たちは2日目初めて南の草原に繰り出した。




 道中、話しながら俺たちは進む。

「いやぁ、戦闘職の人が一緒にいると、警戒しなくていいから楽だね! これからは護衛でもつけようかな?」

「魔物を避けながら歩かなくていいから、どんどん目的地に近づいてるぞ。俺も護衛を検討したくなるぐらい気持ちのいい進み具合だ」

 生産職組の3人のテンションがやたらと高い。
 どうやら、いつもよりだいぶすいすい進んでいるらしい。
 ここらへんで苦戦するって、どんなステータスなんだろう?
 気になったから直接本人たちに聞いてみる。

「みなさんって、戦闘力はどれくらいあるんですか?」

「まったくないな」

「俺も」

「私も」

 3人とも自慢げに誇るように言った。
 そんな自慢気に言わないでも。
 戦闘力ないなら町から出たらどうしているんだろう?
 また気になったので、また直接本人たちに聞く。

「魔物にあったらどうしてるんですか?」

「逃げ1択だな」

「「うん。うん」」

 ササキさんの発言に、他の2人が激しく頷いている。
 コルドが急に会話に入ってきた。

「それって大変だな!」

 コルドにかまわず、質問を再開する。

「そんな危険なのに、普段って素材は自分で取りにいてるんですか?」

「ものによるな」

「まだ市場に十分出回ってないような素材とか、採集系のスキルが必要な素材とかは取りに行くけど、他は依頼かギルドで買うかな」

「生産職って大変だな!」

 コルドがリアクション担当みたいになっている。
 まぁ、話を妨げてないし、雰囲気をよくしてるから、どんどんやればいいんじゃないかな?

「だから、採集系のスキルを持ってる戦闘職の人が増えると、すごくうれしいんだよね」

 それから、ちょいちょい雑談を挟みつつ目的地まで進んでいく。
 案内役のササキさんはどこへ向かっているのだろう?






 佐々木さんが足を止めた。
 ここが目的地らしい。
 なんとなく足元の草が、周りの草とは違っている気がする。
 気のせいかなって思うくらいの違いしかない。
 ここが群生地なんだろうか?
 ササキさんが止まったから多分そうなんだろう。
 ここまで、南の草原を出てから10分もかかっていない。
 割と近いなぁ。
 まぁ、生産職の人たちを、そんな草原の奥まで行かせないだろうしなぁ。ここが妥当かぁ。

「ついたな。じゃあ採取の説明をするぞ。ちゃんと聞けよ!」

「「「はい!」」」

「群生地に来たら、そこら辺の草を丁寧にとれば薬草が手に入る。この時に採取スキルを持っていると、品質が上がったり、1回にとれる薬草の量が上がったりするぞ。他に品質を上げる方法は、丁寧にとることぐらいだ」

「「「はい!」」」

 俺たちの相槌もだんだんと上達してきてるんじゃないだろうか?
 息もどんどんあってきているし、声量の調節もできるようになってきた。

「ちなみに初心者が薬を作る時に品質はそこまでこだわらなくていい。低すぎなければだいたい大丈夫だ。じゃあ、みんなで薬草を取っていくぞ!」

「ちょい待ち!」
 ササキさんの号令で、動き出そうとしたタイミングで、ミヤネさんから待ったが入った。
 重心が完全に動いていたため、転びそうになる。
「あっ!」という声が漏れそうになるのを全力で我慢しつつ、転ばないように全力で踏ん張る。
 やっと体勢を立て直したタイミングで、ミヤネさんが話し出した。

「じゃあ、アクセサリーのほうの採取の説明もしちゃうね。採取スキルでは、地面に落ちてる素材を拾うことができるようになるの。だから、落ちてるいい感じの木や石とかを拾っておいてね! じゃあ、薬草採取始めましょう!」

「「「「「了解!」」」」」

 ミヤネさんの採取の方の説明も終わって、みんなが採取に向けて動き出した。




 それから、20分ぐらい全力で薬草を採取した。
 時々襲ってくるラビット系の魔物を倒しつつ採取をした。
 魔物を倒すたびに生産職組から歓声が上がった。
 ササキさんは、集まった素材を見て言った。

「こんなもんでいいか。これだけあれば、どんなにミスっても大丈夫だぞ!」

「いやぁ、戦闘職の人がいると、採取の時も楽ね。こっちに来た魔物をちゃんと倒してくれるから、安心して作業できるし、集中もできるわ」

「なんかいつもより採取量が増えた気がする!」

 生産職組が採取の時からずっと興奮気味だ。
 そんなに快適にできたんだろうか?
 これまで、そんなに悪い環境で採取をしていたのか。呼んでくれればいつでも行ったのに。

「呼んでくれたらいつでも素材取りに付いて行くぞ!」

 コルドも同じようなことを思ったんだろう。

「そうだな」

「そうね」

「それはありがたいわね!」

「じゃあ、採取は終わったし、次は採掘の方をやってみよう。採掘の為に、東の山寄りの方に行こう! 案内するね!」

 次は、けんけんぱさんの案内で採掘だ。
 こっちもちょっと楽しみだ。
 こっちも何か、ファンタジーの定番って感じがする。
 まぁ、俺以上にコルドがめちゃくちゃテンションを上げていた。

「次はやっと採掘だ! 俺のターンだ!」

「東寄りか。まだ、行ったことないな」

「私もよ」

「へぇ、2人はまだ東の方は行ってないんだ」

 そうして、けんけんぱさんを先頭に俺たちは東寄りの方に進んだ。
 採掘ってどんな感じなんだろう?
 つるはしとか持ってないけど大丈夫なのかな?
 ワクワクを胸に東へと進んだ。





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