零下3℃のコイ

ぱんなこった。

文字の大きさ
上 下
28 / 49
4

確信

しおりを挟む
ただのクラスメイトに戻ろって…

「な、なんで急にそんなこと…」

「ごめんね。振り回して」

「…っなんでだよ!僕じゃダメだって思ったからか!?そんな急に元に戻ろうって言われても!」

「いや…これ以上風音くんがおかしくなる前に、やめた方がいいと思ったからだよ」

おかしくなる…?って。

「観覧車で風音くんが言ってた…僕のこと気になってるのも、情だよ。でもこのままじゃ風音くんは素直だから…自分の気持ちを勘違いしちゃうかもしれないし」

「…は、」

「雪菜のこと、風音くんがアプローチしても今まで通り何も言わないけど…これからは僕との練習とかナシにしよう。もう風音くんに構わないから…」

「で、でも、お前、雪菜さんと別れたいっていうのは…」

「それは…何とかできるように頑張るよ。風音くんをおかしくしてまで利用するくらいなら…やめる。もう僕から奪ってくれなんてお願いしないよ。1人で何とかする」


唐突すぎて…頭が真っ白だ。
考えたことあった、もし僕が雪菜さんと上手くいくか、ダメになることがあったら、僕と日下部はこんな風に一緒にいれなくなるのかなって。

まさか、こんなすぐにそうなるとは思ってないから…。

「…っやっぱり、昨日僕が変なこと言ったからだろ?だからやめようって…」

「そうじゃな…」

「そうだろ!急に普通にクラスメイトに戻ろうなんて…!じゃあ、これからは一緒にいたりできないってことだろ!?」

「……」

ああ、そっか。なんでこんなにショックなのか…。

「…風音くん、泣いてる、の?」

「…っ泣いてない」

「でも、」

目頭が熱い…。

やめようって自分から言ってきたなら…そんな傷付いたような顔するなよ。

分かってる、僕のこと利用するために近付いて一緒にいたってことは。
でも、利用されてるって気はしなくて。むしろ日下部はずっと優しかった。

でも、日下部は好きな人がいて…僕のことは何とも思ってないんだ。情が移っただけ…。

だったら、そんな顔しないでよ。

「…分かった、もうやめよう」

「…風音く」

「明日からは普通にする」


いつの間にか、僕の気持ちは…雪菜さんじゃなくて、この男に持っていかれてたのか。

いつからか分からないけど…
今までの訳分からなかった自分の変化も、違うって思い込んでたのも認めるしかない。

今ショックなのも、さっき嫉妬してしまったのも…。
日下部だから。

でも、これはこいつの言う通り…情が移っただけなのか?本当に?

「じゃあ、僕バイトあるから…先行く」

「……っ」

目を擦って背中を向けた。涙が出ないように、ゴシゴシ擦った。ゆっくり歩いて離れたけど…日下部は立ち止まったまま、僕が角を曲がるまで歩いてくる事はなかった。

未練たらしく振り返っても…誰もいない。


「…もう、明日からはあんな風に一緒に過ごすことないのか」


僕が恋愛に慣れてないから…情が移りやすい?勘違い?

なら、もしこれが勘違いだとしたら…こんなに喉が締め付けられるほど苦しいのはなんで?

好きな人の彼氏なんて…1番有り得ない相手のはずだったのに。

なんでこうなったんだよ、日下部。

「…バカだ、僕も、あいつも」

いや…1番バカなのは僕だ。

いつの間にか、あいつに叶わない恋をしてしまっていたから。

しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

はじまりの恋~After Days

BL / 連載中 24h.ポイント:28pt お気に入り:28

夏の扉を開けるとき

BL / 完結 24h.ポイント:14pt お気に入り:15

飴玉のように甘く

BL / 完結 24h.ポイント:14pt お気に入り:45

東京ナイトピーチ

BL / 完結 24h.ポイント:14pt お気に入り:35

COALESCE!

BL / 完結 24h.ポイント:56pt お気に入り:164

怖がりな少年は時計塔の怪物に溺愛される

BL / 完結 24h.ポイント:198pt お気に入り:191

都合の良いすれ違い

BL / 完結 24h.ポイント:1,137pt お気に入り:22

心の中にあるもの……

BL / 完結 24h.ポイント:21pt お気に入り:28

からかわれていると思ってたら本気だった?!

BL / 完結 24h.ポイント:120pt お気に入り:1,079

燠火(おきび)の眼

BL / 完結 24h.ポイント:347pt お気に入り:1

処理中です...