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執着心
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え?
なんで、また僕はベッドの上に寝てるんだ…?
今こいつに腕引っ張られて、ベッドに倒れて…それで…?僕の真上に日下部の顔が見える。
さっきの状態と同じ…?
「…雪菜のこと、まだ好きだよね?」
「えっ」
「そうやって、僕のためを思ってくれるなら…雪菜を奪ってくれるよね?」
そんなの…分かってるよ。だって、そのために僕と日下部は一緒にいるだけで…
僕は、やることは変わらないし。
雪菜さんに好きになってもらえるように頑張るだけ…
上手くいったら、僕達はもう関係なくなるだけ…
「わ、わかってる…」
なのに、胸がチクチクするっていうか…疼くっていうか、なんなんだ。これ。
日下部の本当の気持ちを知ってから、余計に。
「ねぇ…なんでそんなに顔赤いの?」
「えっ…」
「男を好きになる奴に、こんなことされてさ。嫌じゃないの?」
「…っい、嫌とかじゃ、」
あれ、なんでだろう。
なんで?嫌じゃない…と思ってしまうんだ。
恋愛経験が足りてない僕でも、無理な相手にこんなことされたら嫌だってことくらい分かる。
じゃあ、なんで…
今はただ単に緊張して…体が熱い。
「日下部、はなし…」
「僕、好きな人以外は基本どうでもいいって言ったでしょ…。好きになったら、その人のことで頭いっぱいになって、独り占めしたくなって、離したくなくなっちゃうんだ。気持ちが重い方なのかな…」
「……っ」
「でも…そんな自分も怖いし、恋愛しても苦しいことしかない。だったら、いっそ何も感じたくないって思ってた。そんな時に、風音くんを見て、この人なら僕をこの苦しさから解放してくれそうだって思った」
日下部に掴まれてる手首が、ギリ…ッと圧迫される。
「だから…僕はただ君を利用してるだけだよ。ごめんね。でも…代わりにっていうか、僕も風音くんの力になるから。許してほしい」
そんな、泣きそうな顔するなよ。
今にも目から涙が落ちてきそうなくらい、潤んでる。
「泣くなよ…」
解放された右手で、日下部の目元を撫でると、僕の手を日下部は掴んで包んだ。
僕は…雪菜さんが好きなんだよね?
付き合いたいんだよね?
1年の時よりも、どんどん雪菜さんに近付いてるし…恋が叶うかもしれない。
もし叶ったら、僕は日下部とはただのクラスメイトになって…こんな特別な関係はなくなって。
そしたら日下部も雪菜さんから離れられて…苦しくなくなる。
本当に?
僕は、本当はどうしたいんだ?分からない。
自分の気持ちが、分からなくなってる…。
「…ごめんね、こうやって風音君に縋っちゃダメだって思ってるのに…」
僕は、ちゃんと雪菜さんのことが好きだよね?
そうなんだよね?
「今日のこと、忘れてね…」
こんなの、ただの同情だ。それしか考えられない…。
「…え、」
だから、勝手に腕が動いただけだ。
日下部の背中に手を回したのも…僕の方から力強く抱きしめたのも…
ただの同情ってだけ。
「風音、くん…」
そうだよね?
なんで、また僕はベッドの上に寝てるんだ…?
今こいつに腕引っ張られて、ベッドに倒れて…それで…?僕の真上に日下部の顔が見える。
さっきの状態と同じ…?
「…雪菜のこと、まだ好きだよね?」
「えっ」
「そうやって、僕のためを思ってくれるなら…雪菜を奪ってくれるよね?」
そんなの…分かってるよ。だって、そのために僕と日下部は一緒にいるだけで…
僕は、やることは変わらないし。
雪菜さんに好きになってもらえるように頑張るだけ…
上手くいったら、僕達はもう関係なくなるだけ…
「わ、わかってる…」
なのに、胸がチクチクするっていうか…疼くっていうか、なんなんだ。これ。
日下部の本当の気持ちを知ってから、余計に。
「ねぇ…なんでそんなに顔赤いの?」
「えっ…」
「男を好きになる奴に、こんなことされてさ。嫌じゃないの?」
「…っい、嫌とかじゃ、」
あれ、なんでだろう。
なんで?嫌じゃない…と思ってしまうんだ。
恋愛経験が足りてない僕でも、無理な相手にこんなことされたら嫌だってことくらい分かる。
じゃあ、なんで…
今はただ単に緊張して…体が熱い。
「日下部、はなし…」
「僕、好きな人以外は基本どうでもいいって言ったでしょ…。好きになったら、その人のことで頭いっぱいになって、独り占めしたくなって、離したくなくなっちゃうんだ。気持ちが重い方なのかな…」
「……っ」
「でも…そんな自分も怖いし、恋愛しても苦しいことしかない。だったら、いっそ何も感じたくないって思ってた。そんな時に、風音くんを見て、この人なら僕をこの苦しさから解放してくれそうだって思った」
日下部に掴まれてる手首が、ギリ…ッと圧迫される。
「だから…僕はただ君を利用してるだけだよ。ごめんね。でも…代わりにっていうか、僕も風音くんの力になるから。許してほしい」
そんな、泣きそうな顔するなよ。
今にも目から涙が落ちてきそうなくらい、潤んでる。
「泣くなよ…」
解放された右手で、日下部の目元を撫でると、僕の手を日下部は掴んで包んだ。
僕は…雪菜さんが好きなんだよね?
付き合いたいんだよね?
1年の時よりも、どんどん雪菜さんに近付いてるし…恋が叶うかもしれない。
もし叶ったら、僕は日下部とはただのクラスメイトになって…こんな特別な関係はなくなって。
そしたら日下部も雪菜さんから離れられて…苦しくなくなる。
本当に?
僕は、本当はどうしたいんだ?分からない。
自分の気持ちが、分からなくなってる…。
「…ごめんね、こうやって風音君に縋っちゃダメだって思ってるのに…」
僕は、ちゃんと雪菜さんのことが好きだよね?
そうなんだよね?
「今日のこと、忘れてね…」
こんなの、ただの同情だ。それしか考えられない…。
「…え、」
だから、勝手に腕が動いただけだ。
日下部の背中に手を回したのも…僕の方から力強く抱きしめたのも…
ただの同情ってだけ。
「風音、くん…」
そうだよね?
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