99%興味【打ち切り】

朝陽ヨル

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一章〈eccentric〉~声に出さなきゃ伝わらない事だってある~

一 拓視点

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 ………イラつく。あの不本意な鎌倉デー……………、旅行からアイツの態度が変わった。変わったっつか、戻った? 話しかけられたあの時から、アイツはイヤって程俺に付きまとってきた。なのにアレからアイツは俺に付きまとわなくなった。近づいてこなくなった。嫌われた……? いや、そんな感じでもねぇ。すれ違えば挨拶くれぇはするし、たまたま目が合えばあのキラキラ笑顔を向けてくる。ただ、まともに話してない。世間話っつの? 普通にダチとする会話とか……そういうのがなくなった。元々俺に……そんなヤツいねぇけど。
 はは……、そういうのがなくなったってことは、俺はダチ以下ってことか。あんだけバカみたいに恋人とか訳わかんねぇことほざいといて、そうじゃなくなったら切り捨てるってか? どうせ暇つぶしだったんだろ。
 …………………なんだ、コレ。俺、気色悪っ! 未練がましい女かよ! つか元々恋人じゃねぇし。強制で俺は嫌々付き合ってただけだ! 周りにこの身体のことバラされるのを防ぐ為の予防策っつか、仕方無く仮でなってただけで。はぁあ゛~~……なんでこんな意識しなくちゃならねぇんだよ……前まではもっと、違うことに集中してただろ……周りに触れねぇようにどう動こうか考えたり、なるべく早く帰ったり、人通りの少ねぇ所を通ったりしてた。アイツと関わってから、周りよりもアイツからどう逃げようかとか、アイツと関わってから少し帰るの遅くなったり、とにかくアイツを意識しまくった。
 だから……アイツを観察するようになった。クラスでのアイツは、いつも周りには人がいて、笑ってて、楽しそうで、頼られてて。さすがは学級委員長ってことなのか。それを見たら余計に、なんで俺に近づいてきたのか分かんねぇんだ。いつも一人で、喋ったこととかほとんどなくて、不機嫌で。自分を分析すると惨めだな。いいヤツとは思えねぇ。けどこの体質じゃ仕方無ぇんだよ。一人が嫌じゃねぇしむしろ楽だ。
 でも……知っちまった。誰かと……アイツと話してたら楽しかったって。一人は楽だ。けど、今は………このクラスに一人でいるのは、居心地悪い。同じクラスにいるのに壁があるみてぇに、近づかない。聞こえない。分からない。
 ---ーアイツが分からない。
 ガタンッ
 その居心地悪さから教室を出た。
 休み時間だし、どこ行こうが俺の勝手だ。どこ行くかな……

「あーだりぃ……」

 たまには外でも行くか……外の空気吸いたい



✿✿✿✿✿



 ――――校庭にやってきた。

 高校の校庭は小中学校と違って遊ぶやつが少ないからあまり生徒が見当たらない。だから俺にとっては都合がいい。
 桜が咲いてる……
 しばらく歩いて、校庭の端に来ると桜の並木道がある。
 満開で、ところどころで花びらが少しずつ散って……

「こういうのもアイツ好きそうだよな……」

 ……………。

「………何言ってんだ俺」

 意識せず出てきた言葉だった。呟いて、すとんと自分の胸の中に何かが落ちてきた気がした。

「はは……なんだよ、俺」

 モヤモヤしていたのに、桜を見ただけでこんなあっさりと気が付くものなのか。きっともう決まっていたことだ。ただ認めたくなかっただけで。もっと楽しくなりてぇ。本当は。きっと、アイツと。
 桜を見上げたら風が吹いてきて花びらが舞う。その風がまるで自分を押しているようだった。俺は数分その場にいただけで、直ぐ様校内へ駆けていった。
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